柚子茶
2026-02-23 13:48:35
1102文字
Public 図鑑ナンバー遊び
 

561

全国図鑑No.561


 回る、異常無し。回る、異常無し。回る、異常無し。回る、侵入者有り。──否、侵入者にあらず。

「童、何故泣く」
「泣くでしょう、私は役立たずです。我が王のためとここに居るのに、この体たらく。王は連れ去られたというのに何も出来ない」
「致し方なし。汝は其処にありながら、此処に在らざる者であった故に」
「挙句の果てに見知らぬ怪物と成り果てて、この世にしがみついている。最早王は居ないというのに、私は一体、何のためにここに居るのですか」
「なれば此処を去るがいい」

 既に童は異なる命。既に使命は果たされた。なれば留まる理由も無し。

「何故です、私は王のために」
「王は既に在らず、ヒトであった汝も死んだ」
「ならば、あなたもここを離れるのですか」
「否」

 我が守るのは神殿でも宝物でも、まして王でもない。我が守護するのはこの地である。この地がある限り、回り続けるであろう。それがシンボラーたる我の役割である故に。

「どうして、どうしてあなた達魔獣はそのように」
「そういうイキモノ故に。役割を果たすまではそのように生きる」
「ならばその後はどうするのですか」
「知らぬ。そのまま朽ちるか、新たな役割を求めるか。今それを考えるべきは汝であろう」

 童は仮面を抱え、黙り込む。その面は、ヒトであった頃の顔によく似ている。暫くの間そうしていたと思うと、また涙を流し始めた。
 童はイキモノになったばかり。放っておいてもよかろう。此処に居たヒトたちは皆、赤子は泣くのが仕事と、幼き王にも言っていたのだから。

 回る、異常無し。回る、異常無し。回る、異常無し。回る、異常無し。

 回る、異常無し。回る、異常無し。回る、侵入者の足跡を発見。追跡を開始。追跡、追跡、追跡、異常有り。

 争った痕跡も、奪われた形跡も無い。ただ、童の姿もない。この地が砂の底に沈んで1000年以上経ったというのに、其処で泣き続けた童の姿が。

 追跡を続行。追跡、追跡、追跡。──続行不可能。何故ならばその先は。

「外界。そうか、見つけたか。新たな役割を」

 であるならば、異常は無い。また我の役割を続けよう。気にすべきモノが一つ減ったことなど、この砂漠の砂粒よりも小さきことなのだから。

 回る、異常無し。回る、異常無し。回る、異常無し。回る、異常無し。



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全国図鑑561 シンボラー
古代都市を 守っていた 記憶を 残しているため いつも 同じ ルートを 飛んでいるらしい。

全国図鑑562 デスマス
お墓に 埋葬された 人の 魂が ポケモンに 変化した。死ぬ前の 記憶が 残っている。