望月 鏡翠
2026-03-16 23:36:28
911文字
Public 日課
 

#2024 ラダ2

#毎日最低800文字のSSを書く/ダーリンランデブー!


 ラダの正体を突き止めたのは、イライジャだった。
 ダーリンの能力は、生前の罪に応じたものになっている。どのような人格でどのような罪を犯したのか。危険度を測るためにも、可能な限り解き明かし情報として蓄積する。それらがいつか、死人が蘇る理不尽な現象を解き明かす手がかりになるかもしれない。
 今のところ、解明される気配は全くないが。
 イライジャのいる組織は晩年人手不足だから、内勤も外勤も区別はない。出動要請がかかっていないときは調べ物をし、出動しているときは武器を手に取っている。
 ラダを捕獲し、戻ってきたら今度はその正体を調査させられる。
 なかなかの激務だ。
 彼女――後の調査で分かったが、彼だった――は、自分の身元を隠したり、非協力的な態度を取ったりしたわけではない。全てに正直に答えていた。それでも、なかなか正体が見極められなかった理由はいくつかある。
 一つに彼と彼を罪人として裁いた国とで、言語が大きく異なっていたことだ。その名前は正しく記録されていなかった。
 当然彼が認識していた生まれ故郷の名前も、オルドポルターから確認できる名前とは異なっている。時代についての概念もない。
 極め付けは、その外見的特徴が整然と大きく異なっていたことだ。人種的特徴から、生国が予想できないのはかなり厄介だった。
 ともあれ、性別と外見が別物になっていることが明らかになったあとは、その証言や生活水準から時代を特定し、調査していけばいい。
 この世に全ての裁判の記録が残っているわけではないから、調査しても記録は出てこないこともザラにあるのだが、幸いにもラダは後世にも記録が残っているような、比較的有名な犯罪者だった。
 鉄道に爆弾を仕掛けた。それが蒸気機関車だった。その辺りがヒントになり、最終的にいくつかのモノクロ写真を発見した。本人がこの檻に入ったことがあるし、この景色を見たことがあると認めたため、特定された。
 その人物はノイ カシパ ウタネ コン マヨリという。
 彼の本名はその記憶以外の、どこにも記録されていない。
 記録上の名前は、ジョン。世間一般に知られた名前は、ディレイルボマーという。