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ゆうり
2026-03-16 09:06:24
1490文字
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記憶に残る香りと。
3/14~/15にかけて閃キノ記録:連携ノ美学さんにサークル参加させて頂きましたありがとうございました楽しかった!会場で春を楽しませていただいたけどジェラ様アバターしか持ってなかった悲しみを就寝前に1時間で。
当然のようにヘクジェラです。
ここは夢の中なのだろうか。ひと足早く春が訪れたかのような美しい場所。
周囲に見える木々や建物に触れるとしっかりその物の感触が得られたので夢の国もこういう感じなのかとジェラールは一人感心する。
そう、ここにはいつもそばに居る彼がいない。
遠征で国境を越えるのであれば確実に同行してくれ、帝都で公務に従事するのであれば誰よりも近くで見守ってくれる蒼を持つ彼⋯ヘクターがどこにも見当たらない。
建物の群れに足を踏み入れると出会った人達の中にヘクターにそっくりどころかヘクターもいたのだが、どうもジェラールの知っているヘクターではないようだ。
ジェラールとは違う世界から来ていてその世界にもジェラールとは別のジェラールがいるらしく、要するに似たような世界が並行しているという事なのだろうか。
とりあえず今現在命の危険は無さそうだ、という事を理解した所で休憩所のような場所で腰を落ち着けると近くにいた猫がジェラールの足元に寄ってきたので思わず撫でてやる。
「君は人懐っこいね。色がヘクターの地毛に似てるかな?素敵な色を持ってる」
人の言葉が通じているのかいないのか、褒められている事は分かっているようで猫はふんと息を鳴らした。
「ふふ、そういう所も似てるかも。名前はなんて言うのかな?流石にこの世界でも猫は喋らないよ、ね」
ジェラールが話しかけるうちに猫はごろごろと喉を鳴らしつつジェラールの膝の上に乗り上げて身体を落ち着けてしまう。態度や行動まで似ている気がする。
「ヘクターって勝手に呼んだら⋯私のヘクターが怒るか、やめておこう」
何となく一人が心許なくて、猫の方もジェラールに付き合うのが満更でもないようだったので行動を共にする事にした。
勝手知ったる場所なのかお茶会場や式典会場まで案内してもらい、普段見られないものを色々見る事が出来てジェラールも軽い旅行気分だ。
「君はここに詳しいんだね。色々見られて楽しいよ⋯あれ、ここは最初にいた地区だよね?こんな所もあるんだ」
自分が最初に気が付いた所は桃色の小花が満開の木の側だったが、ここは紫や赤など色とりどりの花が咲き誇っていた。
同行の猫もジェラールから離れて花と戯れている。
ジェラールはその様子を見ながら、花の観賞時の為か近くに敷かれていた敷布の上に腰を下ろす。
「本当に、夢の世界みたいだ。とても綺麗で⋯君にも見せたいな」
歩いて少し疲れたのもあって敷布の上にそのまま身体を横たえると、花の香りを漂わせた猫がジェラールの顔に擦り寄ってきた。
「良い香り⋯君も、一緒に休む?」
穏やかな環境と猫の温かさと花の良い香りに誘われて、ジェラールの瞳は瞼に隠されていった。
「ジェラール様⋯ジェラール様」
聞き慣れた自分の名を呼ぶ声が聞こえた様な気がしてジェラールはぱちりと目を開ける。
「あ、れ?ここは」
「お目覚めですか?」
声のする方向を見ると澄んだ蒼の色を持つ、先程まで会いたいと思っていた相手。
「猫じゃない」
「寝ぼけてます?オレは猫じゃなくて人ですよ」
「あ」
それを証明するように、ジェラールの目を覚まさせる為にヘクターはぺちりと手のひらでジェラールの頬を軽く叩く。
「ほんとだ。私のヘクターだ」
「やっぱりまだ寝ぼけてます?まあここ最近立て込んでますしね。落ち着いたら外にでも気晴らしに行きましょうか?お供しますよ」
そうだ、ヘクターと一緒に見たいと思った物が、場所があったのだ。あれは夢、だったのだろうか。猫の柔らかさを、花の香りを鮮明に思い起こせるのに。
「それなら花を見に行きたいな、君と一緒に」
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