フリンズさんと一緒の可愛らしい子達の話

※パイモンちゃんアカウントの月霊パロと、捏造設定のフリンズドドコがいる設定です。ご注意ください。
※少しファルカさんが居ます。
※月霊ちゃんと留守番する話とほんのり繋がりがあります。

 今日もしっかりとお小遣いを稼ぎますかぁ、とやる気を出して冒険者協会に向かっていると、見覚えしかない大きな背中が見えた。

「ファルカさーん、こんにちは!」
 見知った背中――もといモンドの騎士様に声をかけると、ファルカさんが振り返ってくれた。
「おぅ、嬢ちゃんか。今日も元気そうだな。……フリンズは居ないな、一人なのか?」
「はい、たまには冒険者活動しようかと思って」
 冒険者ギルドは、別に定期的に依頼を受けなければいけない……などという制約はない。しかし体が鈍ってしまうのも嫌なので、私は思いついた時には依頼を受けるようにしている。
「そうか、でも今日は帰った方がいい。面白い日になると思うぞ……?」
「え、どう言うこと……んん⁈」
 ファルカさんが、口角の片側を吊り上げてニヤリと笑う。意味深な笑い方に戸惑ったが、彼が手に乗せていた小動物が目に入った途端、私の目はソレに釘付けになった。
………………なんですか、この可愛い生き物は!」
「ははっ! こいつはドドコって言ってな。アリス――ほら、祈月の夜のお祭りに参加してた魔女様達が居ただろう」
「はい、少しだけお話しました」
「そうか。そのうちの一人の魔女が、その作った……使い魔みたいなもんだ」
…………なるほど?」
 何もわかんなかったけど、ドドコが可愛いということだけ理解した。なんだかファルカさんに似た小さな洋服を着ていて、ほっぺに傷痕もあって、もふもふで、触り心地良さそう……
「んで、な? このドドコは、なにも俺の格好してる一匹だけじゃあ無いんだ」
 ファルカさんドドコちゃん(仮)に手を伸ばしつつ、にじり寄っていたら、ファルカさんは自身の背中にヒョイと隠してしまう。触れないのは残念ではあるが、いま言われた内容を思い返して――ある事に気づく。
 ……もしかして今、ドドコちゃんが他にも居るって言った?いや言ってないけど、そのニュアンスだったのは確かである。
「ファルカさん、あの! 私帰りますね‼︎ 教えてくれてありがとうございました失礼しまーす!」
「おぅ、気をつけて帰れ……ってもう見えないな。あと――コイツがバレてなくて良かったな」

 全ての情報は伝えては居ないが、あの様子なら彼女は気づいただろう。――他のドドコが何処にいるのか。
 一人呟いたファルカは、手乗りしているドドコと、自身の後頭部にしがみ付いて震えている別の存在を、少しだけ撫でてやった。


 ***


「ただいま! フリンズ‼︎ どこ⁈」
「おや? 予定よりもお早いご帰宅ですね」

 真っ直ぐに帰宅した夜明かしの墓、灯台が見えてからは全速力で走った。灯台下に到着すると、目当ての人物が外のベンチに座っていた。
…………あぁ、めちゃくちゃ可愛い生き物がいる」
「それは僕ですか?」
「ちが――いや違わないけど、今だけは違う」
 少し曖昧に答えると、「おや、違わないんですか?」とフリンズが笑った。彼の目の前の机には、ファルカさんドドコちゃんと同じようで異なる生き物――つまり、フリンズのドドコちゃんが居た。薄紫色の長めの毛並みで、彼のケープコートに似た小さな洋服を着ているようだ。
「ドドコ……って言うんでしょ?」
「おや、耳が早いですね。どなたから聞いたんですか?」
「ん、ナシャタウンでドドコちゃんを連れてるファルカさんに出会ったの」
「あぁ、なるほど」
 先程からフリンズのドドコちゃんが、キュルルンお目目で私を見ている。何て可愛らしいのでしょう。

 早速触らせてもらおうかと手を伸ばしかけて、一旦戻す。そういえば私には前科があるからね。いや別に罪とは認識してませんけど。
「ドドコちゃんは、触っていいの?」
「えぇどうぞ。――ただですね、」
 なに、条件とかあるの?と、フリンズの顔に目線を向けると、彼はニコリと笑った。
「実は、もう一人特別ゲストが居るのです」
 そう言った彼は、そっと手のひらを上に前へ差し出す。すると、何も無い空間から、ポンっと白い何かが飛び出してきた。
「げ、月霊ちゃん⁈ わー! また会えるなんて!」
「えぇ、そうです。偉大な魔女の方々に触発されたのか、コロンビーナさんのお遊びで、また出て来れたみたいです」
 フリンズの月霊ちゃんはフワフワと浮きながら、私の肩に乗ってきてくれた。フサフサの髪の毛が頬に当たって、ちょっとくすぐったい。
 改めて、正面にフリンズのドドコちゃんを見据えて、そっと手を伸ばす。
「わぁー! ふわふわだ! 触り心地最高すぎ‼︎」
 手乗りドドコちゃんは両手で掬い上げると、手のひらの上をぴょんぴょんと跳ねた。
「ドドコちゃん、うちの子になる?」
「おやおや、何を言い出すのやら……
 ドドコちゃんにそんなことを言い出した私を、彼はクスクスと笑っていた。
 肩に乗っている月霊ちゃんは、私の頬をツンツンしてくる。なんだなんだ?構って欲しいのか、可愛い子ですね。月霊ちゃんのモチモチ肌を優しく撫でると、キュ〜と小さく鳴いた。ほら可愛い。
 一応、ちらっと飼い主のフリンズの方を見ると、彼もくすぐったそうにしている。感覚共有は残ったままなのか。あんまり触ると怒られそうなので、少し我慢しなければ。……我慢できるかな?
 
 フワフワとモチモチを交互に構っていたら、ベンチに座っていたはずのフリンズが、いつのまにか立ち上がって隣にいた。そして、私の両脇に手を差し入れて、いきなり持ち上げられる。
「わぁ、なに⁈」
「いえ――なにも」
「何かしてる人がなんか言ってる⁈」
 持ち上げられた私は、再びベンチに座るフリンズの膝の上に乗せられた。
 
「ドドコと月霊の二匹と遊ぶのは許しますが、――僕も構ってくださいね?」
 
 そんな台詞を、私の目を見つめながら、少し首を傾げて伝えてくる。……なんだこれは、三匹とも可愛いね⁇
 順番に撫でたり、つついたり、抱きしめていたら、いつのまにか日が暮れていたけれど、ファルカさんの言う通りに面白い日――素晴らしい日が過ごせた。
 ぜひ定期的に開催してください、と言う意見はどこに出したら良いのだろうか。

 
「そういえば、ファルカさんの月霊には会えましたか?」
「え、会ってないそっか、あの場に居たはずなのか‼︎」
「ふふ、隠されてしまったのですね」


 
『推しが更に増えることなんて、あるんですね?』