三毛田
2026-02-25 22:18:53
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79 33. 灰の埋め火

79日目
いつでも燻ぶる恋心

 溜まった灰をかき出し集めて。
 残った、ちょっと火が燻ぶるそれだけは残しておき。
「パム。火鉢の掃除終えたぞ」
「埋め火は残したか?」
「うん。言われたとおりに残してある。何で残すんだ?」
「次に使う時、すぐに火をつけられるように、じゃ」
「なるほど」
 丹恒が言っていた、先人の知恵ってやつだな。
「火鉢って、ヤカンを置いたらお湯を沸かせるし、芋も焼けるし餅っていうのも焼けるし、焼き菓子も温められて便利だよな」
「うむ。じゃが、きちんと換気をしないと危険じゃ。火を焚いておるからな」
「使う時は、ちゃんと換気してる」
 そう。アーカイブに使い方があったので、火鉢を使用する時はちゃんと車両の換気扇を動かしている。
 中毒になったり、倒れたら大変なので。
「そういえば。丹恒、来たか?」
「今日は見とらん。食事を摂りに来てもおらんの」
「軽食を作ってもらえるか? 俺が届けるから」
「頼む。それと、叱っておいてくれ」
「わかった」
 パムも姿を見ていないということは、どうせ徹夜して、食事も忘れているのだろう。
 軽食を手に、資料室へ。味見したハムたまごサンドは、マスタードが利いていて美味かった。
「丹恒、入るぞー」
 ノックはしたけれど、返事は待たない。
……穹?」
 俺の気配に気づいたのか、手を止めてこちらを振り返る。
「何徹したんだ?」
「一昨日は、お前と一緒に寝ただろう」
 手の甲で目元を擦り、不服そうに。
「眠そうじゃん」
 ちょっとだけ揶揄うように告げ、サンドイッチとスープの入った魔法瓶を詰めたバスケットを渡す。
「栄養入れないと、頭が動かないだろ?」
……そうだな。パムに礼を言っておいてくれ」
「美味かったら、自分で言うこと。後、食べたら俺の部屋で寝るぞ」
「わかった。いただきます」
 椅子に座り、両手を合わせてからサンドイッチにかぶりつく。
「なんだ」
 一口を飲み込み、それから俺を見て。
「丹恒が食べてる姿、好きだなぁって」
……物好きだ」
 引いた様子はないけど、呆れたように。
 一度落ち着いたと思った欲は、埋め火のように常に燻ぶっていて。いつでも――油断をしたら――顔を覗かせてくる。
「ご馳走様」
 俺がムラムラして、それをどうやって鎮めようかと思案していたら、食べ終えた丹恒が口を綺麗に拭いていた。
「パムにこれを返しいいってから、お前の部屋へ行こう」
「じゃあ、先に行ってベッド整えておくからな!」
 嬉しくて、廊下をスキップしながら部屋へ戻る。
 後で、なのに揶揄われた。