イマナミ
2026-02-27 13:07:34
5462文字
Public 👹 暖かな陽射しの中で
 

暖かな陽射しの中で 第二話 高嶺の花

👹小説 第二話。
ぎゆしのです。
常に全年齢 生存ifです
ぜんねず、伊アオ、実カナ、おばみつ前提です。
注意してください。

もう飽きたよ、禰󠄀豆子ちゃん」

「善逸さん、がんばらないと美味しい豆ご飯食べれないよ」
禰󠄀豆子は手際よくえんどう豆のさやを剥いてる。

「しかし、すごい量ですね、豆ご飯パーティーになりそうですね」
アオイは誰よりも速い。

「みんなよく食べるから、これでも足りるかわからないね」
カナヲもアオイに負けじと頑張ってる。

「まだまだあるよー、収穫してきた」
まきをが更にえんどう豆を持ってくる。

ここは宇髄邸。

大量のえんどう豆で豆ご飯を作ろうとしてる。
アオイ、カナヲ、禰󠄀豆子と善逸は宇髄の嫁達に頼まれてやってきた。
炭治郎や伊之助は炭を売りに行ってるので今は不在だ。

「豆ご飯とか、ちと地味すぎねぇか?ほんで、あと誰くるの?」

「ほぼ声をかけた皆様は来ます。あと来られるのは、悲鳴嶼様、不死川様ご兄弟、冨岡様、甘露寺様、伊黒様、時透様、竈門様、嘴平様となってます」
雛鶴がこたえる。

「あれ、胡蝶は?」

「姉さんは研究が忙しいから」

「ふぅん。なんだかんだでみんなくるんだな。
甘露寺くるなら天ぷらを思ってる10倍は増せよ。
あと酒もっと追加するかぁ。あと、育ち盛りが、いい肉食いたがってたからよろしくな」

「天元様も手伝ってください!」
須磨がぷくーっと頬をふくらましてる。

「俺、今から冨岡とお館様のとこで仕事だからな」

「天元様、お館様にお裾分けを持っていってくれません?豆ご飯のおにぎりです。」
須磨がにこにこして天元にわたす。

まじかよ。もっといいもん食ってるんじゃね?」
天元は怪訝な顔をする。

「豆ご飯をバカにしないでください」
須磨が激怒してる。

「遅くなるかもな。冨岡と帰ってくるから先、酒飲んでていいぜ」

冨岡と聞きアオイとカナヲは顏を見あわせる。
「冨岡様がくるならしのぶ様無理矢理でも連れてくればよかったですね」
アオイが思わず言う。

「せっかくの仲直りの機会だったね」
はあと、カナヲはため息をつく。

宇髄はシラーっとした顔で2人を見る。
「ふーん、喧嘩してんの?珍しい。仲良し二人組じゃん、あいつら」

「柱の皆様はそう思ってるんですか?」
アオイは驚いた顔をしている。

「俺らはあんまり干渉しあわないけど、アイツらよく一緒にいるなぁみたいな。
任務もなんだかんだ2人でも多かったし。
まあ、胡蝶も冨岡とじゃなんてこともないだろうけどな。
じゃあな、行ってくるわ」

「行ってらっしゃいませ、天元様」
天元は足早に家を出て行った。

善逸が真っ赤になってさけぶ。
「しのぶさんと仲良しになれて、2人で任務できるとか柱になりたかったよ」

「善逸さん禰󠄀豆子さんひいてますよ」
アオイは冷たい目でみてる。

「違う。俺。禰󠄀豆子ちゃんが一番だからあああ」

宇髄邸が壊れそうな勢いで善逸の声が響いた。



産屋敷邸の雑務は多い。

隠達にもある程度任せてるが、今回の解散で金の支払いや隊士の就職先までみることになる。

そしてその金の出どころがたった8歳のお館様の先見の明という状態だ。

雑務をとりしきるために宇髄と冨岡は産屋敷邸で働いてる。

「おまえ、胡蝶と喧嘩してんの?」
天元はニヤニヤしながら冨岡に話しかける。

「仕事しろ」
冷たく冨岡がいい放つ。

「肯定か」

「また、おまえが一言多かったんだろ?」
冨岡は書類から目を一切離さない。

宇髄、ここの金の流れおかしい、見直して」
「声がこえーよ」

ギロっと冨岡はにらむ。
「わかったよ、仕事中は話さねーよ」

(コイツなんでも仕事は早いのは助かるけど、雑談に厳しいよな)

宇髄は胡蝶と冨岡が鬼殺隊のときどんな仲だったかと考える。
夫婦を装って、潜入捜査もあった。
胡蝶が昼間周辺の聞き込みで昼間は冨岡は自分の屋敷で寝て、夜仕事みたいな仕事の仕方だったはず。

「しまった、お館様に嫁の飯を届けてくるから冨岡ここで待っとけよ」

「ああ」


冨岡は、一人になるとついついしのぶの顔を思い出してしまう。

(喧嘩なんだろうか?
胡蝶が一方的に怒ってる気がする。

胡蝶の前で泣いたのがよくなかったのかもしれない。
会えて嬉しくてつい涙が出た。

胡蝶がこの世に存在するだけでいい、そう思うのに自分の嬉しい気持ちを口にしてしまった。)

ニコニコと笑顔の宇髄が戻ってきた。
「お館様、すげー喜んでたわ。家庭の味とかのがいいんだな。また持っていこう」

「わかるな。俺も外食が多いから」
外食はついつい好きなものを選ぶ。
そしてなんだか、毎日似たような食事になる気がする。

「冨岡、おまえは嫁もらわないときつくね?俺も隻腕だからわかるけど」

「そうか?」
何が?って顔を冨岡がする。

「いや、おまえが困ってないならいいんだよ。
冨岡はあり得ない器用さとおかしなぐらいな不器用なとこが混ざってるからな」

「不器用?自分だとわからないな。別に不便もない」

やはり冨岡は変わってんなという言葉を宇髄は飲み込んだ。

「そーいえば、胡蝶となんで喧嘩したの?」
「またその話か

「教えろよ」

「俺がいるだけでイライラするらしい」
困り果てた顔で冨岡がいう。

「不死川みてーなこといってんな、胡蝶
宇髄はご愁傷様という顔する。

胡蝶が生きてると知らなかったから、会えたときにおまえに会えるなら死ぬのも悪くないとうっかり言ったからだろうかそれとも胡蝶の前で泣いたからかな」

「悩んでるな」
(それって恋なんじゃ)と宇髄は思う。

はぁ」深いため息をつく。

「ふーん、不憫なやつもう無理矢理胡蝶のこと抱いたら?」

「何をいって
冨岡は真っ赤になってる。

「なんだ、つまんねーの。胡蝶ってそうやってみんなが高嶺の花だと眺めてて詰んでもらえなくなる女かもな」

俺は胡蝶のこと人として尊敬はしてるが、そんなつもりはない」

「あいつには人を救ってばかりいないで、自分も生きろって教えるやつが必要だよな」



「頑張れよ、冨岡」
「俺みたいなのが胡蝶に何かを言えるわけがない」

「おまえら仲良いじゃないか」
「よくない今は話してさえくれない」
「ふーん」

「そーいや、今日、胡蝶いないぜ。研究忙しいんだとよ」

「残念だな」

「やっぱり、胡蝶に惚れてんのか?」

「惚れてなんか俺なんかが惚れていい相手じゃない。でも、よく胡蝶のことは考えるし、その、今のままは良くないのはわかるから

冨岡は惚れてるとかわからないなと思う。

胡蝶はよく話しかけてくれて、怪我を心配してくれる
そのことを嬉しいとよく思っていたなと思い出す。

彼女の小さな手は、沢山の命を救う
なんて大きいのだろうとよく彼女の手を見ていた。

あの大きな瞳に自分がうつっていることがいつも不思議だった。
自分をみつけたらにこにこと側にきてくれるのも、ただの面倒見のよさからだとと知っている。


だから、女性として意識したことがない。
それに、どう考えても彼女に自分が似合うとは思えない。




「うめーな酒が。最高。みんなもいるし、派手でいいね」
宇髄はご機嫌だ。

(賑やかだなでも胡蝶はこんな時も頑張ってるのか、俺は何もできない、無力だな)
冨岡はどうしてもしのぶのことを無意識に考えてしまう。

「水柱様じゃなかった。冨岡様。お酌します」
カナヲは今日は絶対冨岡と話すときめていた。
しのぶの冨岡への態度の悪さを悪い意味で勘違いされてないように、話そうと決めていた。
姉のためならなんでもできる気がする。

「えっと栗花落、大丈夫だ。俺は自分で飲む」

「そ、そうですか。その、あの、姉は今痣の研究で不在です」

「ああ、宇髄から聞いた」

「姉はいつも冨岡様のことをいつも気にかけてます。その上手く言えませんが、冨岡様のことは特別なんだと思います」



「どうか姉を嫌いにならないでください。お願いします」
真っ赤になりながら必死でカナヲは冨岡に頼み込んだ。

「大丈夫だ。俺は嫌いにならない。胡蝶は大事な仲間だから。
感謝してるし、尊敬してる」

「ありがとうございます

カナヲはほっと胸を撫で下ろした。

「お話中ごめんなさいね、カナヲちゃん、豆おにぎりどこに置いたかしら?」
「あ、雛鶴さん、すみません冨岡様、失礼します」

(特別かそれならどんなに嬉しいか
むしろ嫌ってるのは胡蝶だし、俺はずっと変わらない気持ちでいるのにと思う。

「冨岡
冨岡はその声に驚く。

「悲鳴嶼さん……

「胡蝶の態度はあれから戻ったか?」

「まあ、まだ、ですかね

「胡蝶はあんな感じだが、おまえといる時は心から楽しそうだ。だからこその今の態度だと思う。
自分の気持ちに不器用な子なんだ」

「俺といて楽し思ってくれてるなら、嬉しいです」
冨岡は微笑む。

「南無尊い
悲鳴嶼さんは優しい眼差しで冨岡をみてる。


周りが自分と胡蝶とのことで気をつかってくれてる。不思議だなと冨岡は思う。
そんな仲だったことなどないのに。

ただ

『あなたの命は守ります』
あの眼差しにドクンと胸がなった。

確かに、診察のとき触れられるのも気まずい気持ちになったこともあるが、男なら皆そうだと思うから特に気に留めてもいなかった。
そうやって、どの男もそうであろうと見逃した胸の痛みはかなりある。

彼女に相応しい男なんてこの世にいるんだろうか。
あんな美しくて、聡明で強くて。

俺なんか邪魔にならないように生きるしかないんじゃないかと思う。

「独りで飲んでんじゃねェよ。辛気くせェ」

「不死川かさっきまで悲鳴嶼さんと飲んでたんだけど、宇髄につれてかれた」

不死川が目線を悲鳴嶼にうつすと、ガンガン宇髄が飲ませてる。
「悲鳴嶼さん、ヤベェのにからまれてるな
不死川の顔色が変わる。

ああいうのを助けるの、俺、無理だから」
さらっと顔色も変えずに冨岡がいう。

「俺も無理だし、伊黒も無理なタイプだなァ。
甘露寺、悲鳴嶼さんとこいけ」
不死川は蜜璃を指差し、あっちにいけと悲鳴嶼の方に指を向ける。

「は、はい」
蜜璃は即、悲鳴嶼さんの隣に行く。

冨岡は思わず不死川を冷たい目でみる
「人任せか甘露寺甘露寺で平気か?」

「うるせェ、宇髄だって女には無理させねぇだろがァ」
「なるほど」
冨岡は宇髄とめるなら宇髄の妻達のほうがいいのではと一瞬思ったが、一緒になって飲ましそうかとも思い直した。

来てよかったなア」
不死川は嬉しそうに微笑む。

「俺は帰りたい」

「俺は玄弥がほら、炭治郎とか時透と楽しくしてンの見れてよかったぜ」
心から嬉しそうに不死川がいう。

「ああ、あの辺り若いな酒飲んでないのに賑やかだな」
冨岡はわいわいしてる炭治郎たちのほうに目線をやる。

「刀鍛冶で親しくなったンだと。なんかいいなァとか思ってみてた」

「任務で親しくなることは、まあ、あるよな」
胡蝶の姿が脳裏に浮かぶ。

「それでよォ、胡蝶とおまえ一緒の任務多かったよな、ってさっき伊黒と話してた」

ちらっと伊黒をみると、須磨とまきをにからまれてる。
なるほど、不死川は逃げてきたんだなとわかった。

「不死川もそんな話するんだな。俺は任務では性格上親しくなんてならないな」

「だろうなァ。
しかし、今日は胡蝶なんで来ねェわけ?」

「痣の薬の開発してるそうだ」

なるほどと不死川は呟く。

「なんかアイツ一人ずっと戦わせてしまってるなァ。俺ら」

「ああ」

「勝てたのだってアイツの功績みたいなのに、負い目を感じてるしよォ。
胡蝶を救えんの、おまえなんじゃないかァ」

「ないな、高嶺の花だよ。
しかも、最近は近付くことさえ許してくれない」

高嶺の花だとみてるうちに、消えてなくなることもあるんだ。後悔すンな」

「流石、経験者」
「うるせェわ」
茶化すような口調の冨岡に不死川はあきれてる。

「確かに、胡蝶姉はこの世のものとは思えない美しさだったな」

「おまえな」

「不死川って意外と面食いだったんだな」

「うるせェ、中身に惚れたんだよォ」

シーン

不死川の声があたりに響き渡り、全員が不死川の顔を見てる。

「え、何?何?なんの中身に惚れたの?知りたいわ」
蜜璃は大興奮している。

「甘露寺やめとけ、よ。不死川の恋なんて失恋に決まってるだろ?聞くな。酒がまずくなる」
宇髄が泣き真似をする。

「南無

「不死川さん、この歳で失恋?痛いな」
冷たい目線を無一郎がむける。
「皆、兄ちゃんが可哀想だからいじらないで」
玄弥が泣いてる。

おまえらなぁ、許さねェからな(悲鳴嶼さんを除く)」

「あはは」
「笑ってんじゃねェ、元はといえば冨岡が悪い」
え?なんで?という顔をしてる。

わいわいと過ぎていく時に、(胡蝶もいたらな)と思う。

これが恋情なのだろうか?疑問に思う。

(そういうのはよくわからないな

窓の外をみると
月は優しく光ってる。

今夜も月が綺麗だなと呟いた。


第二話 高嶺の花 (完)