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紫輝
2026-02-21 11:56:24
1839文字
Public
リとヌと御仔の話
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仔龍のぬけがら
リとヌと御仔と寒い日の朝の話。起きたら寒かったので上掛けを防寒具に抱っこを求めに行く御仔の話です。例によって過去同じことをヌ様もやっています。寒いのイヤイヤ水龍可愛いね
ぱち、と、レヴィは目を開ける。ふあ、とあくびをひとつ。目を擦って、よいしょと四つ這いの姿勢で上掛けと自分を持ち上げて
――
ばふ、と再び、ベッドに沈む。
「う〜
……
」
よいしょの瞬間首と胸とお腹を撫でていった冷たい空気に驚いて、レヴィは縮こまった。なんてことだ。どうも今日はとっても寒い日らしい。これではお外に出られない。
とうさまが来てくれるのを待っていてもいいけれど、レヴィは知っている。ベッドの中という空間は、じわじわ温かくなくなっていくものなのだと。パパやとうさまが一緒なら不思議とずっと温かいのだけれども。
とうさまが来てくれる前にここが温かくなくなってしまったときのことを想像する。
…
そうなってしまったら、今度こそ動けなくなってしまうのでは?一人で寒いのは寂しいし悲しい。
へにょと眉を下げ、レヴィは決意した。ベッドの砦が冷え冷えになる前に、パパかとうさまに抱っこしてもらわなければ、と。
じりじりと上掛けの中を泳いでベッドの上を移動する。端にたどり着いて、そろと出したつま先を撫でる冷気に一度それを引っ込めて。
「うう〜
…
」
ひとしきり唸って、覚悟を決める。ここを早く出た分だけ、二人に早く抱っこしてもらえるのだから。
下ろした足を受け止めたふかふかの絨毯が覚悟していたほど冷たくないのにほうと胸を撫で下ろして、ひやりとした部屋の空気に首をすくめて、一ついい事を思いついた。
えい、と上掛けを引く。もそもそとそれを羽織れば、ちょっとした防具の出来上がりだ。少し身体はずっしりするけれど、これならば二人を見つけるまでに凍えてしまうことはないだろう。
うんしょとドアを開け寝室を出て(何か引っかかる感じと、も゙っ!
…
という音がした。振り向いても何もなかったけれど)、防具をずるずると引きずりながら二人の姿を探す。廊下の冷たさに小さく唸りながら。
今日は「おしごと」の日だ。レヴィの目が覚めるくらいの時間なら、パパがキッチンで朝ご飯を作ってくれているのでは? 予想を立てて、キッチンを目指す事にする。そういえば「おしごと」の日のとうさまが、レヴィを起こしに来てくれるまでどんなふうに過ごしているか知らない事に気づいたので。とうさまを探すより、パパを目指す方が確実だろう。
ずるずる、ぺたぺた、いくつかの音をお供に辿り着いたキッチンには果たしてパパの背中があった。大きなそれの向こう側からは今日もいい匂いがする。今日のご飯はなんだろうか。パパととうさまが作ってくれるご飯はなんでも好きだから、なんだって嬉しいけれど。
「パパ、だっこ」
それはそれとして今はこの冷え冷えをなんとかしたい。
足の裏からじわじわと上がってくる“ひんやり”に眉を寄せてそう声をかけると、パパはくるりと振り返り。
「
……
全部持ってきちまったのかい?」
レヴィ、と呼ぶ前に、おはよう、と言う前に、アクアマリンを丸くして、ふは、と吹き出した。
「だってしゃむかったんだもん」
「そうだなぁ。急に寒くなったもんな」
ぷうと膨れると、くつくつと笑ったパパの指がふにと頬をつつく。それから一番“あったかい”の残っているブランケットでレヴィを包んで抱き上げてくれて、温かい手が足に触れた。
「うーん、レヴィ用のルームシューズがいるかな
…
」
つめた、と呟いたパパは、眉を寄せてそこをさすってくれる。ぽかぽかと温かくなり始める足にはふ、と息をつきつつ、ぐりぐりと広い胸に懐いて足以外からも体温を分けてもらって。
「おくつ、しゅきくない
…
」
「そうかい? なら靴下の方向で検討しようか」
「リオセスリ殿。レヴィの上着はこれで
――
」
むうと唸るのに言うと思った、とパパが楽しげに笑ったところで、キッチンにとうさまが顔を出した。レヴィと、パパと、足元の防具を見たとうさまのアメジストがぱちりと瞬く。
「レヴィの抜け殻だ」
「
…
なるほど。寒かったからな」
「あんたもやったよな。懐かしくなっちまった」
「う
…
忘れてくれ」
「出来ない相談、ってやつだな」
くつりと笑うパパに、とうさまは居心地悪そうに呻き、気を取り直すかにふるりと首を振って。
「『抜け殻』は私が片付けておこう。朝食の準備の途中だろう?
…
レヴィ、おいで」
そそくさと防具を拾い上げたとうさまのもう片方の腕の中へ収まりながら、レヴィは考える。「あんたもやった」ってなんだろう。とうさまに聞いたら教えてくれるかな、と。
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