蕨野おもち🍡
2026-03-15 16:31:54
2851文字
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No title

くいぶちさんの素敵漫画に文章をつけたかったやつ。ロナルドくんの雄っぱいはロマンだ

 もとより身体つきのいい人間だな、というのはそれこそ共に生活し始めてからずっと思っていたのだ。
 あの頃は今よりももう少し痩せていたけれど、いわば宝石の原石だった。あまりに不健康極まりない食生活を見兼ねて、ジョンのついでだと気まぐれに丁寧な食事を与えてみれば、これが案外食いつきがよかった。こちらが打てば響くのがうっかり楽しくなってしまい、それからはすっかり習慣と化している。衣食住を丁寧に整えてやり、此方が手をかければかけるほど彼は美しく育っていった。まさに磨けば磨くほど光るダイヤモンドの原石である。口では何やかんやとゴチャゴチャ文句を言いつつも身体の方はとんと素直だなというやつだ(この言い方はすこしばかり語弊があるが)。何をしても筋肉どころか脂肪さえ付かない私からすれば、いっそ憎たらしいくらいの素直な身体だった。

まあ、それにしても、ねえ……
「あ?何」
「いやあ……
風呂上がりのロナルドくんはまだ服を着るには暑かったのか上半身は裸のままだったので、ここぞとばかりにすみずみまで観察してみる。しかしまあなんと健康的でみずみずしく、健全な肉体であることか。多少丁寧に手を掛けた自覚はあるが、あまりにも育て過ぎてしまったかなとも思う。まったく自覚は無かったが、どうやら私にはゴリラ育成の才能もあったらしい。
そういえば、力の入っていない筋肉は柔らかいとか言うが、実際のところどうなのだろうか。徐に興味が沸いて、丁度いいやと思い目の前のロナルドくんの胸筋を、指先でぐいと持ち上げるように触れると成る程思った以上に柔らかい。案外ふよふよしていて、丁度マシュマロくらいの柔らかさだった。普段そんなにじっくりと揉む機会もないので、ふわふわもちもちの感触が案外癖になる。たかがネットの情報も結構当てになるもんだなと半ば関心しつつそのまま指先でふにふにとその感触を楽しんでいると、ロナルドくんは怪訝そうに「何してんのお前」と眉を顰めた。
「いや、うん。ていうか、走ると痛いって聞くけど大丈夫なの?」
「あ?え、何が??」
「これ。ブラとかした方がいいんじゃない?揺れるでしょ」
「胸筋タックル!!」
「ブエーッッッ!!」
感触を楽しみながら指先でぐいと持ち上げるように揉んでいると、そのままタックルで呆気なく殺された。胸筋に。まあ殺されるのはいつものことではあるのだが、流石に乳にぶん殴られたのは初めてだった。しかも私を殺した反動でバインバイン揺れていた。そりゃもう揺れていた。乳が。時々シンヨコでも見られる少々グラマラスな女性の比ではないくらいに揺れていた。いくら柔らかいからと言って男の乳がそこまで揺れるのか……といっそ恐ろしいような気持ちになる。
「流石にその殺し方は無いんじゃないか!?」
「うるせぇ、急に胸触りながら意味わからんこと言ってくる変態砂おじさんにくれてやる慈悲はねえ」
そう言いながらロナルドくんは眉間に皺を寄せ、先程の衝撃でまだ元に戻りきれない私の砂をザリザリと雑に足蹴にする。
「おいバカ、足で砂遊びするな、散らばっちゃうだろ」
「うっせ。てか早く戻れよ、砂がこっちにも張り付いててキメェんだけど」
「いや君の自業自得だろ
砂ったときにもろにそれを被ったんだろうが、そもそも胸タックルなんかで殺すからだ。流石に反省しろよ君は、と小言を飛ばしながらいつものように体を戻していくと、すぐに異変に気がついた。
……きみさあ、」
「あ?今度は何」
「君なあ!!また風呂上がりにちゃんと身体拭かなかっただろ!!きみが若干濡れてるせいでくっついちゃってめちゃくちゃ再生し辛いんだが!?」
「だからさっきからそう言ってんだろ!!張り付いてんだよテメーの砂が!!」
「自業自得だろ!!ンオアアァ、谷間に砂が挟まる!!」
さっさと復活しようとしてもロナルドくんの身体が湿っているせいで全然こちらに砂が戻ってこない。仕方なく何時もより気合を入れれば、引きずられるようにしてようやく身体全体が元の形を成した。
「ふう。やっと戻った」
「いや俺まだ胸がジョリジョリしてんだけど」
「あほんとだ。小指欠けてる」
未だ不機嫌そうなロナルドくんの方を見ると、丁度彼の谷間のあたりにまだ僅かに砂が残ってしまっていた。「ちょっと動かないでよ、」とそこに欠けた小指を近付けると、ズ、ズ、と引きずられるようにして砂が動く。
「ん、」
…………
小指の関節ひとつ分とはいえ、砂になるとそれなりの量だ。それらが少しずつこちら側へと動くたびに、肌に擦れるのが擽ったいのかロナルドくんがわずかに身を捩る。
……っ、おい、まだ終わんねえの、」
……あともう少しだから」
……擽ったいのなら、自分で手で払うなりなんなりすればいいのに。ロナルドくんは先程「動かないで」と言った私の言いつけを素直に聞き入れ、砂が彼の肌をじわじわと這いながら少しずつ元に戻っていく様子をただじっと見たまま耐えている。丁度彼の谷間の部分をずり、ずり、とうごめくそれは、我が肉体の一部ながら、場所が場所なだけにひどく卑猥に見えた。
「ぅ、ん、なあ、早くしろって、」
……うん」
ふる、とロナルドくんの身体が震える。過ぎた擽ったさがついに別の感覚へとすり替わってしまったのだろう。覗き見た顔は頬が赤く染まっていた。いつもは私の言うことなんて聞きやしないくせに。全く、こういうところが愚かでかわいい。「はやく、しろよ、クソ、」とロナルドくんが掠れた声で訴える。うん、あともう少しだから、と誤魔化しながら、ゆっくりゆっくり小指を再生させていく。
「ぅう、」
ロナルドくんはいつの間にか耳まで真っ赤で、目元まで潤んでいる。ようやく爪の先まで元に戻った小指の動きを確かめてから、そのまま彼の頬に触れた。私の冷たい指先に彼の熱がじわりと移る。吸血鬼の私と違って、人の体温はひどく熱い。
……擽ったくて、気持ちよくなっちゃった?」
「うるさい……
少しぶっきらぼうに投げられた言葉そのものは素直ではないが、顔はすっかり溶けている。いつもなら拳の一つや二つ飛んできそうなものだが、ロナルドくんは私を砂にしようとはしなかった。一体どこでスイッチが切り替わったのやら。すっかり「そういうモード」になっている。
「ふふ、かわいいねえ。予備室行く?」
どうせ答えは分かりきっているが、あえてそう尋ねるとロナルドくんは悔しそうにこちらを睨んだ。まあそんな顔で睨まれたところで怖くも何ともないのだけど。
「ね。どうする?」
だらりと投げ出された手に触れてやわく絡めると、遠慮がちに握り返され、くい、と引かれる。それを是と受け取って、今度は此方から手を引いた。このまま向かう先はさっき宣言した通り予備室だ。せっかく二人っきりの恋人らしい夜である。今夜は私が自ら育て上げたそのうつくしい身体を、すみずみまでじっくりと堪能させてもらうことにしよう。