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ポほ
2026-03-17 23:42:58
1790文字
Public
跡取り息子、やめました!?
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海成のやつ、どうしたんだろ?
第7話。今振り返ると短編並に短くても本編に組み込んでいたのだなぁ…
一年一組の十分休み。日直のヨツダは、返却された提出物を黙々と配っていた。
「
……
江沼、この前のプリント」
「あ、ありがとう」
海成は席に座ったまま、ハードカバーの分厚い本から視線を上げ、軽く会釈をする。内容は見ただけで難しそうだった。
(江沼って、休み時間はいつも本読んでるな。誰かと話してるとこ、見たことないかも)
そんなことを思いながら、ヨツダは次の席へ向かう。
――
と、その時。
「ヨツダー!社会の資料集貸してっ!」
教室の空気を切り裂くように、元気な声が飛び込んできた。
「またかよ。教科書全部置いてってるはずだろ。ていうか、みんなの前でヨツダって呼ぶな!」
「吉田くんだよね?」「なんでヨツダ?」と、周囲がざわつく。
「わかったよ、『吉田くん』」
「それはそれで調子狂うから、やっぱやめてくれ
……
」
「なんだよ、わがままだな。とにかくさー、資料集貸してよ!間違えて持って帰っちゃったんだよー。な、頼むよ!可愛い友達のよしみでさぁっ」
わざとらしく首を傾け、可愛子ぶったポーズで迫ってくる。女の子としての振る舞いも、すっかり板についていた。
「やめろ、気色悪い!あのな、俺にはお前が“男の宗真”にしか見えねぇから!他のやつと違って、そういうの効くと思うなよ」
悪態をつきながらも、面倒になったのか資料集を差し出す。
……
結果的に効いている気がしないでもない。
「サンキュー!今度またデートしようなっ」
「あー、はいはい
……
」
宗真は満足そうに去っていった。それはいつもの軽口のやり取り
――
のはずだった。
だが。
「
……
吉田くん。さっきの言葉、取り消してもらえないかな?」
「え?」
思いがけず、静かな声が背後から投げかけられた。
「え、いきなり何
……
?江沼、俺、何かまずいこと言った?」
教室が、ざわりと揺れた。クラスでほとんど口を開いたことのない海成が、はっきりとした怒気を帯びた声を出したからだ。
「さっき、月城さんに『気色悪い』って言ったよね?
なんでそんな酷いこと言ったの?」
「あー
……
あれか。俺とあいつは小三の頃からの腐れ縁でさ。普通に軽口だよ」
「だからって、そんなこと言っていいの?」
(な、なんだこいつ
……
めんどくさ)
「
……
江沼はクラス違うし、知らないかもしれないけどさ。あいつ、今は女の顔してるけど、春休みまではずっと男だったんだよ」
「
……
それは、知ってる」
「俺からすりゃ、男のあいつと過ごした時間の方が長すぎてさ。今さら扱い変えるの、無理っていうか
……
正直、割り切れないっていうか
……
」
一拍置いて、ヨツダは小さく息を吐いた。
「でもまあ
……
俺も少し言いすぎてたかな。そこは反省するよ」
「
……
僕こそごめん。いきなり怒っちゃって」
「いいって。それよりさ
……
お前、もしかして、宗真のこと
……
?」
「い、いや!ちゃんと話したのは一回だけだし、なんてことないから!」
(声裏返ってる。どう見ても、そうは思えない
……
)
その後の一組。
「江沼くんって、あんなに大きい声出るんだね
……
」
「でも、正義感強いタイプなのかな?悪い子じゃなさそうだよね」
当の海成は、そんな視線を浴びながら、気まずそうに本へと視線を落としたままページをめくっていた。
一方、三組ではちなつの席に宗真とゆきが集まっていた。
「忘れ物、借りられた?」
「おう、バッチリ!」
「その
……
吉田くんって、宗真とどういう関係なの?」
「えー?親友
……
ってのも違うし、まあ、腐れ縁だな」
「
……
なんか、いいね。そういうの」
「良くねぇよ。あいつさ、こんな美少女つかまえて、『俺にはお前が男にしか見えない、気色悪い』とか好き放題言いやがって
……
」
どうやら、本人なりに気にしていたらしい。
「吉田くんって、今の宗真も男に見えてるのかな
……
?今日の髪型も可愛くしてもらってるのにねー」
※今日も静乃に編み込みをしてもらいました。
「古い付き合いだと、今さら女の子だなんて思えないってことなのかな?」
「はっ
……
!あいつ、コンタクトしてるから
……
そのコンタクトを通すと、オレの“真の姿”しか見えないとか
……
!?」
「なにそのノリ
……
」
「男子って、こういうの好きだよね
……
」
「か、からかうなよぉ!オレは真剣にだなぁ
……
!」
そしてチャイムが鳴った。
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