大学芋
2026-03-05 22:37:59
7191文字
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I don’t care what happens afterwards ~後は野となれ山となれ~

FGOの藤堂平助がカルデアに召喚された後に、女装する羽目になった事件のお話。<日常から事件アナウンスが始まり避難する所まで>
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I don’t care what happens afterwards後は野となれ山となれ


 この後何が起きても、目先のことさえ済めばその後のことや、その結果はどうなってもかまわない



「原田さん、バイトなんですけど今日一緒にカルデア内を散策しませんか?」

 ぐだぐだな特異点が無事解決し、原田左之助がカルデアへきて数日が経ち、河上彦斎、近藤勇、藤堂平助がカルデアで召喚されて一日経った朝頃、原田が食堂で朝定食を食べてる時であった。

「散策するだけでいいのか?」
「えぇ」

 失礼しますね、と言い原田の隣の席へと座る。
 その手のトレイは具が少し多めの味噌がゆが一つおかれ、肩には電子タブレットをかけている。
 藤堂はトレイをテーブルに置いて座り、肩にかけてあったタブレットを手に持って原田に見せてきた。

「このタブレットの中に入ってるアプリにカルデア内のマップが登録されてるんですけど、スタート地点から空洞のマップを埋めていって、ついでにタブレット操作や、施設の案内をこのアプリが紹介してくれるんですが、それが正常に働くかどうかのテストプレイをして欲しいとのことです。まぁいうなれば救済措置てきな給付金みたいなものですね。前金で一万QPで八割マップを埋めれば一人5万QPお給料としてもらえるとのことです」
「それ一人でもバイトできるよな?」
「言ったでしょう給付金みたいなものだって、新人サーヴァントが全員やる仕組みなんですよ。多分タブレット端末を使えるようにするためと、迷子防止と、カルデア施設内の仕組みの説明をマスターや他のサーヴァントでもなしでも行える取り組みなんでしょうね。
 それに原田さん、僕より先にカルデアに居たのであればある程度は案内できますよね?」

 はーなるほどねぇとうねる原田。
 最初に原田のほうにその仕事が来なかったという事は必ずではないが二人一組か三人一組でやってもらいたかったのだろう。ちょうど原田がカルデアへ来た時、限定期間にしか来ない召喚が多く重なっていた為、それが終わってからの方が都合が良いと判断だろうか? 
 それに藤堂が原田を選んだ理由として、先に居た事を挙げられるとするなら、このタブレットが壊れた時に原田の脳内マップを利用して道案内してもらおうという魂胆かもしれないと思考を巡らせる。

「因みに近藤さんと河上さんは明日回る予定だそうです。原田さん悪いですがカルデア側からの強制参加です運が悪かったと思って大人しく生贄になって下さい」
「言い方が不穏すぎる、普通にしろ普通に それで誰からその依頼をもらったんだ」
「坂本龍馬さん経由からダ・ヴィンチさんとダビデ王です」

 何故か一瞬女性陣のほうがざわついた気がしたが、数秒で元の食堂の雰囲気に戻ったので、藤堂は見せていたタブレット端末の電源を切って膝に置き、隠しポケットから紅樺色の風呂敷を膝にかけて、手を合わせたあと味噌がゆを食しながら原田の返答を待った。
 
「えらい遠回しに依頼がきたな」
復讐者アヴェンジャークラスは癖が強い人も多いとの事なので確実に依頼を断わる事が出来ない人物を選ぶ必要があったんじゃないですか? もしくは二人共忙しかったんでしょう」

 原田はそこは山南敬助や永倉新八じゃないのかと思ったが、出来るだけ新選組という縁を使いたくなかったと予測ができる。つまりは新選組という仕事ではなくカルデアという仕事という意識として働いてほしいという意図なのだろう。そういう意味では幕末で一番中立として生きていた坂本龍馬を選ぶのも納得する。藤堂の方にきたのも、昔、藤堂が御陵衛士の時に会っている事も関係してそうだ。四人一緒に呼ばなかったのも、この仕事にもうちょっと気楽さを求められてるのであろう。

「いつ行くんだ」
「食べ終えたらすぐ行きたいんですが、用事があるならそれが終わった後からでも構いません」
「わかった。じゃあ飯食ったら行こうぜ、それにしてもお前その飯の量は少なくないか?」
「満腹までたべて、いざ緊急事態になった時に腹痛で動けなくなるよりマシですよ。それに初めて食堂を利用したので無難なモノを選んで次行くかどうか考えようかなと」
「そういうもんかね」
「そういうもんですよ」

 そう言いながら食べる藤堂の顔は、淡々としており、まるで作業のように食べている様に感じられると同時に味噌がゆが朝で無難なものだったであろうかと原田は思いながら、自身の朝定食を箸でつまみ、味を楽しんだのであった。



 ダ・ヴィンチ工房へ向かい、ダ・ヴィンチからスマートフォン二台を受け取る。藤堂が持ってるタブレット端末は集団や老人や動物系統の対策用や特殊サーヴァント用らしく、そっちも余裕があればテストしてほしいとのこと。
 藤堂と原田はスマホのバッテリー量が満タンなのを確認し、電波も問題がないかチェックし、藤堂はタブレット端末のアプリとスマートフォンが同期できるかどうかのチェック確認をした後、スマートフォンに入ってある五千QPの確認と残りの手元にあるQPを確認する。

 今回の任務のクリア条件は空白のマップを八割埋める事。
 それ以外の確認することは

・アプリの挙動に誤字やバグが発生してた場合は記録を取り、後でダヴィンチに報告する。
 (スマートフォンが作動しなくなった、先に進めなくなった場合は速やかにダ・ヴィンチ工房へ戻って報告)
・アプリに内包してあるクエストの中でも重要度の高いものは出来る限りクリアする。
・終わったら速やかにダ・ヴィンチ工房へ戻りスマートフォンとタブレット端末を戻す事
 (端末に入っていたQPはちゃんと本人へ渡す為の処理をするため)
・故意で壊した場合は弁償が発生するが、やむを得ない事故や事件の場合はしなくてもいい

 ある程度わかりやすい注意事項だったため、二人は了承し、さっそく給付金バイトという名のカルデアの散策を開始した。
 アプリを起動してマップを開き、クエストを見ると最重要なものは最低限一つ買い物をする事と、食堂、管制室、医務室、格納庫とマスターやサーヴァントが必要な施設や娯楽設備を主に行くみたいで、倉庫などは入ってはいるが重要度は低く設定されていた。

「比較的うまく回れば、一時間か二時間程度で終わりますね。どうします?」
「どうせ回るなら隅々までまわってみようや、立ち入り禁止エリアとかあるなら早めに知っといたほうが困る事ねぇし、それに多分新選組のほうの見回りの事考えても全部見て頭に入れといたほうが面倒なくていいかもな」
「待ってください、カルデアでも新選組が集まって見回りしてるんですか?」
「どうやらバレンタインやらとかクリスマスやら、夏とかになると、何かしら治安維持部隊が必要みたいで要請が来るとかなんとか、あと稀にマスターが拉致られて地球外に行っちまった時とかあるらしいから、そのための見回りだとか言ってたな……

 あ、頭が痛い。
 藤堂は思わずこめかみを抑え込む、弾正の時もそうだが、内部侵入が出来る時点でだいぶがばがばではないだろうかと思うと同時に、神性を持った敵だった場合、よくて応援が来るまでの足止めぐらいしかできない事は分かってるのだろうかと思うと、応援の要請や神性に対する魔術礼装などは確立されてるかどうかの話にもなるため、それを考えるとなると物凄く面倒くさい。考えるのを止めたくなるほどである。
 藤堂の個人的な感情として、新選組に戻ってきたという感覚そのものがない。ただ、藤堂がやらかした特異点ではいつのまにかそうなってしまったというのが現状近い形なのだ。そのことからして、新選組に属しているという形に自動的に入れられるのが予想できるからこそ、自分が入って何になるのかと同時に、人数増やせばいいという話でもないだろうとなるのだが、今それを原田に言っても仕方がない現状。
 そもそも地球外に拉致されるのが日常茶飯事とか勘弁してほしい。
 その感情を藤堂はゆっくりと呑み込む。今考えても致し方ないことは後回しにするに限る。

「とりあえず、これが終わったら山南先生と近藤さんに話あってきます」
「そうしろ、そうしろ」

 原田は相変わらずごちゃごちゃ考えてるんだろうな。とこめかみを抑えてる藤堂を見る。原田も原田で思う所があるっちゃあるが、まぁあの新選組だしなぁという感情しかない。こういう時は流れに乗りながら様子見を決め込むのが原田なのだが、藤堂はその逆でどうしても振り返ってしまい一度止まってしまうのだろう。
 魁先生と呼ばれていた彼ではあるが、あれは前へ前へとのめり込むとは少し違う、藤堂は出てる情報から色んなルートを模索し、原田達よりもより安全なルートを先に示し、先導する事も相まって、魁先生というあだ名がついてしまったようなものだ。
 本人はがらではないと否定するが、少なくとも息が詰まるような状況でさえも常に循環を意識し、例え味方を騙してでもぶち壊すための壁を必ず一つ作りだすのだ、その壁を通るか通らないかは本人次第ではあるが、行き止まりの奴からすればそこまで導いてくれる人間を先生以外の言葉で表現するのは難しいものだろう。
 例え自らの命が犠牲になろうとも、無意識にでも循環を意識している所は、復讐者になっても、前とは違う藤堂だとしても変わらないなと思いながら、とりあえず手当たり次第に近くのフロアへ二人で向かっていく。

 様々なサーヴァントと出会いながら、色んなフロアを探索していく、中には魔術師のサーヴァント工房が連なってる為、入り方を知らない方々は近寄る事すら身の危険を及ぼしかねないため立ち入り禁止区域になってたり、中には怪談の類が発生してるため、立ち入り禁止指定になってる所もちらほらあるみたいだ。

 アプリから発する音声の説明を聞き終われば、クエストがクリア表示になって次のクエストへと表示される。同期しているタブレット端末をみても自然と次のクエストの表示がされる。あえて一回無視をして違う場所へと行ってみたが、別に指示に従えとかも言うわけもなく、別のフロアの説明が開始され始めたので、道順とかもそこまで守る必要もないと分かってから、とりあえず二人は話しながら思うままに進む。

 朝に行った食堂へ足を運ぶとアプリの説明が始まる。
 普段は無料ランチなど実施してるが混雑していない限り指定したQPを支払えば要望の料理を作ってもらえるシステムがあるというアプリの説明に対して、まだ使っていないシステムを認識するためのモノでもあるのかと二人は再確認した。高級食材を使う物に対しては代理品を用意したり、より高いQPが要求され、申請さえすればキッチンを使用して料理を作る事も出来き、バレンタインで使用される場合は込み合う為注意が必要との説明に、藤堂は娯楽がある程度全体にいきわたるように配慮されてると感じた。

 原田が一番興味というか関心をしていたのはシミュレーションルームで、外部からでも内部からでもある程度操作可能で、設定によってはシュミュレーター終了まで出られないようにも出来るようだ。本物と見分けがつかないほどに魔物や人物が再現可能であり、魔物からドロップ品まで出る始末。
 やりたい放題じゃねーか。と原田は笑いながらツッコミを入れていたが、ここまでやりたい放題となると、試したいことが色々思い浮かぶのだろう。色々設定をいじりながら、現代の町を歩き回ったり、西洋の時代へ設定し、飛竜の生態をみたりと楽しんでいた。

 原田がシミュレーションルームで楽しんだ後、懲罰部屋や医務室、仮眠室やマスターのマイルームの側や図書室などを巡り巡って散策し、所々サークルの説明などが入りながら、特に迷子になる事もバグに遭遇する事もなく、クエストもほぼクリアした状態にまでなった。最後にダ・ヴィンチ工房の近くの売店へと寄る。
 売店の入り口付近にはすぐ近くに複数のゴーレムがレジを担当し、実質無人売店に近い形でやっているようだ。
 基本的に携帯食料やちょっとした機材道具など様々売っており、中には日本刀の手入れ道具セットや、折り紙や、サバイバルセット、花や、小型携帯寝袋まで置いてあるのを見ると、もはや専門店と言っても過言ではなさそうな品揃えではあった。
 クエストで何か一つでも買い物する事が出てたので、藤堂は一通り棚を見回すがこれと言ってほしいというものがない。関心するものが多いが、喉が出るほどに欲しいかと問われれば否としか出ないのである。
 隣に居た原田は、嗜好品の所にある小さ目の瓶の酒を選んでいるのを藤堂は目にしながらも、正直食事をしたいという欲求すらないのが現状だ。
 なら、少しでも身近で使えるものを探そうと、棚をより細かくゆっくりと歩いて見回る。
 ふと、人よけ用や獣避け用の礼装の隣に銀の小さな人差し指ぐらいの大きさで、ネックレス型の棒状のホイッスルが置かれていた。どうやら防犯や災害用らしく、何かしらでネットワークが使えなくなった時の連絡用ツールとして置いてあるようだ。
 藤堂は少し手に取る。
 今は連絡はタブレット端末やスマートフォンや魔術や電子機器などを使って情報通信のやり取りができるが、有事の際、いかに楽をして遠くに相手の意思を伝えるかは重要である。
 もし、魔力も電力もタブレットが使えない状況下が来る可能性を考えても昔から使われていたモノを一つ持ってるだけでも心強さが違うというものだ。
 首にかけると激しい戦闘の中で壊れる可能性はあるだろう、それを考えると小物に取り付けたりとかにした方が良さそうだ。
 それ以外に改造する所があるとするなら、もう少し特殊な音にできないかどうかだろう、今は緊急用として用意して、後々にお金を貯めてモノづくりのサーヴァントに頼めるかどうか話あえばいい。
 とりあえず笛を二つと開閉できるゲートが付いた金属製リング状のホルダー、通称カラビナを一つ手にとり、アプリの説明を聞きながらスマートフォンで買い物を済ませる。
 特徴的な支払いの音色がレジに響き、無事会計を済ませ売店の外へ出ると、原田が左手のビニール袋の入ってた一つのミニタイプの瓶の酒をちょびちょび飲みながら藤堂を待っていた。どうやら複数の酒を買ったみたいだ。

「昼から酒ですか、昼食 ちゅうしょく残しても僕しりませんよ」
「大丈夫だ、つまみしかたのまねぇから」
「飲む場所と酔いつぶれる場所だけは考えてくださいねお願いだから、ただでさえ部屋に移動させるのさえ一苦労なんですから」
「お、という事は一緒に飲みに付き合ってくれるってことか」
「何言ってんですか、他人に迷惑かけすぎるなって話ですよ、一人だけならまだしも、昔から飲みだすといつの間にか周りが集まって宴会騒ぎになるじゃないですか、途中で呼び出されて後片付け手伝わされるのだけは嫌ですからね」
「へーへー」

 他人に迷惑が掛かるのがダメなだけで、駆けつけてはくれるんだなぁと原田は思いながら酒をぐびぐびと飲み干す。小さな瓶をゴミ箱にいれ、ガシャンと音を立てたと同時に警報が鳴り響いた。

『緊急、緊急、シュミュレーションルームにて<狂えるオルランド>が発生。標的はシュミュレーションルーム脱走したとのこと、耐性のない者は近くの部屋へ早急に避難し鍵をかけ、作戦が終わるまで待機してください、耐性がある者は直ちに標的を確保を最優先に行動してください。繰り返します……

 何それとなる藤堂と原田。そもそも何の耐性なのかがはっきりと出してないし、そもそも耐性があるかどうかもわからないのでどう避難するのが正解なのかハッキリしない。
 売店に避難してもいいが、そもそも売店の扉は自動扉で、さっき入った限りでは藤堂と原田の二人しかお客がいない為、誰も鍵をかけるやり方を知らないし、鍵をかけるとしても説明書を見ながら鍵をかける事になる為時間もかかるだろう、なら人がいつもいて、今近い場所といえば管制室よりダ・ヴィンチ工房へ行きダ・ヴィンチからの情報の共有の方が無難だと二人は結論づけた。

「じゃあ手っ取り早くジャンケンして死番きめるか」
「ばかなの!? そもそも二人しかいないし、あんた殿しんがりしか能がないんだから普通そこは殿しんがり務めて僕が先行する流れでしょうが!」

 え、こんなわかんない状況でお前まだ再臨してもいないのに先行してくれるのか? という顔をする原田。
 むしろこんな状況だからこそ再臨してない自分が先頭へ行って、敵に遭遇した時に原田の所へ誘導して対処してもらうべきだし、自分達が対処できない場合は藤堂が敵を誘導しカルデアのサーヴァントに出会うまで逃げ続ければいい。自身の利点を積極的に使わないでどうするんだと藤堂は言いたかったが、そういえば前々から原田は自身のスペックに関しては出来ない事は把握していても出来る事についてはすごい曖昧なぐらいに把握できない所が多々あった所を藤堂は思い出す。
 本当にどうしようもない人だと心の中で藤堂はため息をつきながら、改めて大きく宣言した。

「とにかく、僕と二人で組むときは僕が先行と索敵、原田さんは殿しんがり固定で!! わかりましたね! 次死番やろうとしたらあご砕きます」

 それは世間で言う所のパワーハラスメントというのでは?
 と原田はツッコミを入れたかったが、そういう雰囲気でもなく、あごは砕かれたくないし藤堂のいう事が原田の中では事実でもあったため、おうと頷くのであった。