望月 鏡翠
2026-02-28 00:50:25
904文字
Public 日課
 

#2015 自問自答 執拗

#毎日最低800文字のSSを書く/祝福の塔


 呪いってなんだろう。
 もちろんそれは比喩表現で、本当に呪いが存在しているわけではないってことはわかっている。この街の人たちが全員、魔法があったらいいなって思いながら、本物の魔法は持っていないのと一緒。
 それは人生を暗くするものだったり、死に追いやってしまう悩み事だったり、生きるのを苦しくするようなことだったりするんだろう。
 心の問題。周りの環境。生まれ持った性質。信じた夢。理想の姿。
 そういうものが生み出した、簡単には解決できないと感じている何かだ。
 人生の中にそういうものがなかったから、当然それを晴らしたいというモチベーションもない。だから今こうやって、ぼんやりと何が必要なのかわからないなと思いながら、周りの人が悩んだり自分について考えたりする様を、見ている。
 何かを好きになったり何かをしたいと願うのって、すごいことだと思う。自分の力で自分と世界の関わり方を変えていこうとするってことだ。めちゃくちゃパワーがいる。
 そのエネルギーを、祝福に頼らなくても最初から持ち合わせているなんて、すごいことだ。
 何かを嫌いになったり憎んだりするのも、同じくらいすごい。もしかしたらそこから逃げられないだけかもしれないけど、嫌なことを嫌と認識した上で、向き合い続けるって実はすごく疲れることだから。
 諦めて何も感じないふりをしてやり過ごしてしまうような怠惰な人間には、とても真似できない。もう嫌だっていう感情をちゃんと抱えてられるって、偉いと思う。
 みんなちゃんと自分の人生を生きてるんだ。
 偉いよな。
 この人生に、呪いはない。呪いがないから、祝福もない。解く方法がない。行き止まりだったわけではなく、先がないだけ。
 本当に嫌になる。自分を見つめ直せば直すほどに、特に中身がないことを思い知る。一体何を選べばいいんだろう。
 何かを選んで、人生を変えてもう一度生まれ直して幸せにやっていけるのかな。
 たぶん、やっていけるんだと思う。なんの疑問もなく、目の前の楽しいことを、楽しいままで、過ごしていくのだと思う。
 元々そういうやつだった。
 だから、嫌だなと思ってる。