ルカキリ。マロリクの予行練習で「ナド・クライで仲良くなってたのにいろいろあってアビス堕ちしてしまったフリンズと戦って元に戻してラブラブしてほしいです」という清田さんからのリクエストになります。
簡単に言えば、旅人がナドクライに駆けつけるのが遅くなった、くらいのIFストーリーになります。
私的にはハピエンですが、ファルカがフリンズをコロコロする描写がございます。苦手な方は読まない方がいいです。
マロリク募集しております。初めてなのでルカキリ限定でお願いいたします。返信はXで行うと思います。
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どうして、こうなったのだろうか。
遠征の目的地、ナドクライにて恋に堕ちるとは思っていなかった。同性で恐らく人でない存在に。
フリンズとは良い飲み仲間、という関係だ。口説いてはいるのだが、上手く躱されている。かと言って拒絶されている訳ではない。どうしたもんか、と想い人の隣で酒を飲みながら思案する。拒絶されない以上、諦める気はさらさらないが。
そう想いを馳せていると、フリンズにそういえば、と声をかけられる。
「ファルカさん、誕生日過ぎていましたね? 遅くなりましたが、プレゼントを贈らせてください」
「え」
「たいしたものではありませんが、どうぞ」
まさか俺が伝え忘れてただけなのに、誕生日プレゼントをくれるとは思わなかった。
小箱を開けると、蒼い宝石があしらわれたブローチが収まっていた。
「なんか悪いな。催促したつもりはないんだが」
「僕がファルカさんにお祝いしたかっただけなんです」
ブローチを覗き込むと、ゆらゆらとなにかが揺らめいている。神秘的だ。
「すごいな! こんな宝石、見たことがない」
「
…スネージナヤにしかない特殊な鉱石なので、見たことないでしょう」
「ああ、こんな綺麗なブローチを貰えるなんて光栄だな。
…これは期待してもいいのか?」
「“友好の証”としてお受け取りください」
「
………つれないな」
今日も躱された
…。それにしても口説かれている自覚はあるのだろうか。きっぱり拒絶されたら、こちらとしても引くつもりなのだが。
そう考えていたせいだろうか、この日を最後にフリンズと会えなくなってしまった。
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これは、本格的に拒絶されているのだろうか。
そう考えていたが、事態は思ったより深刻だったようだ。まさかライトキーパーでも行方がつかめないとは思わなかった。
元々、居場所を教えているタイプではなかったそうだが、ナシャタウンおろか、夜明かしの墓にもいないらしい。
ランプを探知できる装置を使おうとしたらしいが、何者かに破壊されて扱えないとか。今はアイノが修理中だ。
…嫌な、予感がする。
だが、こちらで調べてもなにも掴まらない。不安だけが募る。
アイノに呼ばれる。装置の修理が完了したらしい。フリンズはスターダストビーチにいるようだ。
ライトキーパーに無理を言って、同行させてもらうことにした。
スターダストビーチに到着して、アビスの瘴気が溢れんばかりでていた。ワイルドハントも湧いてきている。
ライトキーパーはワイルドハントに対応している。フリンズも、この数のワイルドハントを、一人で処理を?
「悪い、俺は根源を探しに行く!」
そういってワイルドハントを凪払う。
…心なしか、ワイルドハントの動きが鈍い。数は多いが、ライトキーパーに任せても問題ないだろう。
ワイルドハントは、まるで俺を導いているかの如く、俺を攻撃しようとしない。
いくらワイルドハントが鈍くても、フリンズは独りで戦っていて、
………ほんとう、に?
…何を考えているんだ俺は!!
風元素の力を集中させる。駆け抜けるように走る。この予感が当たらないことを願うことしかできなかった。
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どうして、こうなったのだろうか。
「
………よかった、まにあいました、ね」
「
………フリ
……ン、ズ」
フリンズは、アビスに堕ちていた。
…辛うじて人の姿を保っている。会話もできている!
………まだ、まだ、なにかできるはずだ!!
「フリンズ、まだ諦めるな! 何か、何か、手は
………!」
「
………ファ
…ル
……カ
………」
フリンズは、アビスの瘴気に包まれる。手を伸ばすが、距離を取られる。僅かに見えた口元が、何かを伝えようとしていた。
あなたのてで、おわらせて
目の前には、人の形を保てない、アビスに堕ちた魔物がいた。
ワイルドハントの咆哮が聞こえる。辺りを見回すと、今まで動きが鈍かったのが嘘のように、機敏になっている。
理解したくないのに、理解してしまう。
ワイルドハントを操っているのは、フリンズだと。
限界までアビスを抑え、被害を抑えようとしたことも。
………そして、俺に、殺して欲しい、ことも。
…これで、狂えたらどれだけ楽になるだろうか。
だが、フリンズも、それを望んでいない。
歯を食い縛る。口の中に血が広がる。
心を殺せ。使命を思い出せ。俺は西風騎士団、大団長のファルカだ。
剣を構える。目の前の魔物を見据える。
誰かがやらねばならない。どれだけ辛くても、それでも。
「
………フリンズ、ずっと、おまえのことが、好き
………だった」
この言葉は届くかわからない。それでも、伝えたかった。
声にならない叫び声をあげながら、魔物が突撃してくる。
寸の所で躱し、剣を振り払う。魔物が悲鳴をあげている。
…フリンズの、声、だ。
『ファルカさん』
あの低音を響かせる声が好きだった。俺を呼ぶが好きだった。
魔物はどんどん傷ついていく。心なしか、表情が苦しそうに見える。
フリンズのふとした瞬間に見せる笑顔が好きだった。純粋無垢に微笑む姿が、好きだった。
最後に会ったのは、フラグシップで誕生日を祝って貰った時か。好きな人からのプレゼントが嬉しくて、今も身につけているんだ。でも、お前にとっては、別れの餞別にくれたんだな。
………せめて、助けて、と言っても、よかったのに。
何も、できないくせに、どの口が言っているのだろうか。
気がつけば、魔物は、虫の息だった。
抵抗など、していない。魔物は、手を広げ、最期を待ち望んでいた。
片方の剣を地面に突き刺し、残った剣を両手で構える。
「
………よく、頑張った、な」
今、解放してやる。
魔物の、フリンズの身体に、剣を突き刺す。
血が、振りかかる。フリンズを、抱き締める。頬に、涙が伝う。
…どうして、どうして、こうなったのだろうか。
これを、どうか、やつに、わたさないで
耳元で、囁かれる。
フリンズの手には、ランプが握られていた。いつも、腰にぶら下げていたランプだ。
灯は消え、何かの結晶が入っていた。アビスの瘴気を放っている。
………これが、原因、なのか。
受け取ると、フリンズの身体は、跡形もなく崩れ落ちた。
ランプと、結晶しか、残らなかった。
耳に悲鳴のような音が聞こえる。自分の声と気付いても、抑える事はできなかった。
───────
「よこせ ─── もともと俺の物だ」
ワイルドハントの幻影が近づいてくる。
…そうか、お前が、この結晶を求めいたのか。
怒りで目の前が赤く染まる。周りの音が聞こえなくなる。
「
………おまえ、の、せいで!!」
ワイルドハントの幻影に斬りかかる。ワイルドハントの幻影が、こちらに襲い掛かる。
攻撃を受け止めてすぐわかった。こいつは、強い。
『これを、どうか、やつに、わたさないで』
だがな、フリンズの最期の願いを、俺が守れなくてどうする!
「渡すわけ、ねぇだろ!!」
そう叫ぶと、ブローチが燃え盛るように熱くなった。
───────
もう、永くはないだろう。
ランプに保管している結晶から、アビスの瘴気が溢れだし、そろそろ、限界を迎えそうになる。
自殺、ができれば迷惑にならなさそうだが、あのワイルドハントの幻影が結晶を奪い返しに来るだろう。
なら、対処できる人に託す方がマシ、な訳で。
それをできるのは、あの人しかいない。
彼の、熱が込められた眼差しを思い出す。わかっている。彼は僕に好意を抱いていると。そして、僕も彼に好意を抱いている。でも、その想いに応えるわけにはいかない。アビスに堕ちる未来が近づいているのに、恋仲になってほしいなど言えない。この想いは墓場まで持っていくつもりだ。
せめて、僕にできるのはこれくらいしかない。
ブローチの宝石に、アビスに汚染されていないわずかな蒼炎を移す。サファイアの宝石に蒼炎が宿る。
アビスの瘴気が増す。もう、時間は、ない。
貴方に想われている事を知りながら、止めてほしいと願う。
僕は、本当に残酷な事を強いろうとしている。
………ごめんなさい。でも、貴方の手で終わらせてほしい。
このブローチは最初で最後の誕生日プレゼントだ。
…せめて、貴方の幸福を、祈る。もう、それしかできない。
涙が零れる。そんな資格など、ないのに。
───────
右手の剣に、蒼炎が宿る。
この、蒼炎、は、
「
………忌々しいフェイめ! 死してなお、俺の邪魔をするのか!!」
フェイ。確か、スネージナヤにいる、妖精。
…そうか、フリンズは、フェイだったか。
ワイルドハントの幻影を蒼炎で切り刻む。
………フリンズ、ここに、いるんだな。
ワイルドハントの幻影は、俺の攻撃に怯む。だが、他のワイルドハントが、幻影を庇うように立ちはだかる。
だが、ワイルドハントの一角が倒れる。現れたのは、イネファと、あの二人組は、もしかして、
「栄誉騎士! これを!!」
考える前にランプを投げる。ワイルドハントの幻影がランプを奪い返そうとするが、割り込んで阻止する。
「おいおい、どこ見てやがる! お前の相手は俺だろうが!!」
「
………邪魔を、するな!!」
激しい交戦の末、栄誉騎士が結晶のアビスを浄化する。
幻影は逃げ去り、ワイルドハントも消えていった。
───────
「いきなり、びっくりしたぞ
…。ナドクライに到着して早々、西風騎士団の人に向かうように言われて、これだからな」
「そいつは悪かったな。
………栄誉騎士、アビスを浄化してくれて、感謝する」
自己紹介も程々に、感謝の言葉を告げる。結晶のことも聞かれたが、俺にも託されたもの、としか言えない。
「そういえば、さっきの蒼い炎って、元素力じゃないよね。あれは、何?」
「あれは、だな
………」
『“友好の証”としてお受け取りください』
「
………“愛の証”って、やつだな」
「おい、真面目に答えろよ
…」
「俺は至って真面目だぞ」
何が友好の証だ。こんな愛情を込められて信じられる訳ないだろ。酷い嘘をつきやがって。
でも、許してやるか。ずっと、一緒に、いてくれるなら、それでいい。
ブローチに触れると、ほのかな温もりを感じる。多分、喜んでいるのかもしれない、そう思うことにした。
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