現在はラダという名前で登録されているダーリンを収容したのは俺だった。若い裸の女がいるときいたとき、ラッキーだなと思った。別にだから具体的に、密室に連れ込んで同行しようなどと邪な事を考えていたわけではない。
現在無害だと言っても、相手はダーリンだ。一見、おとなしく見えたとして、何をされるか分かったものではない。
ダーリンの危険性は、わかりやすいものばかりではないのだ。
精神操作系の能力の使い手だった場合、知らず知らずのうちに洗脳されているかもしれない。そうでなくとも、彼らが所持している能力は、ほとんどが致死性のものであり、単なる人間には、太刀打ちできないものであることがほとんどだ。
だからAg:47の職員は命の危険があると言われているのだ。
基本的に太刀打ちする手段がない敵に、立ち向かわなくてはならない。
その分、本部への相談も確認もなしに現場判断で射殺していいことになっているのだが、油断させて犠牲者を近くに寄せてから牙を剥く程度に知恵が回る相手だった場合は、更に厄介だ。
それでも職員である以上はダーリンが確認されたら、向かわなくてはいけない。
幸いにも、彼女はおとなしかった。
しかし車に轢かれて、骨が露出などしている状態で、あまり見ていて心地のいい出会いではなかった。裸の女というよりは、生き返った死体というイメージが先行した。
引いた運転手は哀れな一般人で怯えきっていたが、ダーリンは器物である。これはただの物損事故であり、壊した器物には所有者がいないから、訴えられることもない。せいぜい車の修理代がでないことを心配していればいいのだ。
折れた骨の位置を、素人判断ながら元に戻してやると、本部に戻る道すがらで、再生をしていた。
個体によるが、ダーリンの中には人間よりも丈夫であったり、人間を越えた再生能力も持っているものがいる。この世にある限り、慢性的苦痛に苦しめられるという。その苦痛によって命を落とすことがないように、丈夫にできているのではないだろうか。
なるべく長く生きて苦しむことが罪人に対する罰というのであれば、この世には本当に神様ってやつがいるのかもしれない。
裸の女は物珍しげに、車窓の外の街並みを眺めていた。
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.