もももふ(罪)
2026-03-12 00:29:39
16132文字
Public LCB311
 

LCB311 魔法少女パロディ

愛と憎悪の名の下に・ドンキホーテ🎠×ハーモニー・シンクレア🐣

愛と憎悪の名の下に・ドンキホーテ×ハーモニー・シンクレア
魔法少女アニメ風パロディ
ロボトミー未プレイのため細かい設定が異なる可能性があるので注意
長い


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 音楽が聴きたい。


 ◇

 ドンキホーテはとある中学校に通ういつも明るいごく普通の女子学生。
 運動は大得意、勉強はそこそこ、友人たちと楽しく遊び、時には怒られながら、彼女なりの精一杯の学生生活を謳歌している。
 しかし、ひとたび街に現れては悪さをする怪人、「わるもの」が現れると魔法の力で変身、必殺技「アルカナ・スレイブ」で敵を一掃。正義の鉄槌を下して悪を成敗する魔法少女として街の平和を守っている。
 今最も手を焼いている悪党は、通称ハーモニーというイカれたギタリストのわるもの。彼は人間に悪さをしてその悲鳴を楽器の材料にし、狂気じみた音楽を奏でる厄介者だったが、他のわるものに比べて思わせぶりに街中で暴れまわっては、あと少しというところで逃げ足早く去ってしまうので、なかなか捕まえられずにいた。ドンキホーテはいつか絶対に彼をやっつけて、本当の素敵な音楽を愛せるよう説得するのだと意気込んでいた。

 ただし、この魔法少女の力は誰にも知られてはいけない。それは例え気になる同級生の男子、シンクレアくんと一緒にいる時でも、わるものの気配を察知すれば急に用事を思い出したと叫んでその場を離れなくてはいけないのだ。シンクレアくんはドンキホーテと同じクラスで、同じくらいの身長なのにも関わらず、非常に大人びた雰囲気を持つ男子中学生だ。博識かつ成績優秀で、先生相手でも饒舌に話をしている。隣の席になったり帰り道が同じになるたびドンキホーテは気が気でないのだが、彼はいつも優しく微笑んでくれ、やる気が空回りしているドンキホーテを何かと気に掛けてくれるのだった。

 そんな学生生活の中、いつものようにハーモニーを追いかけていると見知った街並みに見覚えのない空間があるのを発見する。空間はまるで液晶テレビの割れた画面のようにノイズがかかっており、直視しようとしてもぼやけて正常に認識できない。空間の中には靄のかかった影のようなものがいて、ドンキホーテに向かって「この世界の真実を知りたくないか」と話しかけてくる。
 ドンキホーテは不気味に感じながらも、これは魔法少女に必要なマスコットキャラクターなのだと考え影の存在を受け入れる。しかし影はしきりに彼女に恐ろしい言葉を投げかけてくる。
 「なぜお前は魔法少女なのか?」「現実から目を背けているのか?」「本当の世界を見たいと思わないのか?」「思い出せ。」「思い出せ。」
ドンキホーテはその度に不安に憑りつかれるのだが、何故だか影の言葉から耳を塞げずにいた。

 影と出会ってから、街中にあった違和感に気付き始める。
 注意して聞いてみると、街中や学校で会話する人々が以前も聞いたことのあるような内容を反復して喋っていたり、何かを指摘する前に都合よく物事が進むことが多いのに気付く。よく考えてみると自分はこの街から外へ出たことが無いし、覚えのあるような情報しか見聞きしたことがない。自分が「それ以上知らない」ということについて、魔法少女の力のせいとするには、あまりに整合性がとれ過ぎているのだ。
 次第にクラスメイトや教師たちに対して存在しないはずの記憶が蘇っていく。
 グレゴール先生は真っ先に前線に立ったことで胸を一突きにされたはずだ。
 イシュメールくんが捨て身でエマージェンシーを機動部隊に送ったはずだ。
 良秀先生の猛反撃で善戦したものの、ヒースクリフくんとムルソーくんが弾薬切れになったことで形勢が逆転したはずだ。
 ロージャ先輩とホンル先輩がほとんど寝ずに抵抗を続けたが、ウーティス学年主任の出血を止める術は見つからず、イサン先生とファウスト先輩は自分たちの力が及ばなかったと最後まで嘆いていたはずだ。

 追い詰められ、大きなため息をついていたところをシンクレアに見つかる。何とか誤魔化そうとしたが、つい「(ハーモニーに)いつも聞かされている音楽が頭から離れない」と話したところ、音楽の話で盛り上がることとなる。彼は今の時代には珍しいCDやラジカセ、レコードを集めることが趣味だと言い、音楽プレイヤーに有線イヤホンをつけて何曲か聴かせてくれた。今までにないくらい近い距離に緊張しほとんど曲が頭に入らなかったが、ドンキホーテはとにかく良い感想を伝える。シンクレアは嬉しそうに買ったばかりのCDを貸してくれ、また音楽の話をしようとまで言った。ドンキホーテは思わぬところで音楽の知識を得ていたことを内心ハーモニーに感謝していたが、いつもどこか憂いを帯びた表情でいた彼が、この時は本当に心の底から笑っていた気がしたのが一番嬉しかったのだった。

 だが、世界は確実に崩壊していた。ネットやテレビでは連日同じニュースが流れ、通学路はあさっての方向へ道を繋げ始め、クラスメイトは毎日同じ場所で同じ台詞を復唱し続けている。そんな状況で人々は不自然なほどいつも通りに振舞おうとする。こんな世界はおかしい。そこに「いつも通り」ハーモニーが現れて、「いつも通り」異常事態を起こすと、街は一斉に正気に戻って魔法少女に助けを求め始め、全てが元通りになった。ドンキホーテはハーモニーの出現に安心すらするようになっていた。

 そんな彼の様子を見て、影は告げる。「奴こそが最も怪しい存在だと思わないのか?」
 ドンキホーテは驚愕し強く反論しようとしたが、口を噤む。彼が捕まらない限り自分は魔法少女でいられるし、彼もそれを望んでそう振舞っているような
 「お前がそこまで魔法少女でいることを望むなら、とびきりのとてつもないものを見せてやろう。」影は不敵な笑みを浮かべると、出会ってからずいぶん大きくなった翼を広げて街の方へ飛んで行ってしまった。ドンキホーテが慌てて追いかけると、なんと影は巨大なドラゴンの姿になり中学校を襲い始めた。生徒や教師たちは恐怖と苦痛で顔を歪め、ドラゴンの牙に貫かれ、血しぶきを上げながら「死んでいく」。そこにはご都合主義の可愛らしい魔法少女の世界は無く、冷酷な真実と現実だけがぶちまけられていた。破壊された教室からシンクレアが這い出て来る。ドンキホーテが半狂乱になって影を止めようとした時、影はシンクレアに向けて言った。
 「この娘の影に隠れて、この世界の人間の行動パターンをずっと観察していたのだ。するとどうだろう。この世界の粗探しをしながらせっせと彼女の精神を揺さぶっているというのに、一人だけわざとらしく下手な芝居を続けようとする奴がいるじゃないか。まるで何もかも知っているのに知らないふりをしているように。何故なのだ?」
 「緊急要請です。討伐対象接触しました。座標を送ります。」
 「なぜお前がいない時だけハーモニーが現れる。なぜハーモニーが去った後にお前が現れる。悪人を演じてこの娘をおだてるのがお前の目的なのだろう!」
 影は耳障りな笑い声を上げると、ドンキホーテの足首を力任せに掴み上げて彼女を宙づりにした。軋んだ骨に体重がかかり、ドンキホーテは悲鳴を上げた。
 「お前がハーモニーでないと言うのなら、今ここで魔法少女が痛めつけられていても、何もすることができない。ええ、そうだよな?このままこいつが脚を捻りつぶされても、眺めているだけなんだよな!」
 「やめろ!」
 彼は叫び、苦渋の表情で手を上げると、鏡の割れる音がした。影の手から逃れ地べたに這いつくばって見上げると、彼はあの黒いスカーフをひらめかせ、あの長いマントを身に纏い、手中にはあの歯車でできたギターを携えていた。それは則ち、彼の正体がハーモニーであるという事実を表していた。
 「騙していて、ごめんなさい。」
 ドンキホーテは絶望する。教室で目が合った時、昼食で偶然隣の席に座れた時、帰り道わずかな時間一緒に歩いた時、思いがけない趣味の話で盛り上がった時、同じ曲を同じ瞬間に聴いている時、彼は私のことを笑っていたのか?顔が熱くなって、胸がときめいていたのは、全部幻だったのか?そんなの、馬鹿みたいじゃないか。一人でいちいちはしゃいで、落ち込んでも頑張って、諦めないで走り続けて
 「魔法少女なんて嘘だ。私の世界は虚構だったんだ。」
 ドンキホーテが呟くと、空に亀裂が入り始めた。しかしそれは空ではなく、街を囲む巨大なドーム型の液晶画面で、割れた破片の端から青色が毒々しい三原色に変化していた。空から降ってきた破片にぶつかった建物は0と1の数字をまき散らしながら消えていき、人々は真っ黒なポリゴンに塗りつぶされていく。
 すると空の亀裂の隙間から白い天井が見え、何かの機械音が鳴り響いたかと思うと、時計の秒針がヌッと顔を出してこちらを“覗き込んでいる”のが見えた。
 「エージェント・シンクレア、すまない。時間切れのようだ。異常存在・憎しみの女王が本格的にエージェント・ドンキホーテの精神を侵食し始めた。一時的に彼女の生命維持装置を止めて、憎しみの女王の生命反応に強制アクセスしてみる。いいね。」
 ドンキホーテが杖を握りしめハーモニーに向けて振りかぶる。瞬間、唐突に後ろに現れた巨大の扉から無数の手が現れ、彼女の目を塞いだ。意識が黒い何かに侵食されていく中で、ドンキホーテは亀裂から漏れ聞こえていた何らかの心地良いメロディーだけ聞き取った。


 ◆

 エージェント・ドンキホーテは異常存在研究機関の専属エージェントである。異常存在は人間の常識では説明できない異常性を持ち、人間の生活を脅かす正体不明の存在である。姿かたちを持つものもあれば、概念や現象といった不定形のものもあり、時に「怪異」「未確認生物」「特殊災害」などと呼称されることもあるが、それらを「科学」の観点から分析し解明しようとする組織が異常存在研究機関だ。
 エージェントは通常の社員や研究員とは異なり、武力を介した異常存在の制圧任務を主とする機動部隊に分類されるが、その中でも並外れた身体能力や戦闘能力を持った者が選出される。所謂特殊要件のスペシャリストである。
 研究員・シンクレアはエージェントが鎮圧作戦で使用する武器の開発を主とする、鎮圧作戦補佐課の研究員である。彼らはエージェントの強力なサポーターとしてエージェントと切っても切れない関係にあったが、エージェント・ドンキホーテと研究員・シンクレアも例に違わない。ドンキホーテは正義感と仲間意識が強く、考えるより先に行動に出るタイプで、シンクレアは臆病ながらも真面目に仕事に取り組む研究員らしい研究員だった。
 正反対に見える彼らは、意外にも仕事面以外でも親交深かった。シンクレアが今時には珍しい、古い型のポータブル音楽プレイヤーを持ち歩いていたのにドンキホーテが興味を持ったことから始まり、二人はお互い自分のお気に入りの曲でプレイリストを作成して、定例会議前の時間に聴き比べをするのを習慣としていた。

 ところが、異常存在研究機関で最大の事件が起きる。収容済みとなっていた異常存在・憎しみの女王が暴走し、管理施設から脱走したのだ。即時異常存在・憎しみの女王鎮圧作戦が敢行されたが、最高責任者である施設管理人・ダンテが頭部に致命的な急襲を受けたことから事態は急変する。
 エージェントたちを始め、機動部隊や各エリアの戦闘要員と鎮圧兵器が総動員されたが、莫大なエネルギーを放つ異常性にまともに太刀打ちできず、次々と仲間たちが倒れていった。
 圧倒的に不利な状況の中、エージェント・ドンキホーテは諦めなかった。彼女がエージェント足りえたのは、その特別な出自から一般的な人間より非常に高い物理的・精神的耐性値を持つためだった。彼女は施設の最奥にある仮想空間特別実験室へ異常存在・憎しみの女王を誘導し、自身の精神的エネルギーを引き換えに、異常存在の「肉体」を「データ」へと強制変換して仮想空間に転送した。本来ならば実験や戦闘データを取得するためのシミュレートをするところに現実改変の力を加え、異常存在をここではない別の世界に送り込んだのだ。

 エージェント・ドンキホーテの決死の作戦により、機関は異常存在・憎しみの女王の危機から脱したが、ドンキホーテは意識不明の状態に陥る。にも拘わらず心電図や脳波の観測が行えたことから、肉体は無事であるものの意識が元に戻っていない夢を見ているかのようだったことから、彼女は異常存在を仮想空間に送り込んだ際、自分の意識までも巻き込んでしまったのではないかと考えられた。
 しかし、研究員たちの助力でなんとか生命維持措置は保てているものの、施設は倒壊寸前であった。更に施設管理人も重体のため、仮想空間に閉じ込められてしまったエージェント・ドンキホーテを救うための計画を立てるには多くの時間と労力が必要だった。
 そこで研究員・シンクレアが仮想世界への潜入作戦を申し出る。仮想世界に逃れた異常存在が、こちらが措置を講じる前にエージェント・ドンキホーテの意識を侵食し、閉じ込められた仮想世界を殻ごと突き破って戻って来る可能性も高かった。そこで計画が完成するまで仮想世界の彼女を守る役目が必要だったのだ。
 幸いシンクレアは、エージェント・ドンキホーテの相方として彼女のデータをよく知る人物だったため適任だった。シンクレアは異常存在・憎しみの女王専用鎮圧兵器として新たに開発した「ハーモニー」とともに、エージェント・シンクレアとして仮想世界に潜入した。

 潜入した先で、エージェント・ドンキホーテが異常存在の自己認識歪曲効果により魔法少女として振舞っていることを知る。仮想世界は、彼女が夢を見る過程で作り上げた、自分が主役の魔法少女アニメの世界と化していた。だがこの状況を逆手に取り、魔法少女の活動を続けさせれば、彼女の意識を沈めず安全に生命反応を維持させることもできる。悪しきものを倒し、弱きものを身を挺して守る正に彼女が意識を失う前に実行したことだった。皮肉なことだが彼女にピッタリの役目だと思った。ならば自分はこの舞台を演出する「わるもの」となり、彼女の正義を守ろう。
 こうしてシンクレアは彼女の学校生活に紛れ、世界の均衡が崩れそうになればハーモニーを奏で、魔法少女を舞台に引き上げ、この世界と戦っていたのだった。




 「この仮想世界はエージェント・ドンキホーテの記憶を基に作られているから、全ての事象にきみの知識や経験が反映されているんだ。しかし人間は一人で生きることはできないんだ、仮想空間という幻の中でさえも。夢を見ている最中でも、「何だか変な状況だな」と思ってしまう時があるでしょ。時間が経てばその世界観に矛盾が生じるようになり、“バグ”が現れるようになるんだ。街の人が同じ会話内容を繰り返していたり、街に謎の空間ができたり、身に覚えのない記憶が蘇ったりね。」
 「このバグをめちゃくちゃに起こそうとしたのがデータ化した異常存在・憎しみの女王きみが可愛がっていた邪悪なマスコットキャラクター、”影”だ。やつはきみの精神を不安定にして、弱ったきみの意識を汚染された世界に封じ込めてから、現実へ復活するのを目論んでいるんだ。」
 ドンキホーテが目を覚ますと、学校の同級生や先生たちではなく、かつての同僚や上司、教官たちが見守っているのが見えた。頭上から降ってくる声は、空の亀裂から覗いていた時計の人物機関最高責任者、施設管理人・ダンテのものだろう。頭部の損傷による命の危機は、あの時計のような装置によってどうにか免れたようだ。他の皆も確かに目の前にいるのだが、輪郭は所々ぼやけて絶えずノイズが走っている。中にはほとんど形を保っていない者もいた。
 ファウスト先生以前はファウスト博士と呼んでいた者が“通信機を通じて”口を開く。
 「現在、現実の世界でまともに動ける者たちだけ、遠隔操作でこのアバターたちを通じてあなたと会話をしています。他のノイズが一段と激しい方々はまだ意識を取り戻していなくて一部のデータだけ再現してこちらに投影した状態です。先程あなたを苦しめていた“影”は、エージェント・良秀と機動部隊員・ムルソーが牽制したお陰でどこかに身を隠したようです。しかし、我々ができるのは遠隔操作でできる範囲のサポートまであなたの精神に実質的に干渉できるのは、直接仮想世界に侵入しているシンクレアさんだけなのです。」
 ドンキホーテはショックを受けるよりも、目の前で倒れていった仲間たちが、例え仮想世界の見せかけの映像だったとしても、事件前と変わらない様子で話をしているのを見てどうしようもなく胸が熱くなり、涙を堪えることができなかった。
 そしてハーモニーエージェント・シンクレアはドンキホーテに静かに語り掛ける。
 「ドンキホーテさん、この残酷な現実に気付かせてしまってごめんなさい。本当はもっと慎重に準備をしてあなたを現実世界に引き戻したかったのですが、あなたは既に異常存在・憎しみの女王の精神汚染の影響を強く受けています。そのため、すぐにでもこの仮想世界から脱却して現実へ戻らなくてはいけません。でも、絶望しないでください。僕、まだ生きてるんです。皆さんもずっと寝ているけれどきっと回復するはずです。希望を失わずに、一緒に現実へ帰りましょう。」
 ドンキホーテは涙を拭ってシンクレアの手を取り、立ち上がった。

 ドンキホーテがこの世界の真実に気付いてから街並みの崩壊は一気に加速していた。イサン博士が言うには、崩壊というよりは夢から醒めて元の状態である「無」に戻っているのが近いとし、この学校のようにドンキホーテにとって思い入れの強い場所や物が残り続けているのだという。現実世界への戻り方は至ってシンプルで、先ほどダンテが覗いてきたところ、すなわちとにかく上へ、空を目指すことだという。同時に現実世界では既にドンキホーテの意識を引き上げるための「アンカー」が起動しており、こちらに向かって降りてきている。そこで一度学校の屋上まで上がり、可能な限り精神世界に干渉できるだけの特殊な「階段」を構築する。階段をとにかくアナログに高く積み上げていき、それをひたすら上り続けて「アンカー」と合流し、後は釣り糸を掴むが如くアンカーの先に回収されて意識の外に引き上げられるという手筈だ。

 屋上までの道をロージャ通信員とイシュメール通信員がナビゲートし、その道をウーティス指揮官の指示の下、機動部隊のグレゴール部隊長とヒースクリフ部隊員のアバターが切り拓いていく。途中、自分が信じていた風景たちが砕け散って奈落の空間へ落ちていくのを見て、ドンキホーテはどうしようもない不安に襲われたが、その度に繋がれているシンクレアの手を強く握り、シンクレアがその手を握り返した。屋上へ辿り着くとホンル研究員が何かの装置を起動し、螺旋階段の映像を投影し始めた。螺旋階段は触ると確かに固い感触があり、足を掛けていくと霧が晴れていくように天へ続く階段の先が伸びていった。
 最後に空からダンテの声が語り掛けてくる。
 「これでアバターのみんなができることは全てだ。後はひたすら階段を上り続けて。現実の私たちの怪我はかなり酷かったけれど、私の権限で他社の医療技術サポートも最大限まで受けられるようになったし、エージェント・ドンキホーテの意識奪還作戦に残りの資源を投入することにみんなも賛同してくれたんだ。あなたが現実で守ったものを無駄にはさせないと誓うよ。それではシンクレア、最後までよろしくね。」
 通信機も限界だったのか、最後の言葉を語り終えると何も聞こえなくなってしまった。ドンキホーテは縮こまっていた僅かな勇気を奮い立たせると、階段に足を掛ける。かつての同僚たちが見上げて見守っていたが、その姿も段々と見えなくなっていった。

 階段を登って空の“天井”に近づいていくたび、エージェントの記憶が蘇って意識がクリアになっていく。魔法少女のドレスが剥がれ落ちて黒いスーツが顕わになり、ピンクのローファーは色褪せた運動靴に姿を変えた。ドンキホーテが現実を受け入れこの世界から決別する意思が現れたのだ。しかし彼女はたったひとつ、大きな未練をここまで持ってきてしまっていたそれが影のつけ込む隙となった。
 「想い人が忘れられなくて気まぐれなプレゼントに途方もなく縋ってしまう。なんとも可愛らしい青春の一幕じゃないか。」
 地の底から這いあがるように恐ろしい声が響き渡る。ドンキホーテが真っ青になりながらポケットに手を入れると、シンクレアが貸してくれたCDが現れた。会ったときに返そうと思ってずっとカバンの中に入れていた、いや、本当はただカバンの中に入れておきたかっただけで忘れていたのだ。ケースの裏から邪悪な黒い霧が吹き出し、揺蕩う靄がやりと笑う。影はずっとドンキホーテの「未練」という世界の欠片に隠れていたのだ。
 ドンキホーテはすぐさま魔法のステッキを振り上げようとしたが、その手には何もない。彼女はもう魔法少女ではないからだ。影は巨体を膨れ上がらせると、息をつく間もなくドンキホーテの首を掴み、途方もなく長い尾を螺旋階段に巻き付け咆哮した。
 ドンキホーテの頭と身体が恐怖で凍り付く中、シンクレアがギターを取り出し鋭い音の刃を浴びせるが、異常存在・憎しみの女王は翼で受け止めると嘲り笑う。
 「知っているぞ、その武器はもともと私と同じ異常存在『歌う機械』から作ったものだな。異常存在に異常存在と同じエネルギーを転用して対抗するのは理に適っているが、人間がその対価を支払えるかは別だ。お前は既に魔法少女との戦いでその武器を幾度も使ってきた。そろそろ限界に近いのではないか?」
 ドンキホーテが驚いてシンクレアを見ると、彼の額には脂汗が滲んで、瞳孔は開きってぎらついている。人間の精神に影響を与える異常存在を武器に転用すれば、使用者に何も起きないわけがない。彼の武器使用回数はとっくの昔に規定を超えていた。彼は今、精神侵食による暴走を理性のみで必死で抑えている状態だったのだ。
 「絶望しろ、エージェント気取りの臆病なヴィランよ!お前は魔法にかかった姫を救う騎士にはなることはできなかった。彼女がここから地面に叩きつけられるのを見届けるが良い。彼女は眠り姫となって、誰もいない夢の中で幸福に生き続けるのだ。だが安心しろ、現実の方は私が代わりに片を付けてやるからな!」
 気が遠くなるほど透き通った青い空から、果てしなく遠い底の見えない奈落が口を開けているのが見える。何も救えなかった。正義感だけで突っ走って、無鉄砲にこの世界に飛び込んで、魔法少女を盲目的に演じ続けて、それでも仲間たちがここまで送り出してくれたのに、私たちの行く果ては地獄なのだみんな、本当にごめんなさい
 ドンキホーテを掴んだ憎しみの女王の太い腕がバッドエンドの運命を下そうとして無情に振り下ろされハーモニーのギターがそれを受け止めひびが入るのも構わずシンクレアは、彼らを止めた。
 「ドンキホーテさんあなたが初めて僕に話しかけてくれた時のこと、覚えていますか。昼食の薄いサンドイッチを食べながら音楽プレイヤーを回していたら、あなたが突然イヤホンを取っていきましたね。苦くて甘いコーヒーソーダを飲んだみたいなクラシック・ロックあなたがそう言ったのは、僕が一番好きだった曲だったんですよ。僕は人を守るために研究者になったけど、臆病で戦場に立つことができない自分に歯痒い想いを抱いていました。だからエージェントは、強くて逞しくて怖いものがない、僕にとって憧れのヒーローだったんです。そんなあなたと対等な相棒でいられるなんて。どれだけ僕が勇気づけられたか、あなたは思いもしなかったでしょうね。」
 「あなたはいつでもどんな時でも笑顔を絶やさず、諦めず、みんなを励ましていました。それはドンキホーテさんが強いからできることなのだと思っていました。しかしそれは違いました。憎しみの女王の事故が起きて、皆さんが次々に倒れていって、打ちのめされて立ち上がれなくなった僕の手を取った時、あなたの手は震えていました。強いから、平気だから頑張れるんじゃないんです。怖くても、辛くても、頑張れるからあなたは強いんです。だからあなたは自分の身を投げ打って僕たちを守れた。ようやく気付きました。」
 「ドンキホーテさん。これまであったこと、全部嘘じゃないです。何があってもあなたはみんなの魔法少女で、僕のヒーローです。あなたがそうしたように、これから起こることも僕は全部受け入れます。僕は魔法少女・ドンキホーテの一番のライバル、ハーモニー・シンクレアだから!」
 何かが弾け、張り裂け、はち切れる音がすると、禍々しい刃まみれの歯車を備えた拷問器具が憎しみの女王を取り囲んだ。人間の理性を突破して発動する武器の力精神侵食による暴走は、多大な犠牲を支払う代償に莫大なエネルギーを放つ。ハーモニーがありったけの力を込めてギターの弦を叩き、至上のリズムを空に解き放った。

 ドラゴンの姿が影に戻り、影が二進数に分解され、雑音に紛れて消えていく。嘘のように静かになった螺旋階段の踊り場に、エージェント・ドンキホーテを抱えたハーモニーが音もなく着地する。
 「シンクレアくん
 ドンキホーテが手を伸ばし、事故前より長くなった彼の前髪を搔き分けると、声を失った。彼の目からはおぞましい色の粘液がとめどなく流れ出し、その瞳は異常に欄々と輝いてドンキホーテを見ていない。ドンキホーテ発する音を「見ている」。異常存在・歌う機械の精神汚染だ。彼はもう正気ではない。
 「お、おんがく、」
 あともう少しで天井なのに。あともう少しで現実に帰れるのに。ドンキホーテは今度こそ現実を受け入れられなかった。理性を失いながらも朧気に言葉を発する彼の口元に、恐る恐る耳を近づける。
 「おんがくが、ききたい」
 異常存在・歌う機械。見た目は何らかの音響装置に見えるが、その実態は人間を粉々に砕き引き裂いた音で至高の音楽を奏でるという楽器。この異常存在の精神影響を受けた者は、また新しい音楽を聞こうとして別の人間をこの装置に捧げる。
 「あなたが、かなでる、おんがく。ききたい。ききたい。」
 手元のCDケースを見る。同級生・シンクレアくんの柔らかな笑みと、研究者・シンクレアくんの困ったような微笑みを思い出す。いつも彼と座っていたカフェテリアと、そこに死体の山が積みあがっていた光景を思い出す。辛うじて息をしている同僚を見て、黙って首を振る同僚の泣きそうな顔を思い出す。きっと回復する、シンクレアが言っていた言葉を信じるには、エージェント・ドンキホーテはあまりに残酷な地獄を見過ぎていた。現実逃避は心的外傷からの明らかな防御反応だった、だからここまで魔法少女の役にのめり込むことができたのだ。
 「あなたのハーモニーきっとすてきだ。」
 目の前の歌う機械・シンクレアを見る。このままアンカーに回収されれば、おそらく私は現実に戻ることができるだろう。しかし彼は?あの壊滅状態の施設が暴走した異常存在をもう一度受け入れるのか?この螺旋階段もじきに崩れる。この世界の奈落に落ち、私の仮想世界に永遠に閉じ込められ、狂った空間で独りで狂い続ける。何も聞こえない場所で。私を助けてくれた人が。私のせいで地獄に落ちる。
 拷問器具たちの夥しい数の刃を見る。どこに行っても地獄なら、せめてそこに音楽が響いているべきではないか?私が音楽を奏でることができるなら。罪人は裁きを受けるべきだ。地獄で鎮魂歌を歌い続ける贖罪が必要だ。
 私の音楽が聴きたいと言ってくれた彼の言葉が、嬉しい。
 私のことをヒーローだと言ってくれた彼の言葉が、嬉しい。
 私の音楽を聴いてほしい。
 シンクレアくん、好きだ。
 ドンキホーテは歌う機械に手を伸ばした。


 音楽が聴こえる。
 聞き覚えのあるメロディー。魔法少女になってからずっと頭の中で響いていた曲だ。いや、魔法少女になる前からずっと聴いていた曲だ。口ずさみたくなるリズム。幾重にも連なる心地良いハーモニー。初めて聴いた時、慣れない都会の喫茶店で飲むお洒落なドリンクのイメージを思い浮かべて、咄嗟にコーヒーソーダなどと口走ってしまった曲だ。
 音楽は天井の亀裂から漏れ出ている。この世界の外には昏睡状態で眠りに就いているエージェント・ドンキホーテの病室には、音楽がずっと流れている。エージェント・シンクレアが仮想世界に潜入するとき、ある種の願いとして、ある種の祈りの儀式として、一緒に作っていたミュージックプレイリストを流し続けることにしたのだ。音楽を聴いてエージェント・ドンキホーテが目を覚ますことはなかったが、魔法少女・ドンキホーテにはずっと聴こえていたのだ。絶望しかない現実にも、希望を持って戻って来られるように、それは今道しるべとなってようやく彼女の目の前に現れたのだった。
 「シンクレアくん」
 ドンキホーテが語り掛けると、シンクレアは首を軋ませ、彼女と目が合うような角度へゆっくり顔を傾け、狂気的な笑みで顔が引き攣っていても、彼なりに努力して目を細めた。ドンキホーテはあの時と同じように、再び震える手で彼の手を握った。
 「絶対に諦めないから、何があってもまた迎えに行くから。私のことを待っていてくれないだろうか」
 シンクレアが手を解き、再び彼女の手の位置を探すように何度か空を掴むと、今度は彼が彼女の手を包み、優しくその甲を撫でた。その温かさに強張った身体を溶かされ、支えを失って彼の胸にもたれかかってみたが、自分の泣きじゃくる声で彼の心臓の音は聴こえなかった。
 螺旋階段の支柱に致命的なひびが入った。踊り場が傾き、割れたプラスチックケースのCDが二人のそばに滑っていく。それは「あなたにまた会うためにまたさよならを言う」というような歌詞のバラードだった。シンクレアはCDを拾うと、それをドンキホーテに渡した。それはこの世界に最後に残った未練の象徴であり、さよならを言うための装置だった。シンクレアが立ち上がり、踊り場の端のぎりぎりまで歩を進めると、ギターを肩から下げてドンキホーテを振り返った。彼を支えるものは何もない。わざとらしく弦を弾いて腕を振り上げたその無防備な姿勢のままで、まるで稀代のロックミュージシャンが観客の海に身体を投げ打つように、シンクレアが背面から地の果てへ落下するのと、ドンキホーテがCDを振りかぶり、床に叩きつけるのと、アンカーが彼女の身体を引っ掴み、残った青い空たちが崩れ去るのは、全て同時だった。

 ◇



 音楽が聴きたい。


 地獄に落ちるというというのは、それは恐ろしいことだと思っていましたが、案外誰かを待ち続けてただ時間が過ぎるのを待っているだとか、意味もなく自堕落に横になっているとか、そういう虚無の感覚に近いみたいです。強いて言うなら、退屈です。せめて適当にラジオを流すくらいはしたいですね。僕の目には暗闇しか映っていないから。でも、ヒーローを救って落ちる地獄なら、そこまで悪くないかな。

 音楽が聴きたい。


 僕が音楽を好きなのに、実はあまり理由は無いんです。特別に何かに詳しいわけでもなく、ただレコードやカセットテープが煩雑に並べてあるショップにいたい、格好つけたがりのミーハーというやつでした。音響にも拘りはなかったから、今時流行りではない型落ちのミュージックプレイヤーに有線イヤホンを繋げて使っていました。あまり良い音質じゃなかったと思いますけど、ドンキホーテさんは僕の好きな曲を聴いて好きだと言ってくれました。
 あれは何というタイトルだったか。もう覚えていませんが。

 音楽が聴きたい。


 ドンキホーテさん。彼女、ああ見えて音楽を聴く時はすごく集中して静かに聞き入るんです。
 僕が鎮圧作戦補佐課に配属されて間もない日、いつものようにカフェテリアで音楽を聴きながら、僕が担当する憧れのエージェント、ドンキホーテさんはどんな人だろうと考えながらぼーっとしていると、突然誰かがイヤホンを外してきて、何かと思ったら本人が目の前に座っていました。僕はひどく驚きましたが、神妙な表情でじっと動かず、イヤホンから流れる音に耳を傾ける彼女の姿を見て、ここを邪魔するまいと咄嗟に口を噤みました。曲が終わってゆっくりと耳からイヤホンを外す彼女が、次の言葉で僕の好みを何と評価するか、僕の感受性に何と言及するのか、生唾を飲み込んで待ちました。
 すると。「カウヒィソォダ!」と素っ頓狂に叫んだんです。僕は頭に疑問符を浮かべたまま固まってしまったのですが、彼女曰く、すごく良い曲だったから何か良い言葉で表したかったが、上手くできなかったので頭の中に浮かんだイメージをそのまま口に出してしまったらしいです。本当に可笑しいですよね。でもこれが彼女なんだと思いました。そこから話すようになって、よく聞く曲やお気に入りの曲をお互いに集めて聴き比べしようということになりました。
 ドンキホーテさんが選んだ曲なら思い出せそうなのですが。

 音楽が聴きたい。


 彼女、ラブソングが好きみたいでした。女の子向けのアニメの主題歌で流れるような可愛いやつです。少し意外に思ったのですが、そこから僕もアニメとか、アイドルの曲をたまにプレイリストに入れるようになりました。
 この曲なら彼女の好みだろうか。彼女はなぜラブソングが好きになったのだろう。この歌詞を聴いてどう思うのだろう。一番お気に入りの曲は何か。今度はこのジャンルから選ぶのが良いだろうか。人生でどの瞬間にこの曲を聴くのだろうか。彼女のことを思い浮かべながら、ただ選んでリストに並べていく。それだけの作業。
 人のために音楽を聴くの、楽しかったな。

 音楽が聴きたい。


 有線イヤホンだから、片方のイヤホンを貸すとお互い頭を近づけて同じ目の高さになります。
 もちろんプレイヤーは無線イヤホンも対応していましたが、有線イヤホンで慣れていたし接続が難しくて使えませんでした。ドンキホーテさんにわざわざ買わせるのも悪いので、僕があるものを貸してあげると言いました。
 太陽みたいな存在、エージェント・ドンキホーテと同じ目線になれるこの時間。
 特別な理由なんて無いです。僕らはただの同僚で、同じ音楽好きだっただけです。
 感想を語る時の、彼女の笑顔だけははっきりと覚えています。

 音楽が聴きたい。





 ごめんなさい。
 無線イヤホンが使えなかったというのは嘘です。
 有線イヤホンをずっと使っていたのは片耳ずつ分けて使うとお互いの距離が近くなるからです。
 彼女が音楽を聴いている間、僕は彼女のことを見つめていられるから、理由を付けてそうしませんでした。
 ドンキホーテさんのことが好きだったからです。
 ごめんなさい。

 もう一度彼女に会いたいです。

 音楽が聴きたい。


 ◇



 ガラスの破片のような、小さくて鋭いものが弾ける音がした。
 顔を上げる。今の彼の瞳には何も写らないはずだが、確かに光るものが視界を横切った。
 あれは砕けたCDだ。ここに存在するCDと言ったら、あの時ドンキホーテが砕いたCDだ。どのくらいの時間がかかったか分からないが、螺旋階段の頂上から落下して、今この瞬間地の果てへ着地したのだ。
 長らく立つということを忘れていたが、足の裏を床に合わせて身体を起こしてみる。
 見えない眼を閉じて、耳を澄ませてみる。低音が一定の間隔で響いていることしか分からない。もう少しそのままでいる。リズムの合間にくぐもったメロディーが乗せられている。
 これは音楽だ。何の音楽かは分からない。それでも音楽が聴こえる。空気の振動に合わせてゆっくりと首を上下させてみる。音程が高くなったり低くなったりするのが分かると、これが人の発声と気付く。リラックスした、穏やかな心情を感じる。そしてこの音が一塊になって意味を伴い、言葉を作っていると理解する。
 音楽が聴こえる。このハーモニーを覚えている。甘くて苦いコーヒーソーダのようなクラシック・ロック。その合間に行き交う人の足音と機械のピープ音が時折挟まれるが、透き通った歌声はずっと聴こえる。仮想世界の外の音だ。現実に戻った彼女が、果てしない努力の末に僕を迎えに行こうとしているのだ。暗闇に光が差し込み、音が道を作っている。シンクレアは走り始めた。

 もしかしたら現実はもっと酷いもので、仲間たちは何人か命を落としてしまったかもしれないし、生き残った仲間も安心できるような状態ではないかもしれない。それはここで孤独に過ごすよりもっと辛いことかもしれない。けれど大丈夫だ、僕たちは諦めないことを知っている。全てを解決してくれる魔法少女やヒーローは現れないかもしれないけど、誰かがそうなってくれるって信じるくらいはしても良いだろう。未来は良くなるという希望を持ち続ければ、その夢が叶うかもしれないじゃないか。
 ああ、でも彼女に僕たち両想いだったみたいですよ、なんて言ったら顔を真っ赤にして困ってしまうだろうか。でも恋する魔法少女がここまで頑張ってきたんだから、そのくらいは教えても良いですよね。未来に少しワクワクがあった方が、これから先も楽しいですよ。
 愛と憎悪の名の下に。愛も憎悪も、喜びも悲しみも。全て受け入れるよ。
 アンカーが彼を掴み、眩しい光の向こうへ引き上げた。





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以下 読まなくて良い後書き

わるものの設定について、精神汚染が広がるとみんなもわるものになっちゃうみたいなことにして、それぞれヴァルプルギスの夜の人格やEGOが元ネタのわるい能力を持っているとかだと12話分くらい作れてアニメっぽくなるな~と思ったけど、拘り出すと設定が難しくなっちゃうかなと思い裏設定ということにした

異常存在研究機関について、未プレイ故ロボトミーの設定をそのまま持ってくるのはどうかと思い、その着想元であるSCP財団をモデルの大半として書いている
役職名などは大変勘で書いている おそらくいろいろ詰めが甘いと思うが雰囲気で読んでね

みんなの所属や状況(×:重症 △:軽症 ○:無事)
・グレゴール×、ヒースクリフ×、ムルソー×:機動部隊
・ウーティス×:機動部隊指揮官
・ロージャ△、イシュメール×:通信員
・良秀×:エージェント
・イサン○、ファウスト○:博士
・シンクレア○、ホンル△:開発・支援
シンクレアがドンキホーテのバディで、ホンルさんが良秀のバディ
頑張ってみんな助かってほしい

音楽云々の話は、なんか有名なロックバンドの曲とか元ネタとかあったらカッコ良いんだけど、知識があまりないので書けなかった
好きな曲を当て嵌めてお好きに考えていってね

この話は引き続きブルースカイで擦っていきます(宣言)
絵とか描いたら更新していく

おわり