「約束通り、今日は一緒に寝てもらうからな!」
「本当にそれでいいのか?」
「もちろん! 食事を終えたら、俺の部屋に集合!」
点差は一つという辛勝だけれど、勝ちは勝ち。なので、前々から考えていたことを告げれば、少々困ったような表情。
丹恒はきっと理由とかわかっていない。だからこそ、少し畳みかけるように告げるしかない。
「ふへへ」
「何故そんなだらしない表情を」
「嬉しいからさ。俺の事、嫌いになった?」
「ただだらしない表情をしているくらいで、嫌いになるほどの感情は持ち合わせていない」
ツンとしているのは相変わらず。でも、前よりは俺に対して向けてくれる感情がわかりやすくなっている気がする。
嫌いになるほどの感情は持ち合わせていない。と言うからには、最低限の公ウィは持ち合わせてくれているということ。
「何か言いたいことがあるのか」
「ううん。じゃあ、夜に俺の部屋に来て」
「っ。そこまで念押ししなくても、わかっている」
手の甲を指先でなぞると、息を詰まらせ。プイっとそっぽを向く。
愛しさが溢れて抱きしめたくなったけど、我慢して部屋に戻る。
布団を整えて、お風呂にも入って。パムの作ってくれた美味しご飯を食べて。
準備万端!
「はーい。どうぞ~」
ノックの音がしたので答えると、丹恒が恐る恐る入ってきて。
「いらっしゃい」
「邪魔させてもらう」
「枕が変わっても寝られるか?」
「ああ。そうでなければ、開拓のために寄った星の宿で眠れるはずがない」
「ですよね~。ということで、どうぞ」
「
……」
先に寝転がっていぞ。と、手で示すけれど動かない。
「丹恒?」
「その
……誰かと一緒に寝るということは初めてで。戸惑っている」
そっとベッドに乗って、マットレスをグッグッと押して。
「楽しい?」
「分からない。俺の布団は、薄いから少々気になっただけだ」
「うん」
「もう眠れるのであれば、寝よう」
「うん。眠れる」
丹恒が枕に頭を乗せたのを確認し、俺も隣に寝転がる。
「おやすみ、丹恒」
「ああ、おやすみ」
灰緑の瞳を瞼の裏に隠し、深呼吸しているのか胸が大きく上下しているのをしばらく見ていたら。
本格的に眠りに落ちたようで、胸の動きが小さく一定に。
丹恒は真面目だし、律儀だからきっと約束を守ってくれると思っていた。
「好きだ、丹恒」
聞かれないように呟くけれど、多分聞かれてしまっているだろうな。
それならそれでいい。
大切に閉じ込めておきたいけれど、この燻ぶる思いは後で消化しないとな。
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