雪白あくあ/翠澤しのん
2026-03-01 01:16:32
741文字
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小森月が孤独の街の祝福を選んだとき

 正直、暑いところのチートみたいなのと、ちょっと迷った。でも、僕は星の変化に気付くより、星のことをもっとちゃんと知りたいって思った。だから『知性』を、最初の雪のところの祝福を選ぼうって思った。
 それに、あの暑いところのを選ぶ人たちは元々病気で普通の日々が送れなかった人とかが多くて、街の主さんも僕みたいに「ズルなんじゃ」って思うのは余裕があるからって話をしていたみたい。それで、じゃあやっぱり僕はここじゃないなって思ったのも、ある。

 塔が下に着いてから街に入ると、白い息が僕の視界に上ってくる。そういえばこんなに寒いところだったなって、ひと月も経ってないのに懐かしく思えて、ちょっと笑った。

 ――『自分について考えてくる』課題。そういえば、最初はそうだった。後の街で、欠点や感情や願いについて考えたから、前よりはわかるようになった、と思う。そしてもし死んでなかったら、全然気付かずにいたんだと思う。
 僕はずっとずうっと星を大好きな片割れで、兄で。そしてきっと、星とは違う願いを持った人間だってこと。

 本当は、認めたくなかった、かも。僕と星で違うことがあるなんて。
 でも、嫌われても、上手くいかなくても、一緒じゃないことばかりになっても。星の隣だけは絶対に諦めたくないから。
 だから、生き返って、星の隣にいるために。そのとき少しでも星のことをわかるために。

「僕に、星にないものここの祝福を、ください」
 ――どうせどんな生き方を選んでも、人より優れたギフトを生まれ持っても、人生はちょっと悲しいようにできてるんだし。
 あーあ。お揃いじゃなくなっちゃった。自ら望んで。でも、また、隣に行くためだから。お願い、待ってて。

 生暖かい雫が、頬を伝っていた。