【レオカリレオ】告白【書きたいところだけ書くシリーズ】

・レオカリレオ
・二人が付き合ってます
・書きたいところだけ書くシリーズなので急に始まり急に終わります

「私、大きくなったらレオナ様のお嫁さんになりたい!」
不意にカリムのきょうだいの中でも一番小さな少女が大きな瞳を輝かせ、そう声を上げた。
「兄様が第一夫人で、私が第二夫人ならいいでしょ? そうしたら、兄様ともレオナ様とも、ずーっと一緒にいられるんだもの!」
少女はカリムの手に触れると無邪気に笑い掛けた。
多妻制が珍しくない、この国……いや、アジーム家の子どもらしい考え方だ。
幼い子どもの純粋すぎるがゆえの願いは、夢と希望ばかりがぎっちりと詰まっていて微笑ましいものではあるが、できない約束をして期待させ叶わない夢を見せるのは俺の礼儀ではない。
カリムが同調する前にどうやって、このレディを傷付けずに躱すべきか。思案を巡らせながら唇を開こうとしたその時だった。
……それはダメだよ」
カリムが少女の頭を優しく撫でながら、きっぱりと言い切った。
境遇的に賛同するものだと考えていた分、カリムの返答には少し驚いた。
隣に立つカリムを見ると、先程までの穏やかな笑顔はそのままに、真剣な熱を宿した眼差しを少女に向けていた。
「レオナはオレだけのものなんだ。たとえ家族でも、そこは譲れないかな」
「えーーっ!」
たくさんの子どもたちが一斉に不満の声を上げる。
ブーイングの嵐の中、申し訳なさそうにしながらもカリムの意志は揺らぐことなく俺の肩を強く抱き寄せた。
「ごめんな。兄様はレオナに関しては、すごく欲張りなんだ」
眉を下げて困ったように笑ってみせるが、肩に置かれた掌からは、確かな思いの強さが伝わってくる。
不覚にも心臓が大きく跳ね、尻尾が揺れると空を叩いた。
「わあ! ラブラブだ!」
「二人とも、仲良しでいいな〜!」
冷やかしの声が飛び交う中、当の少女は少しだけ寂しそうに唇を尖らせて俯き黙り込んでいた。
カリムは俺から手を離すと彼女の視線に合わせて腰を落とし、柔らかな声音で少女の名前を呼ぶ。
「前に話したようにさ。オレは、お前がどこにいようと、誰と一緒にいても、お前の幸せを一番に祈ってるよ。それに、離れていたって家族なことには変わらない。結婚しても、お姫様になってもならなくても……会おうと思えば、いつだって会える」
諭すよう一文字ずつ丁寧に紡がれる言葉は幼い少女にも伝わるようなものばかりだ。
カリムは少女の小さな手を取り、両手で包み込むと微笑み掛けた。
「そうだろう? だから、寂しがることはないんだぜ」
過去にカリムと少女がどんなやりとりをしていたのかは知らないが、少女が言う結婚がただの手段だったことは分かる。
カリムと一緒にいたい。それが叶うのが俺と婚姻関係を結ぶこと。なんとも可愛らしい、少女なりの夢の叶え方だ。
少女は少しだけ鼻を啜ると視線を持ち上げ、カリムの瞳を見ると小さく頷いた。
「じゃあ約束して、兄様。ずっと私のことを忘れずに、たくさん会いに来てね」
「勿論だ! 約束するよ。なっ、レオナ?」
俺の顔を覗き込むカリムの瞳は眩しいほど真っ直ぐな光を宿していた。その光の奥に深い情愛が含まれている。
……ああ。コイツは、一度口にした約束を違えたりはしねぇよ」
俺の返答にカリムは満足そうに、そして誇らしげに顔を綻ばせた。



子どもたちが去った後の部屋には冷気を帯びた夜風だけが吹き抜け、辺りは一気に静寂に包まれた。
カリムは親の元へと帰っていく子どもたちの背中をずっと見送っていたが、やがて満足したように大きな伸びをして、俺の隣に座り直した。
「小さい子たちと遊ぶのって体力いるよな〜」
カリムは明るい声を転がし、笑い掛けた。
「でも、みんなレオナのこと大好きになったみたいだぜ。……もちろん、俺が一番だけどな」
何故か俺以上に嬉々とした様子を見せながら、カリムは俺の膝の上に頭を乗せてきた。
慣れた動作で膝枕の形になると細めた瞳のまま見上げてくる。
……なんだ、その顔は」
柔らかな髪をゆっくりと梳くとカリムが熱に浮かされたような、蕩けた視線を送ってくることに気が付いた。
そこに込められた意味を掬い上げれば気恥ずかしさから眉根を寄せる。
「いや、レオナってやっぱり、面倒見がいいなーと思ってさ。そういうところも、大好きだよ」
さらりと心臓を射抜くような台詞を吐いてくる。
その瞳に宿る混じりけのない真っ直ぐさに、俺は降参だと思いながらを目蓋を落とした。
膝からじわりと伝わってくる、アイツの体温。
体に広がる熱は昼間の太陽よりもずっと熱く、そして心地良くて、いつの間にか俺の芯までも溶かしていった。





END


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