人間は不平等だ。天は平気で人に二物も三物も与える。顔良し頭良し愛想良し。だからあいつはモテてしまうのだ。それに関してどうこう言うつもりはない。だってあいつの魅力はそれほどまでに人を惹きつける。──自分だってそのうちの一人なわけだし。
それはそれとして、全く不安にならないと言ったら嘘になる。あいつが他のやつに目移りすることなんて
ないと思うけど、万が一、かなり魅力的な人間があいつに言い寄ったりしたら──自分は勝てる自信がない。自分は客観的に見て悪くなければ良くもない、平凡もいいところだ。
だからせめてもの抵抗として休日にあいつを独占することでポイントを稼いでおく。自分は恋人なんだぞ、という。
「どうしたの。今日はそんなにくっついて」
二人用のソファの上、ゆとりはあるのにわざわざ距離を詰めて座っている。距離を詰めたのは自分だ。
「べつにぃ。お前の愛情ポイントを稼いでいるだけです〜」
「なんで敬語?」
こっちは真剣なのに可笑しそうに笑うから、ふいっとそっぽを向く。そっと手を重ねられる。
「ごめんごめん。……もしかして、不安にさせちゃってる?」
「……お前が誰にでもいい顔するから」
唇をとがらせると彼はばつが悪そうに苦笑した。
「……あー。それは、ごめん、本当に。俺の悪い癖だ。良くないよねぇ。……でも俺は、君の前が一番自然体でいられるから好きだよ」
指先が絡められる。じんわりと熱を帯びていく。
「それ誰にでも言ってるだろ」
「ううん、君だけ」
優しく抱きすくめられる。ぽんぽんと背中を撫でられる。まるで赤子をあやすような手つきだ。
「……じゃあ許す」
それでまた許してしまう自分も自分だ。どうして相手なんて選び放題のこの男がどこまでも平凡な自分を好いていてくれるのかわからない。しかし、そうである限り自分は、彼の膝の上でふんぞり返っているとしよう。
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.