Ymi:no
2026-02-22 07:27:28
1294文字
Public ビマヨダ小話
 

奥様はお猫様

猫ヨダナと人間のビマのネタツイまとめ

薄紫毛のスコティッシュフォールドを拾ったビは、早くもお猫様にメロメロ。あれそれと世話を焼くうちに、お猫様がとても賢いことを知る。自ら文字を肉球で叩き、ドゥリーヨダナと名乗った猫と、ビーマはゆっくりと心を通わせていく。怖がりながらも一緒にお風呂に入ろうとするドゥリーヨダナと湯船に浸かり、同じベッドで寝て、猫用に味つけた手料理で同じ食卓を囲む。次第にビーマは「俺の嫁さんはこいつしかいない」と思うようになっていった。
お猫様にでれでれのビーマは、ドゥリーヨダナが許す限りその腕に抱えて過ごしていた。とある静かな夜も、ビーマはいつものようにドゥリーヨダナを抱えてベッドに腰かけていた。頬を擦り寄せて、ふわふわの毛と温かな体温を堪能するビーマに、鬱陶しくなったのか、はたまた別の理由があったのか、お猫様がうにっと伸びをする。顔を背けられたビーマが情けない顔をすると、つんと澄ましていたドゥリーヨダナが振り返った。
ちゅ。
唇が重なって離れる。あまりの衝撃に固まるビーマの腕を出て、お猫様はさっさと寝る準備に取りかかってしまった。ハッ!と意志を取り戻したビーマも、慌てて丸まったドゥリーヨダナの隣に潜り込む。ちらりとお猫様を見遣れば、赤紫の瞳と視線が交わる。改めて、ビーマはドゥリーヨダナのことが愛しいと思った。
すやすやと眠る二人を置いて、深く暗い神秘的な夜が明けていき、地平線の向こうから朝日が登る。次第に明るくなる空が、二人の寝室を柔らく照らしていった。
ふわふわとあたたかい朝に、瞼もほとんど閉じたままで欠伸をひとつ落とし、うんと伸びをする。何だか身体が凝っているような、と内心首を捻るビーマの腕に、もにゅ、と柔らかな感触が当たった。
もにゅ?
何だろうと寝ぼけ頭で手を動かすと、指先に人間のような温かみのある弾力が返る。
ん? え? は?
急速に頭が覚め、驚き飛び起きる。慌てて横を振り返れば、そこには一人の男が素っ裸で寝ていた。
………………誰だ? いつのまに、」
柔らかな感触は、この男の大胸筋だった。知らない間に隣にいた男にも驚くが、セクハラよろしく胸をもんでしまった自身にも驚きを隠せずにいる。
「ん、ん……
動揺するビーマを置いて、男が唸り声とともに瞼を開く。隙間から覗いた赤紫の瞳が、他ならぬビーマを射抜いた。
「ビーマ……? なんだ、どうしたのだ」
甘く掠れた声が、ビーマに問いかける。狼狽えつつも言葉を探し、そこでようやく、この男が人とは違う特徴を備えていることに気がついた。
………………ドゥリーヨダナ、なのか……?」
頭の上にちょんと乗った、特徴的な垂れ耳。掛け布団の隙間から覗く、ふわふわのしっぽ。昨日も同じベッドで眠りについた、お猫様と同じ特徴の残る身体。
「何を今更。変なことを聞きよる」
何が何だか分からないが、この男はあのドゥリーヨダナらしかった。人になっても愛らしい姿に、緊張で強ばった身体から力が抜ける。
「そっか、……そっか」
そっと腕に抱き込めば、猫の時と変わらない仕草で擦り寄ってくる。可愛い、と思いつつ、珍しく二度寝に耽るのだった。