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三毛田
2026-03-09 21:51:44
1070文字
Public
1000字6
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91 08. 名前を呼ぶだけで
91日目
気分が高揚する
彼の名前を口にするだけで、胸が弾み。会いたいとか、嬉しいとか、楽しいとか。そういう、前向きな気持になる。
だから、時折好意を向けてくる人の気持ちが少しだけ分かった。
まあ、応えるつもりはないけど。
「丹恒!」
「こら。飛びついたら危ないだろう」
廊下を歩いていた丹恒の背に飛びついたら、叱られた。
でも、丹恒なら俺を支えてくれるので安心してこうやって飛びつける。
「せめて一言言え」
「言えば飛びついてもいいのか?」
「そうだな。突然飛びつかれるよりはましだ」
「わかった」
首に頬ずりしたら、振り落とされた。残念。
「丹恒はさ、誰かの名前を呼ぶと嬉しくなったりすることはあるか?」
「ないな」
即答された。
もうちょっと悩んでくれてもいいんじゃない!?
「そう訊ねてくるのであれば、お前はあるのか」
ラウンジでパムが配っていたアフタヌーンティーのセットを貰い、資料室の前のテーブルセットでそれをいただく。
「あるよ」
今目の前にいる人に、さ。
「流石にそれはつけすぎじゃないか」
「だって丹恒はつけないだろ? このクリーム」
「一回はつける」
二つに割ったスコーンの片方に、クロテッドクリームをたっぷりつけていたら注意された。
どうやら、今日はクリームをつけたい気分だったらしい。
「ジャムは?」
「いらない」
「じゃあ、ジャムは貰うな」
「そうしてくれ」
と、ジャムは全部くれた。
「紅茶も美味いし、スコーンもクッキーも美味いし。パム様様だな」
「ああ。だが、お前とこうして過ごすから美味いのかもしれないな」
口の中に何もなくてよかった。噎せ返っていただろう。
「丹恒がそう言うのって珍しいな」
「お前と過ごした影響だな。己の気持ちを素直に伝えることの大切さを、お前から教わった」
表情を和らげながら、一口サイズのサンドイッチを頬ぼる。
同じく一口サイズのケーキを口に入れたところでそんなことを言われたため、味が全く分からなかった。
「なの」
「ウチ、アンタの恋愛相談のためにいるんじゃないんだけど」
「だから、貢物持ってきたんじゃん」
パムに教わりながら作った、ホールケーキ。
丹恒にもちょっとだけ渡したら、嬉しそうだった。
「流石にそんなに食べられないってば~」
「なのには一番美味しいところを食べてもらおうと」
「ちゃんと姫子とヨウおじちゃんにも渡すんだよ?」
「この後持っていくから安心して」
「それなら、いいけど。それで?」
デコレーションのフルーツを口へ運びつつ、問いかけてきて。
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