桐谷リベル
2026-03-03 12:11:33
1547文字
Public
 

いつも通りの“特別な日”

ブレワイ9周年おめでとうございます!リンゼルにも9周年お祝いしてもらいました。リンゼルはいっぱいいちゃつけ。もっと幸せになれ…。
最近ようやく自分用のブレワイを買ったので、ようやく人に借りてプレイしなくてよくなりました。やったぜ。

「リンク、おはようございます。今日も良い天気ですよ。」

布団に潜り込むリンクに朝を告げ、ゼルダが2階の窓を開けた。少し冷たくて爽やかな空気と、眩しい陽射しが部屋に入り込む。
リンクが包まる布団を容赦なく引き剥がす。寝ぼけ眼のリンクは少し講義するように唸り、欠伸をしながら起き上がった。

「んん……おはよ、ゼルダ……。」

「リンクったら、すっかりねぼすけさんになってしまって! もう朝食は出来ていますから、早く降りてきてくださいね。」

まだ眠い、と顔に書いてあるリンクの背中をぱしりと叩き、ゼルダは階下へ降りて行った。

「ねむ……ふぁ……。」

再び大きな欠伸をし、伸びをしたリンクは窓の外に目をやる。アッカレ地方特有の紅葉した木々と、イチカラ村を囲むアッカレ湖に反射する陽光が眩しい。午前中の冷たい空気にふるりと身体を震わせたリンクは、寝間着から普段着にしているハイリアの服に着替えた。



身支度を整えて階下へ降りると、香ばしい薫りが漂ってくる。食卓には太陽のようにてらりと光る半熟の目玉焼き(リンクは半熟が好きだ)、ケモノ肉の腸詰め肉、瑞々しい宝石のようなハイラルトマト、ふっくらと焼き上げられたタバンタ小麦のパン、それと、ミルクとカボチャを煮込んだ温かなポタージュが用意されていた。パンはカゴに山盛り盛られている。先程まで眠気でぼんやりしていた頭が目の前のごちそうでいっぱいになった。ぐぅ、とわかりやすく主張した腹の虫に、デザートのフルーツを運んで来たゼルダがくすりと笑う。

「さあ、朝食にしましょう。」

リンクは席についてへにゃりと笑った。

「おれの奥さんの料理が今日も最高に美味しそう。幸せすぎて死ぬかも。」

「もう、そんなことで死なれてしまっては困りますよ、リンク。今夜はご馳走ですから、身が保たなくなってしまいます。」

ゼルダがくすくすと笑い、リンクは首を傾げた。

「あれ? 今日、何かお祝いの日だったっけ?」

「もう、リンクったら忘れてしまったのですか? 今日は私が、厄災ガノンの手よりあなたに助けてもらった日から9年目ですよ。」

ゼルダが両手を腰に当てて『怒ってます』というポーズを取る。リンクはようやっと思い至ったのかあ、と口を開けた。

「そっか、あれから9年なんだ……。」

懐古するように呟くリンク。
まっさらな状態で目覚めて、ハイラル国王の霊に導かれ旅立って。インパやプルア、ロベリー達と出会い。シーカーストーンに残されたウツシエの記録を巡り。残念ながら未だ完全には至らないものの、記憶を少しずつ取り戻して。様々な人々と縁を結びながらの旅路の果てに、厄災ガノンと対峙した。
そして、リンクが目覚めるまで厄災ガノンを封じていたゼルダと力を合わせ、再び厄災の封印を果たした。
無事ゼルダを助け出した後、感極まって泣いてしまった事まで思い出しリンクは慌てて記憶を辿るのをやめる。

「その後も色々ありましたが、9年前、100年越しに私とリンクが再会した日は今日なのですよ。」

魔王の復活、リンクの敗北、ハイラル城の異変、それに伴うゼルダの失踪。リンクの脳裏に、あの時の絶望と苦い記憶が蘇る。

「リンク、難しい顔をしていますよ。」

シワの寄るリンクの眉間を微笑みながらつついたゼルダは、早く食べてしまいましょう、と食卓についた。

「今日は1日ずっとお祝いです。これ以上冷めないうちに召し上がってくださいな。」

……うん、いただきます。」

少し冷めてしまった、けれどゼルダの心の篭った料理を口に運ぶ。広がる幸せの味に、リンクの頬は緩んだ。


窓の外で鳥達が囀る。いつもと変わりない、けれど特別な1日は、まだ始まったばかりだ。