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赤だいだい
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ケイジとハルト
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仕事中
エロくない。予期せぬところで出会う2人。
週末の繁華街はやっぱり苦手だ。
人、人、人。
飲みに行くならまだ我慢できるが、スーツで仕事中にこの人混みはうんざりする。
誰も彼も楽しそうに見えて、ケイジは口の片方を引きつらせた。
(はー
…
ハイボール飲みたい)
あちこちに見える「飲み放題」の文字が恨めしい。
今日はとある事件の捜査のため、防犯カメラのデータ集めをしに来ている。
この辺は夕方からしか開かない店が多いのでこの時間に来るしかなかった。
頭を掻きながら人混みの中を歩いていると、少し前から聞き慣れた声がした。
「えー、それすごいね!」
2人連れの男。片方はハルトだった。ふわふわとした茶髪から見える小さなフープピアス。そしてあの大げさな驚き方は間違いない。
もう1人の男は知らない。50代くらいだろうか、背が高くてスタイルが良くて品が良くて
…
何より金持ちそうだ。高そうなセットアップを着ているのに気取っていない。ラフなパーカー姿のハルトとはアンバランスな組み合わせだった。
そう、アンバランスなのに。
ハルトとその男は手を繋いでいる。
ハルトのパーカーの袖口が長くても分かる、指と指がしっかりと絡まっているのが見えた。
(へー
…
)
また口の片方が引きつってくる。
今日はウリセンのバイトだとは聞いていたが。目の当たりにすると、胸のあたりがモヤモヤした。
スマホのLINEで、自然とハルトを選んでしまう。
トーク画面に「手つなぐのも仕事なんやな」と入力してしばらくその文章を眺めた。
ダサい。
やめよ。
そっと文章を消して、どこかの路地に入る。スーツのポケットからIQOSを出して、電源を入れた。どうしてもモヤモヤが無くならず、一服しないと落ち着かなかった。
ひと吸いして、空を眺める。ビルに囲まれた狭い空には何も見えない。
IQOS、やっぱり物足りんな。
いつものタバコにしないとガツンと煙が入ってこない。胸のモヤモヤが消えるくらい、煙を肺に吸い込みたかった。
唐突にスマホが震える。
「今日21時に帰るよん」
通知画面に出てきたハルトのメッセージに、IQOSを落としそうになる。
今まで帰る時間なんてわざわざ連絡してきたか?
いや、してきた時も、あるか。
急いで返信しないとダメな気がして、すぐに「りょ」とだけ文字を返した。さっきのダサい文章を消しておいて本当に良かった、と自分を褒めたくなった。
またすぐに返ってきたハルトからの黄色いクマのキャラスタンプを眺めながら、IQOSを咥える。
少ししか吸っていないのに胸のモヤモヤが消えていく。
…
吸い終わったら真面目に働こう。
ビルの狭間の空に1つだけ星が見えた気がした。
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