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ne🌟
2026-02-24 20:58:38
1576文字
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高諸
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12) かくれんぼの鬼はいつだって優しい
# いいねされた数だけ書く予定のない小説の一部を書く
高諸
「帰るぞ」
頭上から聞こえた声に膝に埋めてた顔を上げると、夕陽を背にいるはずがない幼馴染が立っていた。
帰り道がわからなくなって泣き始めてから、ずっと迎えにきて欲しいと思っていた人。
だけど誰にも告げず一人で山に入り、そして迷子になった自分に迎えなど来るはずがない。きっと、寂しくてしょうがない自分が生み出した、都合のいい幻覚なのだろう。
「おい、聞いてるのか。早く立て」
ぽかんと見上げたまま一向に動こうとしない自分に、目の前の人は露骨にイラついた表情になった。その表情のまま幼馴染は目の前にしゃがみ込んで、膝の上で握りしめてた手を握ってきた。
その冷たいけど温かい体温。幻覚が持つはずのない温かさに、子どもは思わず身体を跳ねさせた。
「
……
ほん、もの
……
?」
「寝ぼけてるのか。早くしろ。日が沈んだら朝が来るまで動けなくなるぞ」
腕を引っ張られ、ようやく子どもは立ち上がった。幼馴染はその言葉通り自分が怪我をしてないかを確認すると、繋いだ手はそのまま道を急ぐように歩き出した。
繋いだ手、前を歩く背中。
それは幼馴染と一緒のときは当たり前の光景だった。だけど今日に限っては違う。
忍犬を連れているわけでもない。歳は自分より上だけど、そんな変わらない年齢の彼。その人が広い山で迷子になった自分を見つけるなど、簡単なことではない。
背後から見て分かるくらい、彼も全身泥だらけだった。それだけじゃなくて、手や足には擦り傷もいっぱいある。
きっとたくさん探してくれた。たくさん、心配させた。自分のしでかしたことの大きさをだんだんと理解すると、落ち着いてたはずの涙がどんどん込み上げてきた。
「じん、に
……
ごめんな、さい」
「お前がどこに居たって、絶対に私が見つけてやる。
……
だからもう泣くな」
握られた手に力が込められた。少し痛いくらいに感じる強さがさらに安心を誘うものだから、泣くなと言われたけどしばらく涙が止まらなかった。
──そんなこともあったな。
微睡から意識を戻しながら、少し前まで見ていた光景に尊奈門は目を伏せた。
あの後、里に帰ってから高坂にも母にも父にも、たくさん怒られた。
あの時の自分は、もう一生、里に帰れないと思っていたから、怒ってもらえることが嬉しくて笑ってしまい、更に怒られたんだったけ。
あの人はその言葉通り自分を見つけるのだけは、上手だった。 迷子の時はもちろん、かくれんぼをしたって、真っ先に自分を見つけるのは高坂の役目だった。
そう言えばどんなに上手く隠れても、決まって一番最初に自分を見つけるもんだからズルしてるんじゃないかって疑われたこともあったけ。
五条たちに指摘され、むきになった高坂を思い出して、尊奈門は思わず笑ってしまった。
瞬間、刺すような痛みが腹部に走った。
「ーーーっ!!」
先ほどまでの笑顔が一瞬にして歪む。
捕えられる時に暴れたせいで、肋が折れているのだろう。腹部の痛みを合図にするように、先ほどまで忘れていた全身の痛みがジリジリと身体を蝕んでいく。
あぁ、これはまずい。
致命傷ではないにしろ、放っておけばまずいとわかる怪我の程度。ただ、ここには味方もいなければ、自分自身、縛られ身動きが取れない状況。
怪我さえしてなければ縄抜けをすることもできただろうが、笑っただけで痛む体にその負担を強いることも今はできれば避けたかった。
どうしたものか。痛みで鈍る頭で、必死に策を練る。
「こう、さかさん
……
」
縋るように、その名を呼んでしまった。
子どもの頃の口約束に期待なんてしては駄目。そんなことわかっているけど、痛みで弱った心には夢で思い出した彼の言葉は毒だった。
敵に捕えられた自分の居場所など、彼が知る由もないのに。
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