イライジャは真面目な職員である。少なくとも内部での評価はそのようになっている。本人は決して、Ag:47の理念に感じ入っているわけでもなければ、忠誠を誓っているわけでもない。
ただ職務において、心の内側を提出するわけではないし、心の底から湧いてくる正義の心がなければ越えられない儀式が、存在しているわけでもない。
外殻が整っていれば、中身はどうあってもいいのだ。
真面目というのは、周囲と比べた相対的な評価でしかないのだ。
Ag:47の給料は決して高くない。そして、命の危険が多い職場だ。そこに敢えてやってくる人間には、確固たる信念があるかそうせざるを得ない事情がある。イライジャは後者だ。
だから、在籍できて収入があれば、他にこだわりはない。しかし、信念があるものほど、組織の方針と折り合わず衝突してしまうのだ。
あるいは単に社会性がなくて、組織に合わせるのが苦手だったり、色々だ。
組織は必ずしも、正義を為すために行動をしているわけではない。思うところがあればあるほど、辛いだろう。
イライジャはその点で言えば職務に忠実だ。ダーリンのことをとりわけ嫌悪しているわけではないし、悪人死すべきというような正義もない。死地に送られることに怯えることもなければ、死場所を探して自堕落になっているわけでもない。
ただ言われた仕事を嫌と言わずにこなす。
書類も期日通りに提出している。だから真面目で忠実な男と思われていても不思議ではない。
それでも、絶対に受けたくない命令というのはあった。それだけは聞きたくなかった。
それを受けてしまった瞬間に、今の自由な生活が失われてしまうからだ。
ファタールと契約せよ。
それはこちらの生活が、地獄から甦ってきた罪人に半分ほど拘束されてしまうことを意味している。しかし、組織からの命令だ。
なんとか回避する手段はないだろうか、と思いながら命令を受ける。まずは面談で相性を測るらしい。
相性最悪な相手が待ち受けていますようにと願っていた。
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