kuzu
2026-03-07 11:36:15
1549文字
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同級生バッテリー/♦︎光沢+狩

沢-狩バッテリーもっとみたいな。狩は沢が変化球覚えた時に泣いて喜んでいたし、先輩vs一年生の時にバッテリー組んでっぽいし、イップスの時に練習付き合ってた彼からみて沢ってどうだったんだろう。沢も無意識に頼りそう。バッテリーだけど、同級生という彼らがみたかったーというお話。♦︎Aって割と同級生バッテリー少ない印象。どっちが年上で引っ張る形になるイメージ。

3年の夏、やっとベンチ入りしたものの、正捕手の座は後輩のものとなった。なんとなくわかっていた。


「狩場〜練習付き合ってくれよ」
「俺が受けます」
「うぉ!奥村!背後をとるな!」

いつも沢村についてまわる後輩。今までは御幸先輩についてまわっていた沢村も先輩が引退してしまえば逆の立場になった。

「今日は狩場と練習したい!」
「なぜですか、俺では力不足ですか」
「そうゆうわけではない!」
「なら」
「お前は忙しいだろ、ちょっと試したいことあるからさ。待ってくれよ」

少しばかり酷いことを言われた気がする。俺は暇だと、奥村には試し捕りはさせられないと。でも、それでもいいと思った。古豪ではなくなったこの青道高校野球部のエースでチーム内での影響が大きすぎこいつに誘われるなら本望だと思ってしまった。もちろんどこかで正捕手にと思った。でも、前にも後ろにも才能が溢れかえっていた。そいつらだって努力してる姿をみて俺だって努力をしてきた、彼らを才があるからとは片づけられない。

彼らは努力の天才だと思う。
何よりこの目の前の男がそうなのだ。

「それなら狩場先輩も忙しいです」
「まぁ〜そ〜だけど」

一呼吸おいて俺に目線を戻した後、再度奥村に視線を戻す。

「どんな時もさ、俺の球受けてくれたのこいつなんだよ。今日はさ、なんか上手くいきそうにないから狩場とやりたい」

エースの弱音に、なるんだろうか。どんな時もはどんな時だろう。イップスの時?上級生と初めての試合?奥村が来る前の日々の練習だろうか。

「なら、余計俺とやった方が....」
「見せたくないじゃ、理由にならないか?」
「沢村先輩....」
「俺たちの代の正捕手は狩場だよ、奥村。」

奥村が唇を噛んだ姿が見えた。年齢はどうしようもない。

「クリス先輩は俺に野球を教えてくれた、御幸先輩が捕ってくれたからここにいる。でも、どんな時でも1番近くに居て、野球できなかった時もどんな球でも付き合ってくれたのは狩場だ」
「野球できなかった時って...」
「イップスだよ、インコースに投げれなかった」
「知らなかったです」
「言わなかったから」
「...頼りないですか俺は」
「俺が見せたくないだけ。大事な場面でインコース構えないってのはやめろよ。心配してないけどな!」
「それはしません。何よりも信頼してますから」
「そうしてくれたのは狩場だよ」

俺が口を挟むことなく話は進んでいく。耳を傾けるだけ、口を開くことはできない。

「わかりました....投げすぎには気をつけてください...狩場先輩もよろしくお願いします....」
「おう」

弱っているところを意図的に見せてないと、思っている。性格か、自分の役割を理解してか。それとも中学時代いなかったという後輩にカッコつけたいか。多分全部な気もする。

でも....誰にも、クリス先輩にも御幸先輩にも遠慮して見せなかった投手として弱っている部分。俺にだけ見せてくれるだけで、この野球部で捕手として続けてきた努力が少し報われた気がした。


立ち去る奥村を見つける。何度もこちらを振り返りついには瀬戸に肩を抱かれていった。

「沢村」
「ごめん、狩場。なんか練習台みたいな言い方した」



精一杯の軽口で受け止めよう。俺たちは同い年の捕手と投手だから。


「フル装備でやるか〜!」

思わず口角が上がっているのはこの目の前の投手以外は気づいているだろう。






「沢村!」
「おう!よろしくな狩場!」

後輩ベンチから鋭い視線を感じる。おそらく奥村だろう。
沢村の高校最後のマウンド。公式記録に残らない身内同士の試合。その目の前に座るのは、


同い年の俺、狩場航だ。