三毛田
2026-03-02 22:40:13
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84 01. 一目で恋に落ちた

84日目
君に一目惚れした

 恋とは転がり落ちるもの。
 一目惚れとは、自分で制御できないもので。
「星。俺はどうしたらいいと思う?」
「告白して、玉砕すれば?」
 生まれたときからの相方は、そんな冷たい返事。
 まあ、いつもこうだからいいんだけど。
「丹恒、カッコいいよな」
「それはわかる。顔がいい」
 そう。あの人は、滅茶苦茶顔がいい。俺は可愛いけれど、彼はカッコいい。
「クールで無表情だけど、意外と面倒見がいいところとかさぁ」
「へぇ。あんた、面倒見てもらったことあるんだ」
 意外。という声が聞こえてきた。多分、小さく零したと思われる。
「この間寝坊した日のことだけど、一時間目の授業が絶対に先生に当てられるやつでさ。いつもなら、教科書読んで備えるんだよ」
「でも、ギリギリだったから出来なかったと」
「そう。さらに忘れてたし。で、俺の前の奴が答えさせられてるところで、ようやく思い出して。一人でパニックになってたら、そっとメモをくれたんだよ」
「うわ。優しすぎ」
 そっと、さりげなく。先生にバレないようにと配慮されていて。
「あんなさりげなく出来る人、俺は知らない。それに」
「それに?」
「押しつけがましくないし、それを鼻にかけないのってさ。すごいよな」
 俺が一目惚れしたのは、間違ってない。
「うん。だったら、なおさら告白して玉砕した方がいい。諦められるでしょ」
 なんて、他人事。
 さっきまで舐めていた飴はなくなったのか、新しい雨の小袋開けて口へと放り投げ。
「断わられたら、それはそれでお互い気まずいだろ」
 シャーペンの後ろで頬をつつき、問題に目を向ける。
「そう?」
 何かを知っているのか、不思議そうに首を傾げて。
「あんたがうじうじしてるのはらしくないから、さっさと告白してくる!」
「でっ」
 背中を叩かれ、シャーペンが手から落ち。床を転がる。
 デコピンを仕返し、宿題を終わらせ。
 それから数日経っての放課後。
「俺に話があると言っていたな。なんだ」
「えーあー……その」
 いざ告白の言葉を告げようとしたら、唇が震えて上手く言葉が紡げない。
「ゆっくりでいい。ほら、深呼吸しろ」
 手を握り、そう告げてくるので彼の言う通りに吸って、吐いて。と数回繰り返すと落ち着いてきた。
「丹恒、お前が好きだ」
 手をそっと握り返し、するっと出てきた言葉を告げると驚いたように目を見開いて。
「そう、か……
 そっと目を閉じ、考え込んでいる様子。
「俺も……お前が好きだと返したら、どうする」
「凄い嬉しい!」
「そうか」