【小説】アクタの武器

調伏でスマホが触れないときに、ノートに書き殴りしたもの。

 それは、織代を討ち、赤児になったミナギという小さな命を抱き締めたあの日から――しばらく刻が過ぎ去ったあとのこと。

 かつての赤児は四つん這いから転げるように走り回るようになり、周囲の大人達に笑って見守られるようになった。
 そうして庇護者たる男――アクタの手から離れて行動することも日常となった頃に起こった、ツクヨミの騒動。
 織代との闘いで見るも無惨になった大社の外観は無事なのだが、ツクヨミの本体がある地下でのドンパチは免れなかった。
 そうして――騒動の主犯がだんまりを決め込んだことを良いことに、遺跡大好きな仲間たちが颯爽と崩れたツクヨミの寝床に踏み入って幾日かが経った、そんな日のこと。

「発掘したコレなんだがなぁ」

 そう呟き、机に頬杖をついた男がいた。
 アクタだ。
 昼の陽気が閉めた障子越しに部屋の中に差し込んでいる。

「ああ、先日発見されたものですね?」

 同じ部屋で書類仕事――否、これから立ち上げるという組織のあれやそれをまとめている真っ只中の優男――ディーが、アクタの呟きを拾って顔を上げた。
 きらり、と瞳に探求の光が宿るディーを他所に、男は「おう。とんでもない拾いもの――ではあったんだが」と一旦、言葉を句切る。
「駄目だな。やはり、使えそうにもねぇ」と肩をすくめてその銃――という、旧人類オンヴィタイカヤンが使っていたという武具をくるくると回し始めたではないか。

「ちょっとアクタ! あまりにも危な過ぎ――

 思わず、好奇心がおさまってディーはぞんざいに物を扱う男へと声を掛けた。
 ついでに、手ものばしかけ――「ん?」と気付いたように首を傾げる。

 使えない?
 先ほど、この男はそう言った。
 つまり――

「使えないんですか!?」

 改まって男の発言を理解したディーが、事態を飲み込んでショックの声を上げる。
「おう」とようやく回転を止め、銃の柄から目をはなしたアクタが、銃を掴むのとは逆の手を動かした。
 思わず、ディーの視線も後を追う。
 その筋張った指先が、銃の柄の底を叩いた。
 カツカツと硬質な音が響く。
 それでいて、どこか、中身を欠いたような――
「わかったか」と男の口の端が持ち上がった。
 気が付いたら、ディーはアクタの顔を見ている己に気付く。
 そんな相手も相手で、ディーの意識が完全にこちらへと向いたのがわかっているのだろう。
 悪戯が成功した、とでもいうようだ。
 まったく、貴方ときたら。
 思わず、口の端がゆるむ。
 気を引きたかったらしい。
 構え、ということだろうか?
 いや、相談事、だろうか。

「使えないのであれば早々に手放してしまいそうな貴方が――何か、私にして欲しいことがあるんですね?」

 確認のように問う。
 念話が使えなくなった今、確証は無い。
 けれど、アクタはディーを頼りにしているのだ。
 嬉しくないはずは無い。
 今進めていることを脇にやる。
 では、聞かせてもらいましょうか、とディーは身体を完全にアクタのほうへと向けた。

「おうよ。まぁ、このままじゃ使えないのは確実なんだよ、実のところ。それで――お前のお得意の呪法まじないで、コイツの弾を作ってほしいんだ」

 そう、なんでも無いようにお願いされた内容に、ディーが食いついたのは当然のことであった。







※おじあくたくんの呪弾作ってくれたのでぃーくんだったら嬉しいな!?とふと思い付いたら書いてました。いずれそう言った物も明らかになると思ってたのに!思ってたのに!!