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まきわ
2026-03-11 17:53:51
7861文字
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クロリン
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Don't be alone
クロリン前提でいちゃいちゃシーンもありますがほぼ先輩のシーンです
戦ってる先輩が書きたいというのがメイン…
捏造の銃が出てきます
先輩に夢を見ています、わかっています、ふ、ふふ
「導力銃の強化版~?」
好きなタイミングでいいからその内顔を出してくれ、とジョルジュに頼まれていたクロウは今ルーレにいた。
帝都に呼び出されたので帝国に戻るついでにルーレに寄ったのだ。
そうして訪ねたジョルジュの研究室でクロウは眉を寄せてそう言った。
「お前銃の研究なんかしてたのか?」
「メインは義肢の研究だけどね」
ジョルジュはクマのある目でにこりと微笑んだ。
義肢と言ってはいるものの、実際は身体の機能を補う導力機器全般の発明に勤しんでいるようだ。
その為最近では医学の勉強にも手を伸ばしているらしく、武器系統には関わりがなくなったと思っていたのだが。
「だけど君やトワは銃を使うだろう?」
「まぁオレは導力銃でトワは魔導銃だけどな」
同じ銃だが厳密には割と機構が違っているので一緒くたに研究するものでは絶対ないだろう。
「だからもっとこう
…
いざって時に起死回生の逆転ができるようなものが作れないかなって」
「
……
オレはともかくトワはぜってーいざってほしくねぇけどなぁ
…
」
トワも一応士官学院の卒業生でもあるし、護身くらいはできるのだが正直相手のレベルが少し上がれば独りでの対応は不可能といえる。
ジョルジュもそうだがいわゆる非戦闘員なので、「いざ」なんてものには遭遇してほしくはない。
「いざるってなにさ。僕だってそう思うけど、トワもNGO関係であちこち行くようになったでしょ?」
「まぁそうだな」
実際今も共和国に出向する話が出ているらしいし、それ以外でもリィンほどではないにせよ飛び回っているようだ。
「だからせめて安心できるような武器をあげられたらって思ったんだけど
…
」
「
…
それ、ほんとにお前の考えか?」
なんとなく気にかけすぎている感じがしてクロウがジト目を向けると、ジョルジュは苦笑しつつ頬を掻いた。
「もちろんトワに安全であってほしいって思ってるのは前提として
…
共和国行きが決まったくらいからアンが三日と空けずにここに来てね
…
。『心配だ~心配だ~』ってぼやくからさ
…
」
「
…
ま、んなこったろうと思ったぜ」
「まぁそういうわけで気分転換にちょっとずつ研究を進めてたんだけど
…
」
「だけど?」
「
…
トワの戦闘力で起死回生できる武器っていうのは難しいよねぇ」
「だろーな」
大きな力が発揮できる武具はそれだけ扱うもののテクニックも求められる。
そうでなく尋常でない力を発揮できるとしたらアーティファクトになってしまう。
「というわけでクロウの分だけできたんだ。ほらこれ」
ごとりと大きなアタッシュケースが置かれて開かれると、中から黒光りする大ぶりな銃が二丁現れた。
クロウはアタッシュケースが置かれたテーブルに両手をついて眉を寄せて銃を見つめた。
「どう?」
「
…
オレは前々から思ってたことがある」
「ん?」
きょとんとするジョルジュをクロウはがばっと顔を上げて睨んだ。
「なんでお前ら地精の作る武器はやたらとでけぇんだよ!?これ片手で持つこと想定してるか?!」
上位ランクの猟兵達が持つテスタ=ロッサやベルゼルガー、ルトガーの大剣は挙げるに及ばず。
そもそものクロウの銃も二丁拳銃としては破格の大きさをしていた。
「色々機能をつけると大きくなっちゃうんだよねぇ」
「なっちゃうんだよねぇじゃねぇつの。ちなみにこれはどんな機能があんだよ?」
なんなら騎神も『大きくなっちゃった』結果なのではないかと思ったが飲み込んで尋ねると、ジョルジュはにっこりと微笑んで頷いた。
「これね、二つの銃を合体させて残ってる弾を全て強力な一発として撃ち出すことができるんだ。技名は『ALL Loaded!』」
「
……
ジョルジュ、お前もしかして寝てない?」
「うん、三徹目」
「
…
銃はありがたくいただくから一旦寝ろ」
「そうする~。起きたらドーナツが食べたいなぁ」
「
…
わーった買ってきといてやっから」
ジョルジュはほとんど寝ているような声で礼を告げるとふらふらと仮眠室へ入っていった。
クロウは扉が閉まるのを見届けた後、再び黒い二丁の銃へ視線を落とした。
「
…
お調子モンだとか色々言うけどやっぱ四人の中で一番の常識人はオレじゃね
…
?」
ジョルジュの研究室にドーナツを届けた後、クロウは飛空艇で帝都へ、そしてそこで用事を済ませた後リーヴスに向かった。
そもそも帝都に向かったのは情報局に呼び出されたからだ。
元々蘇生した後、自身の帝国における扱いを審議された際、特別保釈の要件として政府よりの要請に従って帝国の復興に協力することとなった。
期間は三年で切られていたが、クロウとしてはそれ以降もできる限り協力するつもりではあった。
何故か担当官として応対するのはいまや自分と同じような立場にいるはずのレクターなのが解せないが。
今回の要請はとある施設の制圧任務だった。
極秘裏に処理する案件の為軍も憲兵隊も動かせない。
できる限り少人数で対応できる人員を検討した結果、クロウが適任とされたらしい。
その際『そこそこ人数いるみてーだからリィンあたりを頼れよ★』とレクターに言われたので、一旦リーヴスに向かっているというわけだ。
(言う通りにすんのも癪だが確かに敵数はそれなりだし顔も見れるし一緒に戦い慣れてるし一石三鳥くらいだしな)
一番の理由は逢いに行けるという事だが。
クロウは弾む足取りで学院を目指した。
が、学院に入っただけでやけにばたばたと慌ただしそうな空気が感じ取れてクロウは思わず眉を寄せた。
「あれ、クロウ」
折良く、教官室から出てきたリィンがクロウを見止めて微笑んだ。
リィンは決してばたばた動いたりはしないが、それでも忙しそうな空気を彼も纏っていた。
「クロウ、もしかして銃変えたのか?」
前髪切った?みたいなノリで聞かれてクロウは苦笑しつつコートで隠れた銃をちらりと見せた。
「よくわかるな。コートで大して見えねぇだろうに」
「それくらい気付くよ。黒くてかっこいいな」
「おう
…
それよりなんか忙しそうだな?」
嫌な予感がしつつ尋ねるとリィンは小さくため息をついた。
「実は分校長の意向で今月の特別演習の計画に大きな変更があってさ。用意しなきゃいけないものとか計画の組み直しとかで教官と生徒会はちょっとばたばたしてるんだ」
「
…
そうか。ならまた今度顔出すぜ」
「いいのか?何か用事があったんじゃないのか?」
首を傾げるリィンにクロウは悠然と笑みを返した。
「いや、顔見に来ただけ。また落ち着いた頃に来るぜ」
そう答えるとリィンは少し残念そうに微笑んだ。
「うん、落ち着いたら連絡する。しばらくこっちにいるのか?」
「おう、一緒に飯でも食えるまではいる。忙しいのはわかるがほどほどに休めよ。んじゃトワにもよろしくな」
「ああ、またな」
またな、と言われた後「またな」と言い返さないととても不安そうな顔をするのを知っていたので片手を挙げつつ返して学院を出た。
駅まで歩いてから、クロウはため息をついた。
(さーてどうすっか。まぁ一人でなんとかならねぇことはねぇか。忙しい中連れだすほどのことじゃねぇしな)
情報局から提供された情報ファイルを見る限り、敵総数や練度はクロウが一人で対応しきれない数ではなさそうだった。
施設そのものの規模も、秘されていることもあってさほどの規模ではない。
クロウは単独で全うするべく準備を整える為帝都に戻っていった。
全ての準備を整えた翌日、クロウは目標の施設の前にいた。
森の中を切り開いてひっそりと建つ無機質な灰色の建物だ。
木陰からその様子を伺ってから、クロウは装備の最終確認をした。
(早速活躍してもらうぜ)
ジョルジュから受け取った黒い銃をぽんと叩く。
銃弾もしっかり補充してきたし、ARCUSもメンテナンス済み、双刃剣もしっかり研いできた。
体調も万全、建物の見取り図は設計時のものだが叩き込んできた。
(見た感じ情報通りの戦力っぽいな。猟兵ではあるがランクは高くねぇ
…
それも大した人数雇えてなさそうだ)
施設の方にミラを回したのか、数時間偵察を行ったが猟兵は要所にしか使っていなさそうで残りは私兵のようだった。
私兵の方の練度はさほど高くなく、双方共に装備も最新のものではないようだ。
(オレなら行ける)
言い聞かせたのでもなく、驕りでもなく事実としてそう認識してクロウは深呼吸をした。
単独での制圧任務には経験があるが、その頃と今では決定的に違うことがある。
かつては『殲滅』すればよかったが、今のクロウは一人として命を奪わず『制圧』しなければならない。
Ⅶ組の一人を自負するならば、絶対にそうしなければならないのだ。
クロウは深く呼吸をしながら頭にⅦ組の仲間一人一人を、そして最後にリィンの顔を強く思い浮かべて『今の自分』が成すべきことを体に叩き込んだ。
ゆっくりと目を開くと二丁の銃を抜いて木陰から見張りに立つ二人を的確に撃ち抜いた。
銃弾は特殊加工されたもので、どこかにでも当たれば麻酔のような効果が出る。
副作用がなくはないものの、殺さずとも瞬時に敵の動きを制限できるので便利なのだ。
「ぐっ!?」
「うあっ!?」
見張り二人が声を上げて崩れ落ちる瞬間にクロウは木陰を飛び出した。
強く地面を蹴って一瞬で近づくと、後頭部を打って確実に見張りを気絶させた。
「よーっし」
カードキーを奪ってから銃をしまい、双刃剣に持ち替える。
もう一度深呼吸をしてから、クロウは扉を開いた。
「なんだ!?」
「なにものっ
…
!」
扉を入ってすぐの広間に猟兵らしき装備の男が三人いた。
クロウは挨拶もなくその内一人に肉迫すると双刃剣を回転させて相手の脚にかすめさせた。
こちらも同じような麻酔薬を塗ってあるので当たれば動きを奪える。
当然ながら残りの二人が切り込んで来るので体を回転させて逆の刃で二人を弾き飛ばす。
「ぐぅっ」
「つよっ
…
!」
距離が離れた二人を、銃の片方を抜いて連続で撃ち、落とす。
この連射力は地精の武器ならではのもので、これを経験するとなかなか一般の銃に戻れない。
ここでさすがにアラートが施設全体に鳴り響く。
が、どうせ全体を制圧するのだ、出てきてもらった方がありがたい。
クロウは奥へ進む扉を睨むとそちらへ駆けて行った。
施設全体がさほど大きくないからか、一つ一つの通路も幅があまりないのはクロウにとって幸いだった。
一度にクロウに斬りかかれるのは二人が限度で、前後挟まれても四人、この練度なら問題にならなかった。
どちらかというと問題は猟兵が次々倒されていくことに錯乱した私兵が適当に発砲し、それがクロウ寄りにいる猟兵に当たりそうになることだった。
実際何度かクロウは近くにいる猟兵の襟首を引っ掴んで銃弾を避けさせてやっているほどだ。
「もー、思ったより私兵の練度が低い~」
ふざけた口調でぼやきながら絶叫とともにライフルを構えた私兵を斬って落とす。
更に進むとより廊下が狭くなってきた。
(これじゃ双刃剣を振り回すのはきついな)
クロウは武器を銃に入れ替えてまた走り出した。
気配はだいぶ減っているが、奥に行くほど兵の練度が上がっているように思えた。
クロウは神経を集中させると前方から現れた敵に銃口を向けた。
姿が見えるなりほとんど反射で相手を撃ち抜き、即座に肉迫して銃を手から蹴り飛ばす。
そのまま蹴った足をついて、それを軸にして回転し、隣の敵の頭を蹴りぬく。
次いで現れた敵を撃って
…
考えるより先にひたすら現れる敵を落としていく。
自分以外は全て敵なのだから、気配に反応して撃ち、蹴り飛ばせばいいのだから楽だ、と頭の奥のクロウが言う。
周囲の仲間がどう動くかは計算に入れずにひたすら効率だけを求めてシューティングでもするように敵を落としていく。
それを繰り返しているうち、ほとんど反射のように頭に照準を合わせた事にぞっとしてクロウは銃を放り投げそうになった。
「
…
っ!」
息を呑んで背後に飛び、敵から距離を取って銃を持った手で胸を押さえた。
強烈な自己嫌悪が湧いて何もかも投げ出したくなる。
(駄目だ、落ち着け)
敵の攻撃を避けて走りつつ、呼吸を整えようと試みる。
帝国解放戦線にいた頃の諦念と虚無に囚われそうになるのを必死に振り払って縋るように声に出さず呟いた。
(リィン)
改めて銃を構えながら、頭の中で夜空色の瞳と清風のような声を思い出す。
必要だと言ってくれた切実な声を、抱き締めた時の温もりを、自分がこれから生きようと決めた道の先を想う。
それで、ふっと胸の内に暖かい光が灯った気がした。
いつもよりも小さく、けれどいつもの笑みを浮かべることに成功して少し肩の力が抜けた。
とどめに残った靄を払うように鋭く息を吐き出して、クロウは目の前に迫ってきた敵を蹴り飛ばした。
最奥の部屋は敷地の横幅全てを使った広い部屋のようだった。
そこだけ高さもあって、森の木々の高さぎりぎりまで天井が上がっている。
残った気配はここだけのようだった。
クロウは油断なく中の気配を探ると慎重に両開きの扉を押し開けた。
「
…
ん?」
扉を開くと同時に機械音がした。
聞き覚えがある。
嫌な予感がした。
クロウは切り替えて扉を即座に蹴り開けた。
「あ、やべ」
予想通り、部屋の一番奥で立ち上がりかけているのは機甲兵だった。
「うあーくそアランドールの野郎、情報抜けてんじゃねぇかぁぁ」
一番オーソドックスな型だったが、なんの慰めにもならない。
「逃げたらだめだよなー情報も含めて押さえろっつってたもんなー」
クロウはぼやきながら双刃剣を構えた。
やれないわけではない、ただちょっと想定より危険で、想定より面倒なだけだ。
ふっと息を吐くと一直線に機甲兵に切り込んだ。
脚の関節部を狙い、地面を蹴って双刃剣を振って当て、体を捻って連撃で逆の刃も当てる。
ばちっと爆ぜる音がして機甲兵がバランスを崩した。
『うおああああ!』
それで焦ったのか搭乗者が吠える声がした。
そして闇雲に腕を振り下ろしてきた。
「くっ」
後ろに飛びつつ双刃剣で攻撃を逸らす。
が、さすがに機甲兵の一打は強烈で、クロウは背後に吹き飛ばされた。
「ぐぅっ!」
床を滑って倒れるもすぐに半身を起こす。
が、吹き飛ばされた時に双刃剣を手放してしまった。
素早く視線を巡らせるとだいぶ左の方に吹き飛んでいる。
どうするか、と機甲兵へと視線を動かす。
機甲兵は片足をやられながらも上半身を動かして銃を構えたところだった。
双刃剣を取りに行ったところで撃たれれば意味はない。
即座に、今すぐに勝負を決めなければ。
「あああいざ!今いざ!起死回生!!」
クロウは脚から銃を二丁とも抜くとマニュアル通りに二つを左右に並べるようにくっつけて持ち、グリップにある隠されたボタンを押した。
がしゃんっと音をたてて二丁の銃が合体し、一つの更に大きな銃になる。
そして弾倉が高速で回転し始め、銃口にエネルギーが充填されていく甲高い音がした。
「あー技名なんつってたっけ、とりあえず」
クロウはしりもちをついた状態のまま真っすぐに機甲兵の銃を構えた腕の付け根に銃口を向けた。
「全部乗せだ、食らいやがれ!!」
トリガーを引いた反動で少しクロウが床を後ろに滑ったのと逆に一つになった残りの弾全てが的確に機甲兵の腕を撃ち抜いた。
しかし想定以上に銃の威力が高すぎて機甲兵の各所が暴発し始めた。
「やばい!」
搭乗者を下ろさなければ、と立ち上がりかけたところに爆発した腕の、手の部分が吹き飛んでいやがらせかと思うほど的確にクロウに向けて飛んできた。
「げ」
瞬時に頭の中で様々な選択肢の検討が行われたがどうにもならない。
致命傷だけは避けようと無理な体勢から横に飛ぼうとした瞬間、頭上できぃんと澄んだ音共に飛んできたパーツが綺麗に斬り裂かれてばらばらになった。
「え」
一瞬で細かく切り刻まれたパーツが地面に落ちるのも見届けずにクロウは座り込んだまま首だけで振り返った。
開いたままだった扉のところで息をつきつつ太刀を鞘に収めている流麗な立ち姿がある。
「
…
え、リィン?なんで」
腰が抜けたわけではないものの、なんとなく立ち上がる気力をなくして座ったままずりずりとリィンに向き直る。
するとリィンはキッとクロウを睨んだかと思うと一瞬後には大きく顔を歪ませて駆け寄ってきた。
「っ
…
クロウ!クロウ!」
「うおっ!っと
…
」
縋るように抱き着いてきたので慌てて抱き止める。
リィンは首元に噛り付くようにしてぎゅうっとクロウにしがみついてきた。
「ばか
…
!ばか、なんで一人で行くんだ!もし、もし何かあっ、たら」
首元が濡れた感触がして、リィンがしゃくりあげながら捲し立てる。
クロウは抱き止めた手でリィンの髪を撫でた。
「
…
わりぃ、その、忙しそうだったんで
…
」
「そんなの関係あるか!!俺がどんな気持ちで、レクター中尉から、聞いっ
…
う、そ、そうだ。けが、怪我、してないか」
リィンは体を起こすとぺたぺたとクロウの全身を触って検分した。
見れば顔は涙でぐしゃぐしゃで、剣聖とは思えないありさまになっている。
「大丈夫だ、怪我は
…
少なくとも深いものはねぇから。ちょっとかすったりはしてるけどな」
リィンは自分で触れるまで信じられないというように脚から腰、胸、腕、そして顔までしっかりと触れてから大きく息を吐いた。
そしてクロウの両頬に手を添えてぐしゃぐしゃの顔のままでまっすぐ見つめてきた。
「ほんとに、ほんとに心配したんだからな」
「悪かった、この通りだ」
言いながら優しく頭を撫でてやったが、リィンは駄々っ子のように頭を振った。
「やだ、許さない」
「ええー
…
」
リィンはもう二度と離れないとでも言うようにまたぎゅうっとクロウにしがみついてしまった。
背中にしがみついているその手が、微かに震えているのを感じてクロウはようやく自分の一番大きな失敗が何かを悟った。
「リィン、悪かった。本当に。なんともねぇから安心してくれ」
優しく宥めて、頭を撫でて、顔を上げさせて口づけた。
体温を確かめるようにリィンは深く唇を押し付けてきた。
それに応えるように吸い付くようにして角度を変えながら何度か唇を重ねる。
「悪かった」
顔を離してからもう一度告げると、少し落ち着いたらしいリィンの瞳が間近から睨んできた。
「許さない」
「マジで悪かった。一週間はずっと傍にいる。なんでもする。そんでもう二度とこういうことはしない」
しばらくは傍にいないと不安がるだろうと思っての提案だった。
リィンはクロウの首に頬を擦り寄せてまだ嗚咽を漏らしている。
「
…
り、利子、に上乗せ、するからなっ」
「いくらでもしてくれ。どうせ一生かけて返すつもりなんだしな。
…
悪かった。次からはぜってーに相談する」
なるべく優しい声で囁いて、頭を撫でていると少しずつしゃくりあげる声が小さくなってきた。
「約束
…
してくれ。本当に
…
本当にぞっとした」
「する。約束だ」
「
…
うん。
……
もう少し、このままで」
「おう」
リィンの頭を撫で続けながらクロウはちらりと崩れ落ちた機甲兵の方を見た。
もし搭乗者が気絶していなかったらどんな気持ちでこれを見てるのだろうと思いながら。
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