Privatter+
Font
Serif
Sans Serif
Color
Light
Dark
auto
Font size
Large
Medium
Small
Language
Japanese
English
Sign in with Google
Sign in with ID and password
Account ID
Password
Sign in
Forgot password?
Create account
ポほ
2026-03-13 23:48:37
7372文字
Public
跡取り息子、やめました!?
Clear cache
オレ、女の子?
第1話。
なんとなくパイロット版というか、読切として話を成立させたかった。
跡取り息子要素は一旦忘れてもいいぐらい1話にして片付きますが、どうなることやら
とある地下室。湿った石壁に囲まれた円形の空間の中央で、少年
……
月城
つきしろ
宗
そう
真
ま
は仰向けに寝かされていた。
手首と足首は冷たい縄で拘束され、身動きは取れない。
周囲を取り囲むのは、狐の面をつけた数名の呪術師たち。彼らは月城流と因縁を持つ、ライバル一門「
赤星
あかほし
流」の者。
低く、古語めいた詠唱が地下室に反響する。床に描かれた陣が淡く光り、宗真の視界がにじんだ。
(
――
オレ
……
)
目を閉じたまま思う。
(オレ、月城流次期当主・月城宗真は、今日
……
)
呪術師のひとりが、陣の中心へと歩み出る。満ちかけの月を象った護符が掲げられ、空気が張りつめた。
(
……
次期当主では、なくなった)
その瞬間、宗真の身体を、言いようのない違和感が駆け抜けた。骨格が軋み、皮膚の内側で何かが書き換えられていく感覚。叫ぼうとしても、声にならない。
やがて儀式が終わり、呪術師たちは何も言わず、闇の中へと姿を消す。
地下室には、ただ一人
――
少年だったはずの“何か”が取り残されていた。
――
その少し前のこと。
夕暮れの稽古場に、宗真の父、
宗
そう
二
じ
の怒声が響いた。
「宗真!また稽古をサボったな!」
柱の陰から顔を出した宗真は、悪びれた様子もなく肩をすくめる。
「だってさ、オレ別に興味ねーもん。
響姉
ひびねえ
の方がよっぽどやる気あるって、父ちゃんだって知ってんだろ?」
父は一瞬言葉に詰まり、すぐに眉間に深い皺を寄せた。
「
響
ひびき
は女の子だ。跡継ぎにはなれないだろうが!だから
――
お前のような“男の子”が生まれるまで、我慢していたんだ!」
その言葉に、宗真は露骨に顔をしかめた。
「
……
うわ。今どきその価値観、古すぎんだろ。だから母ちゃんにも
……
」
「話を逸らすんじゃない!」
畳を踏み鳴らし、父は一歩踏み出す。その圧に、宗真は思わず視線を逸らした。
――
月城流の当主にとって、“男であること”は、才能や意思よりも優先される条件だった。そして宗真は、その条件を満たしているという理由だけで、望まれ、縛られ、逃げ続けていた。
「宗真の稽古嫌いにも、困ったものね」
稽古場の端で、月城家の長女・
静
しず
乃
の
がぽつりと呟いた。向かいでは次女の響が木刀を構え、呼吸を乱すことなく型を繰り返している。
響は稽古の邪魔にならないよう短く整えたショートカットに、快活でまっすぐな雰囲気をまとっていた。それに対し、静乃は艶のある黒髪を2本の三つ編みに結い、背筋の伸びた理知的な佇まいをしている。
同じ姉妹でも、その印象は対照的だった。
「ほんとにさぁ」
響は一振り終えると、ぼやくように声を上げた。
「なんであいつが男で生まれてくるかなー!あたしが男の子に生まれてさえいれば、万事解決なのに
……
」
静乃は少しだけ目を伏せ、淡々と返す。
「家制度の闇、というやつね。もしそうだったら
……
宗真は、生まれていなかったかもしれないわよ?」
その言葉に、響は慌てて振り向いた。
「ちょっ、お姉!やめてよ
……
!そこまで言ってないでしょ!」
慌てた声とは裏腹に、響の胸には小さな棘のような違和感が残っていた。
――
自分の願いは、宗真の居場所を奪うことと、どこが違うのだろうか。
その答えを、響はまだ言葉にできずにいた。
その頃
――
。月城家の裏手。夕闇が迫る中、宗真は塀をよじ登り、慣れた手つきで敷地の外へと抜け出していた。
「よっし」
草履を手に提げ、足音を殺して歩き出す。稽古を抜け出すのは、もはや日課だった。
「今日こそ見つかる前に
――
」
その時。
「
……
お前」
低い声が、闇の奥から響いた。宗真が振り向くと、そこには狐の面を付けた数人の男達が立っていた。白い面の奥から覗く視線は、笑っているのか、怒っているのか分からない。
「うわ
……
」
宗真は一歩引き、率直な感想を漏らす。
「おっさん達、怪しすぎ
……
」
男達の一人が、くぐもった声で続ける。
「月城流を継ぎたくないのだろう?ならば
――
手助けしてやろう」
宗真は一瞬きょとんとし、次の瞬間には肩をすくめた。
「
……
へえ?」
稽古場で怒鳴る父の顔が、脳裏をよぎる。型、規律、跡継ぎ。考えるだけで気が重くなる。
宗真は狐面達を見上げ、あっけらかんと笑った。
「まあ
……
稽古よりは、マシか」
狐の面の奥で、誰かが小さく息を呑んだ。
「決まりだな」
差し出された手を、宗真は深く考えずに取った。
――
それが、月城宗真という少年が、“次期当主”ではなくなる最後の選択だったとも知らずに。
薄暗い路地の奥で、甘ったるい匂いが鼻を突く。
「
……
ん?」
次の瞬間、意識がふっと遠のいた。
(あれ
……
なんか、急に
……
)
視界が暗転する。
――
暗闇の中で、宗真は微かに意識を取り戻した。
(
……
寒い)
石の冷たさが、背中越しにじわじわと染みてくる。腕も脚も動かない。何かで縛られている感触だけが、やけにはっきりしていた。
「
――
時は満ちる」
くぐもった声が、頭上から降ってくる。宗真は目を開けようとしたが、瞼が重い。代わりに、視界の端で揺れる影だけが見えた。狐の面。何体も、円を描くように立っている。
(
……
あー、これ夢だわ)
そう思った瞬間、耳元で鈴の音が鳴った。ちり、と空気が震える。
「月の欠け満ちに従い、形を移ろわせよ」
低く唱えられた言葉と同時に、宗真の体の奥で
――
何かが、軋んだ。
(
……
え)
最初に感じたのは、胸のあたりだった。内側から、じんわりと熱が広がる。まるで骨と肉の間に、別の形を押し込まれているような、気持ち悪い感覚。
「っ
……
」
声を出そうとしたが、喉がひくりと震えるだけで、音にならない。次に、腹の奥が
――
すうっと、引き攣れた。
(や、なんだこれ
……
)
力が抜けていく。いや、抜けるというより、配置が変わっていく感覚だった。手足が、妙に軽い。
肩の幅が、意識できるほど狭まっていく。布越しに、胸元が押し上げられる感触があった。
(
……
は?)
宗真は必死に目を開けた。ぼやけた視界の先で、自分の身体が映る。否定したいのに、否定できない変化が、確かに起きていた。
「やめ
……
ろ
……
!」
かすれた声は、思ったよりも高かった。喉が細くなり、息の通り道が変わっている。その事実が、じわじわと理解に追いついてくる。
「儀は半ば。満月の夜には“娘”として完成する」
狐面の一人が、淡々と告げる。宗真の意識は、恐怖より先に、別の感情に支配されていった。
(
……
え。
……
あれ?)
胸の圧迫感。腰の重心。身体にまとわりつく、知らない“重さ”。
混乱の中で、ふと、父の怒鳴り声が脳裏をよぎる。
――
男なんだから
――
跡継ぎなんだから
(
……
じゃあ、これならオレ
――
もう、やらなくていいってことじゃん)
その瞬間。恐怖と一緒に、不謹慎なほど軽い安堵が胸に広がった。
意識が再び闇に沈む直前、宗真は自分でも信じられないほど、穏やかな顔で目を閉じていた。
――
その選択が、姉たちと、家と、そして自分自身を大きく揺さぶることになるとも知らずに。
狐の面をつけた集団は、妙に礼儀正しかった。黒塗りの車で月城家の門前まで送り届けられ、
宗真はふらつきながら敷地に足を踏み入れる。
「さらばだ、元・次期当主よ」
そんな軽い一言を残し、車は闇に消えた。
――
直後。
「宗真!!」
稽古場から、父の怒号が飛んでくる。
「また稽古をサボって!一体どこで油を売っていたんだ!」
宗真は一瞬たじろぎ、それから腹を括ったように父を見上げた。
「
……
そのことなんだけどさ」
「言い訳なら
――
」
「オレ、もう“次期当主”じゃないから」
「はあ?何を訳の分からんことを
……
」
父が言い終える前に、宗真は羽織っていた上着を脱ぎ、その下を指さした。
服のラインが、明らかにおかしい。声も、立ち姿も、そこに立っている“子”は
――
。
「こういうことだから」
一瞬の沈黙。父の目が、宗真を頭の先から足先まで、何度も往復する。
「
……
」
「
……
」
「えーーーーーっ!?」
叫び声が、月城家中に響き渡った。その背後で。
静乃は深くため息をつき、響は言葉を失ったまま、宗真を凝視していた。宗真はというと
――
信じられないほど晴れやかな顔で、こう言った。
「だからさ。もう、オレに稽古させる理由、ないよね?」
その一言が、月城家の“当たり前”を、音を立てて崩し始めた。
「し、シリコンとか入れてふざけてるんじゃないのか!?」
父は半歩後ずさりしながら、必死に現実逃避を始めた。
「いくら宗真でも、そこまで手の込んだイタズラはしないでしょ
……
」
静乃は呆れたように肩をすくめる。
「そもそもだ!別人と入れ替わっている可能性だって
――
」
「オレ、父ちゃんのへそくりの隠し場所知ってるけど」
宗真は、にやっと笑った。
「言わない方がいい?最近変えたばっかだよね。確か
……
水回りの方
――
」
「わーっ!なんでそれを知ってる!!」
父は思わず叫び、頭を抱えた。
「じゃ、じゃあ
……
本当に、この女の子が
……
宗真なのか
……
?」
「だから最初からそう言ってんじゃん!」
宗真はくるりと一回転してみせる。
「なかなか可愛いだろ?中学の制服もさ、せっかくだから女子の着てくかな〜?へへっ」
「
……
学ラン、買ったばかりなのに
……
もったいない
……
」
項垂れる父に、静乃がさらりと追い打ちをかける。
「まあ、そこは私のお下がりを貸してあげればいいじゃない。ね、お父さん?」
「そ、そうか
……
」
納得していいのか分からないまま、父はうなずいた。宗真は満足そうに姉たちを見回し、ふと首を傾げる。
「あれ?響姉、なんでそんな静かなの?オレの可愛さに、言葉も出ないとか?」
響は答えなかった。ただ、宗真を見つめながら、胸の奥で小さく何かが動くのを感じていた。
(宗真が女の子になったら
……
跡継ぎ問題は、振り出しに戻る。それって
――
)
自分にも、正当に挑む機会が巡ってくるということではないのか。その考えに、胸が高鳴るのと同時に、言いようのない後ろめたさが、じわりと広がった。
――
自分の望みは、宗真を“利用すること”と、どこまで違うのだろう。響はまだ、その答えを口にできずにいた。
翌日。商店街の一角。静乃は紙袋を両手に提げ、少し疲れた表情で隣を歩く宗真を見下ろしていた。
「静姉、こっちも見ていい?」
宗真は目を輝かせ、ショーウィンドウの前で立ち止まる。
「いいけど。あんた、どんだけ買うのよ
……
」
「今まで稽古で小遣い使うことなかったからな!まーまーリッチなんだよ、オレは」
胸を張る宗真に、静乃はじっと視線を向ける。
「
……
お金の話じゃなくて。あんたが“女子”を謳歌しすぎてることに、びっくりしてるんだけど」
宗真は首を傾げた。
「そう?」
「普通こういう状況ってさ、『これからどうしよう?』『女の子の服なんて恥ずかしくて着れない〜』とかならない?」
「ぜーんぜん」
即答だった。
「そんだけ稽古が嫌だったってことだろ。女最高っ!」
「軽すぎる
……
」
静乃は額を押さえ、深くため息をついた。
「ていうか。なんで、いきなりそんな身体になったの?」
宗真は少し考え込み、それからあっさり答える。
「なんか狐のお面被った人達にさ。『跡継ぎやりたくないなら助けてやる』って言われて、ついてったら
――
こうなってた」
「
……
狐の面?」
静乃の足が、ぴたりと止まる。
「もしかして
……
あの一門の
……
?」
「えー?そんなんどうでもよくない?」
宗真はすでに次の店に興味を移していた。
「それよりさ、オレこっちのスカートも履いてみたいなー」
何事もなかったかのように笑う弟の背中を見つめながら、静乃は一人、嫌な予感を噛み締める。
――
“助けてやる”なんて言葉を、善意で口にする連中ではない。
この変化は、宗真一人で終わる話ではない。そう確信しながらも、静乃は今はまだ、それを口に出さなかった。
帰宅した静乃は、その足で稽古場へ向かった。
そこには父と響が揃っていた。
一方その頃、宗真は自室に籠もり、先ほど買ったばかりの服を一着ずつ着替えては、鏡の前でご満悦だった。
――
そして、稽古場。
「宗真のことなんだけど
……
」
静乃は一拍置き、慎重に言葉を選ぶ。
「多分、あの一門の“呪い”で、ああなったみたい」
父は眉をひそめ、腕を組んだ。
「狐の面
……
となると、赤星流か」
低く唸るように言う。
「あそこは昔から陰湿だからな。うちも何代か前、嫌がらせを受けたと聞いたことがある。しかし
……
なぜ今になって?」
「宗真が稽古嫌いなのを、どっかから聞きつけたんじゃない?」
静乃は淡々と推測を口にする。
「そこに付け入ろうとした
……
とか」
父は押し黙り、床を睨んだ。
「
……
卑怯なやり口だ」
その沈黙の中で、響は一人、拳を握りしめていた。
(赤星流
……
!跡継ぎをさせないために、子供の性別を変えるなんて
……
)
胸に込み上げるのは、怒りと嫌悪。
――
けれど、その奥に、別の感情が蠢く。
(でも
……
宗真が女の子の方が、都合がいいって思ってる私も。もしかして、根っこでは同じなのかな
……
)
誰も口にしないまま、稽古場には、重たい空気だけが残った。宗真の変化は、単なる“事件”ではない。月城家の中に、それぞれの正義と欲を静かに浮かび上がらせ始めていた。
重苦しい沈黙のあと、父がぽつりと口を開いた。
「
……
しかし、今後どうすべきかな」
静乃は即座に顔を上げる。
「私は、赤星流の呪いなんか跳ね返した方がいいと思う。あいつらの思う壷になるなんて、真っ平だし
――
ちゃんと、宗真に継がせないと」
父は小さくうなずき、視線を響へ向けた。
「響は、どう思う?」
一瞬の間。響は、意外なほどあっさりと答えた。
「
……
あたしは、今のままでいいかな」
「ええっ!?」
静乃が思わず声を上げる。響は視線を逸らさず、続けた。
「だって宗真、元々稽古やる気なかったじゃん。それに今、女子の生活、楽しんでるんでしょ?」
言葉を切り、少しだけ唇を噛む。
「ていうかさ。お姉だって宗真の買い物に付き合ってあげたりしてたのに、内心では『ちゃんと男に戻して跡継ぎに』って思ってたなんて、酷くない?」
「それは
……
!」
静乃は一瞬言葉に詰まり、声を荒げた。
「宗真が、ほんとは不安なんじゃないかってついてないと心配だったからで
……
!あんたこそ、本当は跡継ぎたいから、宗真が女の子のままの方が都合がいいんでしょ?」
響の肩が、ぴくりと揺れた。
「そ、そんなこと
……
」
否定しかけて、言葉が詰まる。
「
……
ある、けど
……
」
その小さな告白に、稽古場の空気が凍りついた。父は、静かに問いかける。
「
……
そうなのか、響?」
――
響は答えなかった。ただ、拳を握りしめ、床を見つめていた。正しいと思っていた気持ちが、誰かの不幸の上に成り立っているかもしれない。
その事実が、響の胸に重くのしかかっていた。
月城家の書斎にて。静乃は片っ端から赤星流の呪いについて調べて回っていた。するとひとつの記述が見つかった。
――
「まじないについて」。
(まじない
……
「
呪
のろ
い」と同じ字ね)
‘‘一族を守る、及び害をなす力。月の満ち欠けを利用したもの。それは新月の時に失われるという’’
「これよ!響に知らせないと
……
!」
――
新月になったら宗真にかけられた呪いは解ける。新月まであと数日。それを静乃から聞いた響は、何かを決意した。
その日の夜のこと。すっかり欠けた月がもう上っていた。
「宗真」
「ん?」
「
……
あたしね。跡継ぎになりたい」
宗真は、ぽかんとした。
「え?」
「ずっと思ってた。努力してきたし、できるって自信もある」
一拍置き、響は続ける。
「でも、それは
――
宗真が“女の子のまま”でいるから叶う願いじゃ、ダメなんだ。
宗真は言葉を失った。
「それって
……
」
「うん。あたし、赤星流とやってることは同じだよね」
響は、はっきり言った。
「宗真の人生を使って、自分の居場所を手に入れるなんて
……
そんなの、嫌だ」
月の光が、二人の間に落ちる。
「宗真は、明後日の新月の時に、男に戻って?」
「
……
え?てか、戻るのか?」
「うん、新月の時に呪いが解けるみたい。お姉が調べてくれてたの。
……
その上で、あたしは正規の手段で跡継ぎになる。父さんも、お姉も、ちゃんと説得する」
「それならさ、オレが女のうちに言った方が通りやすくね?」
響は首を振った。
「宗真が女の子になったのは、事故でしかないよ。そういうズルいやり方って、後から一生残るんだよ」
宗真は、夜空に浮かぶ月を見上げた。胸のざわつきは、まだ消えない。それでも
――
逃げるより、ずっとマシだと思えた。
「新月の時に、戻る
……
んだったよな」
「うん」
「それまでに、父ちゃん泣かせる準備、よろしく」
「任せて」
二人は、静かに笑い合った。
――
そして数日後、新月。赤星流の呪いは解かれ、宗真は、再び男の“月城宗真”として立っていた。稽古場の中央で、父が頭を下げる。
「
……
響。お前を、次期当主とする」
響は、深く一礼した。宗真は、その背中を見ながら、思った。
(やっと
……
ちゃんと逃げ切れたな)
逃げることをやめて向き合ったからこそ、本当に自由になれた。満ちて、欠けて、また巡る月の下で
――
月城家は、少しだけ形を変えて、続いていく。
「
……
っていうかさ。この大量に買った女物の服、どうすんだよ!女子の制服だって、ちゃんと着てみたかったのに!」
「別に今着てもいいじゃん。あんた細いしチビだし、そこまで違和感ないって」
「そ、そうかな
……
?」
半信半疑のまま、宗真は服に袖を通した。
「
……
あ。お、結構いけるかも!」
「でしょ?」
(
――
私は今、弟がなにかに目覚めていく瞬間を目撃している
……
?)
Reaction
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.
Custom color
Reset color
広告非表示プランのご案内