カレーうどん
2026-02-25 22:13:14
7165文字
Public 隼竜
 

【下駄】食器【隼竜】

チェンゲメインでギャグです。オールキャラよりかもです。
例の公式グッズからの連想です。

ある日、インベーダーの襲ってこない平和な時間。
俺こと流竜馬は隼人の司令室にいた。
俺だけじゃねえ。弁慶やゴウ達も集まっていた。
ゲッター乗りだけ集ったこの部屋、何でなのか理由がわからねえ。
隼人の秘書から「来てください」と言われたら、行くしかねえ。
俺以外に弁慶やゴウ達も、首を捻っていた。
何も知らされてねえからな。
とりあえず俺達は司令官様である隼人と向かい合うように立っている。
隼人だけ座って、両肘を机につけて両手の指をクロスさせていた。
鼻より上が露わになっていて……偉そうに小言でも言いそうな上司みてえだと思った。

「よくぞ集まってくれた。竜馬に弁慶、【真ゲッターロボ】の若きパイロット達よ」
隼人は上から目線みてえな立場で発言した。
ケッ、勝手に13年も長生きしたくせによ。
「そうむくれるな竜馬。今から説明を聞けば、やる気になるぞ?」
「やる気だ?」
「何か、刺激的なもんなのか?」
弁慶が聞いた。
ワクワクするもんなら、そういった想像するよなあ。
「刺激といえばそうだな。敵勢力を痛めつけるのにはちょうどいい」
「インベーダーの殲滅に効果的なんですか?」
「ゲッターよりもすごいの?」
「ゲッターには及ばないが、奴らの神経を直撃するにはいいだろう」
益々わからねえ。
及ばねえんなら、ゲッターで潰す方が簡単じゃねぇか?
「竜馬。むくれた姿はキュートだが、力のゴリ押しでは奴らに勝てんぞ」
「俺もガキじゃねぇよ。ゴリ押し以外の戦闘もやってやらあ」
(前半の『キュート』には突っ込まんのか……?)←弁慶のツッコミ
ったく、隼人はいちいち俺をガキ扱いしやがる。
俺だって作戦の1つや2つ、考えられるっての。

「本題に移る方が早いかもしれんな。ヤマザキ」
「はい」
隼人の秘書が呼ばれた。
指示を出す素振りはなく、隼人の後ろの壁面モニターの電源を入れているだけだった。
複数回操作した秘書は、隼人の隣の位置に戻った。
秘書の行動はどうでもいい。
俺達が気になったのは、モニターの静止画に映る物体。
そこには……2種類の食器が隼人の頭よりも拡大されていた。
「お茶碗と……
「グラス?」
ガイとケイの声だ。
食器の種類を言わなかった俺達も、隼人の頭よりも大きい事を不思議に思った。
お茶碗とグラス。
これが奴らをぶちのめすのに効果的だと?
「訳がわからんぞ。説明しやがれ」
「焦るな竜馬。今から説明する」
ったく、イライラするぜ。
何企んでやがんだ。気味の悪いニヤケ面しやがってよ。
事情は隼人しか知らねえから、発言権をコイツに委ねた。
ろくな事喋らねえなあと思いつつも。

「では始めよう。まずは決定事項から言い渡す」
「え、もう決まっているんですか?」
「私達の知らない所で?」
ガイとケイが反応した。
隼人と長い付き合いの俺や弁慶でも混乱するんだ。
ひよっこ達の反応はもっともだ。
「落ち着いて聞け。我々は、画面上の食器類の販売を開始させる計画を立てていた。何故か?」
「さあ……
「物資が不足しているから?」
「それも一理ある。だが、別の目標も掲げているのだ」
「別の目標?」
ここで、モニターに変化があった。
食器の前に横長の長方形が中央に配置され、中に白い文字がデカデカと表示された。
よく読むと……『子供をターゲットにした戦略』と書かれていた。
子供? 戦略?
一体、何をする気なんだよ。
「察しが悪いなお前達。それでもゲッターのパイロットか?」
「ああ? 舐めてやがんのか、テメェ!」
「落ち着け竜馬! ケイ達の前で……
弁慶が俺を止めたから、俺は殴りかかる手を下ろした。
怒りの方向が隼人に向けられなくて、俺の心はムシャクシャした。
察しの悪い俺達の為に、隼人は一応、説明を開始した。
「お茶碗とグラスを商品化して、子供達からの人気を集めようと思ってな」
「食器で喜ぶの?」
「デザインをよく見ろ」
隼人は左手で、モニターを強く叩いた。
液晶パネルと触れた事によってできる藍色の波が発生するだけだった。
俺達は食器類を、もう少し観察した。
お茶碗は赤く、カーブ状の側面にはゲッターの頭部の白いシルエットがあった。
グラスには……
「これって、ゴウ?」
「もしかして、培養液に入った時の?」
「そうだ。お前の上半身を借りたぞ、ゴウ」
隼人に名前を呼ばれたゴウの反応は薄い。
無表情で黙り込んでいるだけだ。
「ゴウ。アイツに文句言っていいんだぜ?」
「俺は気にしていない」
「もう! それじゃあ好きなように使われるわよ!」
ケイは心配している。
ゴウは何も言い返さなかった。
ざっくりとした感じになるが、ゲッターやゴウを使用したデザインの食器類をガキ共に売ろう、っつー企画はわかった。

ただ、不安は残る。
それを俺の代わりに弁慶が聞いた。
「隼人、俺からの意見だが……
「聞こう。何だ?」
「ターゲットの年齢層を引き上げないか? 例えば……
「女性は無理だ。既に独占されている」
「一体誰が……
「コーウェンと、スティンガーだ」
2人の博士共に、俺達は絶句した。
コイツらはジジイこと早乙女博士と行動を共にして……
「インベーダーが女性層から注目を浴びているだと!」
「そうだ。奴らは『こーちゃんとすーちゃん』として自ら二頭身キャラクターになり、お茶の間の一般人に規模を拡大させている」
「どのくらいの規模なのよ……
「『こーちゃんとすーちゃん』は朝の報道バラエティ番組のジャンケンコーナーの後の占いコーナーの背景映像と化している」
「それはもう、社会現象じゃないすか!」
はあ? コーウェンもスティンガーもインベーダー野郎も、見た目が気持ち悪いぜ?
身体はガリガリだし、両目はギョロっとしてやがるし、繁殖能力も高いんだぜ?
最近の、ケイ以外の女共はわからねえなあ。
人を襲う化け物を、何で好みやがるんだ。
「全国の女子高生の皆さんのトレンドに占拠されて、俺達の入る隙がない」
「ちょっと! インベーダーが襲ってきてるんでしょ! 何とかしなきゃ!」
「何とかする為に、子供達をターゲットにするんだ」
「益々、わからなくなるが……
「相乗効果だ。子供が興味を持つと、親御さんや周りの大人も興味を示すようになる。じわりじわりと攻めていく作戦だ」
その時、隼人と秘書以外がポカンと口を開いた。
へぇ。その手があったか……
「だったら、早速ぶっ潰しに行こうぜ」
「まて竜馬。今から俺達は、インベーダーを倒しにいくのではない」
「ああ? 野放しにできねぇだろ!」
「今回の任務に、ゲッターは使わん」
「じゃあ……どうするのよ?」
ケイが聞いていたが、当然だ。
インベーダー相手にゲッターを使わねえってんなら、他のスーパーロボットでも借りるぐれえしか、思いつかねえ。

困惑気味の俺達を前にして、隼人はデスクの下から、ホールケーキを詰める箱みてえなモンを出しやがった。
単純にサイズが似てるってだけで、ケーキの甘ったるい匂いはしねえ。
天面に四角い緑のボタンが3つと、ボタンの上に配置されたディスプレイがついているだけだ。
ディスプレイは赤の細え電球を使って表現するタイプの、簡素なつくりだった。
「隼人。それは一体……
「これはゲッター線を利用した転送装置だ。俺と敷島博士の共同開発で製作した」
「転送っつー事はよ、どこかに移動すんだな?」
「そうだ。行き先は指定している。後はボタンを押すだけだが……
ヤマザキ、と隼人は秘書を名前で呼んだ。
秘書は頭を下げて、司令室から去っていった。
この部屋に残されたのは、ゲッターに乗った経験のある奴らのみだ。
「転送される側の範囲は、この部屋内に限られる。
彼女にはタワーを任せてもらうよう、通達した」
「人払いしたんですか?」
「簡単に言えばそういう事だ」
では、と声を出した隼人は、転送装置天面の緑のボタンに、人差し指を置いた。
ボタンはまだ、沈み込まれていない。
「時間に猶予はない。押せば一瞬で目的地に辿り着く。覚悟はいいな?」
「いつでもいいぜ」
「黙っていられないよ! 弱い者いじめをする奴らは許せない!」
「そうだな。癒しを求める人間の心の弱みにつけ込んだ、悪者だ」
カチッ、とボタンは押された。
数秒で、ライトグリーンの膜が八方に広がり、俺達を風呂敷みてえに包み込んだ。
テントサイズ以上の風呂敷は縮こまり、消失すると……隼人の司令室は閑散とした部屋へと変わった。
天井の照明だけが、部屋全体を明るくしているだけだった。

  ◯◇◯

ライトグリーンの膜に包まれた俺達は気が動転して、なんだなんだと慌ててしまった。
元々動じないゴウと、ボタンを押した隼人以外は。
「落ち着け。試運転は成功している。後は祈るのみだ」
「ちょっと待ってよ! 失敗したら閉じ込められるんじゃあ」
「ゲッター線を信じろ」
お前が言うのかよ、隼人。
まあ、こうなっちまったら、運命共同体でいくしかねえか。
俺は騒ぐのをやめて、瞳を閉じた……

目覚めの時は、やって来た。
最初は朧げだから、数回程目蓋を開閉した。
狭い隼人の司令室から一変して、陽光が差し込まれた地上の外に立っていた。
太陽の光を拝める、だけじゃねえ。
大地に割れた跡はねぇし、奥の木々なんざ、多くの葉っぱがついていやがる。
ケイ達に至っては、「遊具が壊れていないわ!」と驚いて、はしゃいでいた。
この公園は、まだインベーダーに襲われていない、綺麗な場所だ。
隼人の奴、先回りでもするつもりなのか?
「ここは老若男女問わず利用される公園だ」
「それはわかるんだが……
「あの時計台を見れば、今は朝方だ。子供達が遊びにやってくる。見ろ」
隼人が顎で確認すべき方向を示した。
公園の出入り口である、開放された塀の柱。
2、3人の大人が、10人以上はいるガキを引き連れてやってくる。
黄色い帽子に水色の長袖のシャツと、多種多様のズボンやスカート。
ガキ共はまだ幼稚園児ってわけか。
「あの子供達に食器が欲しいか、声を掛けてみよう」
「いやいや隼人、お前正気なのか!」
「この企画を実現するまで、何度も思考を繰り返した」
「流石に不審者だと思われるぞ!」
弁慶の制止は、虚しくも振り払われてしまった。
隼人の野郎も、頑固なとこあるしなぁ。
嬉々とした表情でガキ共の集団に向かう隼人。
両手に紹介した食器類を持って。
隼人は近くまで詰め寄ると、腰を下ろした。

気色悪いニヤケ面のまま、ガキ共に話しかけた。
「やあ君達? かっこいいゲッターロボの食器はいらないかい? ヒーローの食器でご飯を食べたくないかい?」
台詞自体は、至って普通だ。
だが人を痛めつけるような狂気の変顔が、全てを台無しにした。
ガキ共の反応は、当然。
「う、うわああああああん!」
「こわいよおおおお! せんせー!」
その場で泣き喚いた。
付き添いの大人が、ガキ共を慰めていた。
大人組の1人、野郎が隼人にキツく叱っていた。
「何なんですかアンタは!」
「私は子供達にヒーローの食器をあげようとしていただけだが?」
「どうみても誘拐犯にしか見えませんよ! ちょっと! そこで見ている方々も止めてください!」
チッ……。指図されるのは気に食わねえが。
今回ばかりは隼人が悪い。
引率野郎に逆らわず、大人しく隼人を遠ざけようとした。
ガキ共は目障りと思う位、大声で泣きやがる。
隼人がやっちまった事だから、目を瞑っているんだが。
1人のガキが、公園の外まで響く声で、俺達の意識を逸せる名前を叫んだ。
「こーちゃん! すーちゃん! 助けてー!」

『はーい!』
公園の周りの生い茂った草木の中から、颯爽と現われたのは。
「コーウェンと、」
「スティンガー!」
「でも、体型がおかしいわよ!」
「顔全体が胴体になっている……!」
俺達が見慣れている人の姿のアイツらと体格が異なる事に驚いた。
立ちすくんだ俺達を無視して、ガキ共が急に走り出した。
アイツらの元へ、はしゃぎながら。
巨大な顔に手足を伸ばした姿のコーウェンとスティンガーの周りに、ガキ共がベタベタとくっつきやがった。
マスコットって奴は、ガキ共に人気がある。
ただのキャラクターだったら、憎い感情なんざ湧いてこねえ。
相手が、憎いインベーダーだから怒りが込み上げてくんだよ!
『フッ。子供達に優しくできない大人達って、情けないと思わないかい? そうだろう。スティンガー君』
『う、うん。変顔で子供が喜ぶと誤解しているよね。コーウェン君』
「テメェ……! そっくりそのまま返すぜ!」
俺は腹が立って、誤解しているのは両成敗だと指摘した。
殴りにかかりたくて、両手の拳を奴らに向けている。

いつでもクールぶってる隼人は違った。
「待て。竜馬」
「あ?」
「ここで喧嘩をすると、俺達が不利になる。別の策を立てるぞ」
「別の策だあ?」
「今、子供達が遊びに来ている。公園は広い……ならば!」
「ならば?」
「賛否はあれど、俺達ゲッターロボのパイロットはインベーダーを倒す英雄だ。悪の親玉を倒す『ヒーローショー』でもやらないか?」
『ヒーローショー』って……
「機材や道具は持って来てないぞ?」
「即興で構わん。単純に『ショー』で勝敗を決めて、どちらが凄いのかを子供達に示せば良い」
「なるほど……
「そういう事だ。こーちゃん、すーちゃん。今から俺達ゲッターロボのパイロットが貴様らに勝負を申し込む。逃げるなよ?」
隼人が凄んだ視線でマスコットの奴らを睨みつけた。
ガキ共を泣かせてしまいがちな面してやがる。
隼人の挑発に、好戦的な奴らは乗った。
『面白い。どちらが真のヒーローに相応しいか、ケリをつけようじゃないか? スティンガー君』
『そ、そうだよね。申し込まれたからには相応の報いをお返ししないといけないよね? コーウェン君』
普段から気色悪い笑顔をしているのに、笑い声で更に存在感の鬱陶しさが増してくる。
ボコボコにしてやりてぇ……
俺達が悪者になろうが構わねえ。
インベーダーをぶっ潰せるならな!
舞台の設営無しの、ぶっつけ本番の『ヒーローショー』。
ガキ共の観衆の前で、俺達はインベーダーに拳を振るった。

  ●◆●

皇帝:というわけで、こんなストーリーを考えたんだが、どうだ?
伝説:いやちょっと待て。
皇帝:え? 変な点でもあるのか?
伝説:あるに決まってんだろうが! ガキ共に食器売りつけるのも変だし、ゲッター線でワープすんのも……
新宿:ゲッター線ならワープぐらいできんだろ?
伝説:ワープはいい! のどかな公園でコーウェンとスティンガーが潜んでいるのも変だろうが!
新宿:作り話だからあるんじゃねぇの?
師範:しかしすげぇなあ皇帝。ここまで思いつくなんてよ……
皇帝:ウチの隼人がよ、本を作り出して、売ったんだよ。
新宿:そいつはすげぇな!
師範:ウチの隼人も最近本を出したみてぇなんだ。読んだら……恥ずかしかったぜ。
伝説:師範のとこなんぞ、本を読んだが……平和でいいじゃねえか。
師範:えー? 伝説のとこの隼人の本も、愛されている感じでいいだろ?
伝説:う……だったら直接言えっての! あの馬鹿隼人!
新宿:ふーん。俺のとこの隼人は……本出してるとこ見た事ねぇなあ。
伝説:……
師範:……
皇帝:……プッ。
新宿:おい皇帝! 何で笑いやがる!
皇帝:お前、マジで鈍感なんだなあ!
新宿:は、はあ! 何言ってやがんだ! あの元テロリストなんか、全然笑わねえからな!
伝説:(むっつりは事実だろうな)
師範:(やっぱりそう思うんだな)
伝説:(過激なモンはねぇが、悲しい話ばっかだったな)
師範:(俺、泣きそうになって、隼人に心配されたぜ)
新宿:あ、そうだぜ! オチはどうなんだよ!
皇帝:へ? あ、ああ、オチな?
師範:まさか考えて……
皇帝:いるぜ! 伝説達がゆるいインベーダーを倒すんだが、ガキ共からはブーイングの嵐だった。
伝説:んだとコラァ!
皇帝:落ち着けよ、まだ続きあるぜ。ただ、1人のガキだけは、伝説達を褒めていたぜ。「こーちゃんとすーちゃんを倒せるなんてすごい」って。
伝説:……今更ゴマ擦っても何も出せねえぞ。
師範:照れてるなあ! 伝説。
伝説:う、うるせえ! とっとと帰るぜ!

  【おまけ】
博士:ほう……アイツも考えたのだな。
テロリ:オチが見当たらないが?
博士:気長に完成を待つさ。
司令:俺の扱いが酷いんだが……
博士:ウチの竜馬が頑張って思いついたんだ。多めに見てやってくれ。
司令:……
大佐:司令のとこのグッズ、凄いじゃないか。
博士:あのインベーダー2人のキーホルダーを見て、ウチの竜馬が爆笑したぞ。
テロリ:3号機乗りの単独のグッズ化がないのだが。
大佐:司令とそちらの竜馬(伝説)と、そちらのゴウとケイのアクリルグッズはあったのに……
司令:……奴ら、インベーダーがいけないのだ。今から転送装置を開発して、『こーちゃんとすーちゃん』をぶっ倒しに行ってくる。
大佐:現実と空想の区別をつけろ! インベーダーを元にしたマスコットキャラクターはいないから!
司令:既にキーホルダーとして存在しているぞ?
大佐:ああ、もう! 何で俺達はこんなに頑固なキャラなんだ!
博士:『神隼人』の宿命だろう。
テロリ:(本編だともう少し柔軟性がありそうだが……

今度こそ終わり!