三毛田
2026-03-08 14:53:47
1080文字
Public 1000字6
 

90 07. 精一杯の背伸び

90日目
背伸びしても届かない

「んぐぐぐぐ……
「何をしたいんだ、お前は」
 背伸びをして、立ち上がって本を取ろうとしている丹恒よりも背を高く見せようとしていたら、冷めた視線を向けられ。
「だって。お前が俺より大きくなるから!」
「夜更かししていたからだな」
「んぎ〜!」
 呆れたように正論を突きつけてくるので、唸ることしか出来ない。
「またアホやってる」
「元気だねぇ」
 丹恒より大きくなって、格好いいって言われたいのに!
 そこは女子に言われたいんじゃないのかって? 俺は丹恒にそう言われたいんだよ。
 男心は複雑なんだ。
 好きな相手には、格好いところを見せたい。そういうものだろう。
「やっぱ、男子ってアホだ」
「しょうがないんじゃない?」
 そこ、コソコソ言っているつもりかもしれないけど、丸聞こえだぞ。
「ところで。二人は、終わったのか?」
 丹恒に問いかけられ、星となのはそっと視線を逸らす。
 終わってないんじゃん。
「そういう穹はどうなの」
「俺? 終わらせてから、さっきのことやってたから」
「そもそも、お前たちが一緒に勉強しようと言ったんだ。早く終わらせないと、夕飯とおやつが一緒になるが」
「それは困る」
「早く終わらせよう! で、これって?」
 ワークを広げ、問いかけてくる。ので、座り直して丹恒と二人で教えていく。
「終わった」
「ウチも終わった~! おやつ、おやつ」
 一時間くらいみんなで顔を突き合わせて、宿題として指定された場所まで終わらせられた。
「今日のおやつは?」
「シフォンケーキだって。生クリームが添えてある」
「俺はコーヒーでいい」
「ウチ紅茶!」
「私も紅茶」
「俺ミルクティー」
 と、飲み物も用意して、みんなでおやつタイム。
 みんな紅茶でおやつを食べる中、丹恒だけコーヒー。
 大人っていうか、一人だけ一歩先を行っているからちょっと悔しいっていうか、寂しい。
「丹恒、コーヒーって美味い?」
「苦いぞ」
「うう……一口」
「ほら」
 差し出されたマグカップから一口。
「無理!」
 あまりにも苦くて、マグカップを返す。
「ふ。まだ無理だろうな」
「言い方、意地悪」
 笑われて俺がむくれながら告げるけれど、どこ吹く風。
 そういうところも、好きだけどさぁ。
「クリームがなくても美味いな」
「そう? クリームがあった方が美味しいけど」
「ウチはどっちも美味しいって思うよ」
 クリームなし派の丹恒、どっちも美味しく食べられる俺となの、クリームあり派の星。
 食べ方は分かれるけれど、結論としてパムの作ったものが美味いになる。