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fedge
2026-03-07 23:18:00
1268文字
Public
カピオロ
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20260307カピオロワンドロライ ②『イメチェン』
※転生現パロ・同棲済
「たい
……
ちょう
……
? 一体何があったんだ
……
!?」
貰いものの煎餅を齧りながらリビングで寛いでいたオロルンは、帰ってきたスラーインの姿を見ると、抱えていたブリキ缶を取り落とした。中に入っていた個包装の煎餅が床に散らばったが、拾う素振りも見せず、ただあんぐりと口を開けている。
「特に何も
……
ああ、髪のことか」
濡羽色の長く美しい黒髪が、短く切りそろえられていたのだ。それでも彼の年頃の男としては長めなのだが、一目見た時の印象は様変わりしている。
「元はと言えば、お前が俺を見つける目印になればと伸ばしていたに過ぎん。こうやって共に暮らすようになった以上、前世の名残を引きずる理由も無い」
「それにしたって、僕に一言あってもよかっただろう」
ようやく事態を呑み込めたようで、オロルンがむすっと頬を膨らませながら散らばった煎餅を拾い集めはじめた。
「俺個人のことだ。お前の許可など必要ない」
「それは、そうだが
……
」
それでも納得がいかない、と口を少し尖らせながら、オロルンは缶をきゅっと抱きしめた。その後はっと気がついたように目を見開いたかと思うと、寂し気に目を伏せ、ふるふると首を振る。ふぅと小さく息を吐いたあと、意を決したようにまっすぐにスラーインを見つめた。忙しい奴だ。
「わかった、辛いのは君自身だよな。僕からは深く訊かない。話したほうが楽になるようだったら、僕でよければ話を聞こう」
「
……
は?」
オロルンは伏し目がちに、申し訳なさそうにしながら続ける。
「君がそこまで恋しく思っていた人がいるなんて知らなかった。残念な結末だったのは
……
僕からは何と言っていいのかわからないが、気を落としすぎないで欲しい」
「
……
お前は何を言っているんだ?」
「バッサリ髪を切るのは失恋した時だって、ばあちゃんが持っていた本に書いてあった。君も
……
想い人と違えてしまったんだろう? 君の想い人が僕でなかったのはとても心苦しいし、髪を切ってしまったことを残念に思うが、それで君の気が楽になるのなら
……
」
「待て。俺は別に失恋などしていないし、そもそも他に想い人が居るわけでもない」
なにやら変な方向の早とちりをしているようだ。大きく溜息を吐きながら、ソファに座っているオロルンの隣にどかりと腰を下ろした。オロルンの抱えている缶から適当な煎餅を一つ掴み、ぺりぺりと包装を剥く。これはどうやら甘辛い醤油味のようだ。
手に取った小ぶりな煎餅を、しおしおと耳を畳んでいるオロルンの口へと当てる。抵抗なく緩く開いた唇に触れながら押し込んでやると、素直にもしゃもしゃと咀嚼し始めた。
「俺がお前以外にこのようなことをすると思うか」
そう言って口元に付いた破片を拭ってやると、オロルンの口角が少し上がった。つい先ほどまで萎れていた耳も、ぱたぱたと忙しなく動いている。
「
……
思わないな」
「わかればいい」
納得してくれた様子だったが、その日を境に、オロルンが用意するメニューには、やたら豆腐と海藻が増えた。
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