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okanon
2026-03-06 21:29:43
2906文字
Public
モスファイ
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君は誰に会いたいの!?③
現パロ🍷☀️(🍷は出……)
DK(記憶なし)☀️が、ある日☀️ぬいと出会って人探しをするお話、その3
感想用うぇぼはこちら⬇️
https://wavebox.me/wave/dn60zcut6sdoaiit/
(三)
ガタゴトと電車が揺れ、窓の景色は緑溢れる自然ばかりのものから、ビルが立ち並ぶコンクリートへと移り変っていく。
ファイノンは鞄に入れたノンを抱えながら、じっと窓の外を見ていた。見慣れた景色はとうに通り過ぎ、知らない街に一人で来たのだと思い知らされる。
しばらくして窓から視線を外すと、彼は右手に持っていた一枚の紙を開く。そこにはノンが何度も描き直した探し人の似顔絵が描かれていた。
最初は覚束無い線で描くのが精一杯だったノンも、次第に鉛筆の扱いになれ、色鉛筆も使ってより特徴を捉えられるようになった。描き直しに描き直しを重ね、手元にある一枚はノンの最高傑作でもある。
「オレンジの髪、目元と頬に赤い化粧、そして三つ編み
……
」
改めて確認した特徴はどれも目立つもので、これなら見つけやすいかもしれない。
……
その人がオクヘイマに居ればの話ではあるが。きっかけを見つけた希望と、それが無くなった後の不安で心を揺らしながら、ファイノンはもう一度窓の外を見た。
目的の駅で降りたファイノンは、流れる人の波に揉まれながら、なんとか改札へとたどり着いた。事前にキュレネから交通ICカードのことを教えてもらっておいて、本当に良かったと、彼女に心から感謝した。
改札を出てようやく一息ついたファイノンがふと周りを見ると、地元では考えられないような数の人が四方八方に歩いている。
「本当に人がいっぱいだ
……
。これ、見つけれられるのかな
……
」
ノンを落とさないようにか、慣れない人混みで緊張しているのか、ノンのいる鞄をファイノンの手がぎゅっと掴んだ。その手を握り返すように、ノンの柔らかい手が鞄越しに添えられる。
その手は彼を案じ、応援しているようだった。それに気づいたファイノンは、無意識のうちに強ばっていた身体からホッと力を抜き、鞄を掴んでいた手で、鞄を撫でる。
「!
……
ありがとう。そうだね、今日がダメでも、また別の日に来たらいい。とにかく今日は、やれるだけ頑張ろう!」
綺麗に整備された道を歩き出したファイノンは、とりあえず人が多そうな場所へ向かうことにした。事前に人気の観光スポットなども調べてきていたから、見当違いな場所に行くことは無いはずだ。
……
決して観光もしたかったとか、そんな理由では無い。
広告やら看板やらで情報の多い道を歩いていると、とある広告看板が目に止まった。化粧品の広告だろうか、金髪で誰もが美人と認めるような女性が、大きな看板の中で薄く微笑んでいた。
「この人、どこかで見たような
……
あっ、そうだ!前、キュレネが見せてくれたファッションブランドの人!えっと確か、アグライア
……
だっけ?」
スマホのカメラを起動し、「キュレネに見せてあげよう」と言って看板の写真を撮る。その間ノンは一言も発さず、じっと看板を見ていた。
「この人、モデルもやってるんだね。すごいなあ
……
よし。ノン、次に行こうか」
「ぬ!」
その後二人は人通りの多い道を中心に歩き回ったが、似顔絵に似た人物はどこにもいなかった。
体力のある高校生と言えど、一日中歩き続けていては疲労も溜まる。偶然人気の少ない公園を見つけたファイノンは、少しそこで休むことにした。ノンを鞄から取り出し、ベンチに座ったファイノンは、自販機で買ったペットボトルの水を乾いた喉に流し込んだ。
「はぁ
……
一日で見つかるとは思ってなかったけど、想像以上の人だね。ノンは疲れてないかい?」
「ぬぬ、ぬ!
……
ぬ?」
ノンはぴょんぴょんと跳ね、まだまだ平気なことを伝える。それよりノンが心配しているのはファイノンの方だ。ノンは鞄に入っているだけで、負担は明らかにファイノンの方が大きかった。心配するように見上げるノンに、ファイノンは思わず笑う。
「はは、これくらい大丈夫さ。今日は初めてだから少し疲れちゃったけど
……
何回も来るうちに人混みにも慣れるだろうから、心配しないで」
そう言って彼はノンを手に持ち、目線を合わせる。嬉しそうにパタパタと動くノンは可愛らしく、ファイノンは優しい笑みを浮かべた。
——
その瞬間のことだ。二人に向かって、バサバサと黒い鳥が羽音を立てて飛んでくる。
カァァ!
「わっ、な、カラス
……
!?っ、ノン!」
「ぬー!」
視界を羽で遮られ、一瞬できた隙を狙って、カラスの足がノンを鷲掴み、再び空へ飛んでいってしまった。
「ノン!
……
くそっ!」
カラスが飛んで行った方向を確認したファイノンは、すぐさまその場から走り出した。すれ違う人に驚いたように振り向かれ、時に怒鳴られながらファイノンは知らない街の中を必死に走った。
カラスに近づく。信号で足止めされる。それを何度も繰り返しながら、ファイノンは、着実にカラスとの距離を縮めていった。彼の頭の中に地図なんてなく、どこを走っているかも分からない。ただただノンのいる方向を見つめて、足を動かし続けた。
そしてどれくらい走っただろうか。陸上部の助っ人で活躍したこともある彼の足は、空を飛ぶカラスについに追いつこうとしていた。
「っ、そこのカラスー!返せー!」
激しく収縮を繰り返す肺に鞭をうち、ファイノンは必死に叫んだ。目の前には歩道橋があり、あの階段を上がれば空にいるカラスとの距離も縮まるだろう。すぐそう判断したファイノンは、躊躇いなく階段を駆け上がる。
視線の先にはノンがいる。このまま真っ直ぐ走れば、きっと手が届く。もう少し、あと少しだ。
ファイノンが目の前にまで近づいたカラスに手を伸ばす。
大きく羽ばたいたカラスが、ノンを手放す
落ちたノンを両手で受け止める
「
……
あ」
ファイノンが気づいた時には、足元に地面はなく、階段を踏み外した体が宙に浮かんでいた。
このまま落ちたら間違いなく怪我をする。打ちどころが悪ければ死んでもおかしくない。家で帰りを待つ両親のことが頭を過り、ファイノンはノンを胸に抱え、ギュッと目を瞑った。
——
ボスッ
何かにぶつかった
……
が、あまり痛くない。何か柔らかいものに受け止められたようだ。
不思議に思ったファイノンが目を開け、顔を上げると、そこには同じ歳くらいの男が立っていた。
オレンジ色の髪に、目元と頬に赤い化粧。そして
——
「
……
無事か?ファイノン」
「み
……
、三つ編みの人!」
「
……
は?」
目の前の怪訝な顔をした男が探し人だと分かった瞬間、ファイノンの身体はこれまで忘れていた違和感を思い出した。
あれだけ走ったにも関わらず、突然止まったのだ。体からは冷や汗が出て、心臓は血が足りないと騒ぎ立てる。そして一気に迫り上がるような、吐き気。
「う
……
」
「
……
おい?」
「
……
吐きそう」
「っ!道のど真ん中で吐くな!耐えろ!!」
顔面蒼白なファイノンは、なんとかノンと吐き気を抱えながら、探し人と共にトイレへと急いだのだった。
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