彼氏が帰ってくる前

ハルト(受)の自慰

スマホの左隅を見たら、もう23時だった。
「あー今日泊まり込みやって言ってたなー」
スマホゲームに夢中になっていたら夕飯を食べるのすら忘れていた。いつもならもう少し早い時間に『まさか今日ずっと家におったん?』と呆れた声の男が帰ってくるので中断できていたが、1人きりだとこんなものだ。
昨日ホストのバイトは堂々と辞めてきたし、自分を縛る予定は何もない。
ハルトはTシャツにパンツ姿でベッドの上をゴロゴロしていた。
いつもに比べて快適に身体を伸ばせる。
普段はどうみてもシングルサイズのベッドに、ハルトとケイジは窮屈そうに身を寄せ合って寝ていた。
『元々俺のベッドやで?』
『俺、腰痛持ちだから床で寝るの無理』
『はよ部屋見つけろ』
『お金ないんだよねえ』
いつもそんな言い合いをして、身体が触れ合ったら性欲スイッチが入ってセックスしてしまう。
そんな日常だった。

(いないって思うとシたくなる)
抱き枕代わりにしていたケイジの枕にハルトは顔を埋める。いつ枕カバーを洗濯したかもわからないのに、嗅ぎ慣れた体臭が染み込んだそれを、スヌーピーのライナスの毛布みたいに手放せない。
すんすん思いきり匂いを嗅いだ後、ハルトはスマホをタップして、カメラロールを開いた。
たくさん並んだケイジの間抜けな寝顔シリーズを半笑いでスクロールし、「お気に入り」のフォルダにある動画を漁る。
「お気に入り」にあるのは、ケイジを脅すときの2人のハメ撮り動画だ。YouTubeも撮影していたハルトはそれはそれはいろんな角度で撮影を繰り返していた。
酔い潰れたケイジの上に跨ったり、窓際にセットしたスマホをリモコンで操作して引きの画面で録画したり、鏡越しに接合部だけアップで撮ってみたりあらゆるいやらしい動画がフォルダに詰まっていた。
ハルトは「脅迫データ」と言いながら、たまにそのフォルダを開けてはちゃっかりオカズに使っていた。

(今日は、これ)
ケイジが酔い潰れた時に射精するまでハルトが手コキした動画をタップする。
自分のクスクス笑いとともに画面いっぱいに映し出されたケイジの性器を見て、ハルトは布団に腰を擦り付けた。
お尻の奥がキュッと締まるような、うねるような感覚が走ったからだ。
(あこれ
チン◯だけ扱いて済まそうと思ったが、アナルの疼きが増してくるのを感じる。
ハルトはベッド下を覗き込み、コンドームやらラブグッズを乱雑に入れたボックスからローションを掴んだ。本当は少し温めたいところだが、動画の中のケイジの性器がどんどん膨張してそそり立ってきたので、目を離しているヒマは無かった。
『えー酔ってんのにボッキするのすごーい』
ちょうどそう思っていたところへ、動画の中の自分が同じ感想を呟いたので、ハルトは思わず笑ってしまう。
枕にスマホを立てかけ、空いた両手で下着をずり下ろす。片手にローションを絞り出すと、ハルトはその手で自分の半勃ちになったそれを握り込んだ。
「あっ
ローションにまみれて、あっという間にチン◯はクチュクチュという音を立てだす。
動画の中のケイジの勃起もローションを塗りたくられたのか、ぬらっと赤黒く光っていて、同じ音を立てて小気味よく扱かれていた。
「はあっ
けーじのチン◯だぁ♡と思わずため息をついてしまう。
遠距離恋愛でもない、つい一昨日くらいにお尻に挿れた覚えのある勃起を眺めて、それが恋しくなっている。
ローションをもう一度絞って、ハルトは今度は自分の尻の割れ目をなぞっていった。
「んっ
後ろ穴の周りをローションが柔らかくしてくれる。ケイジが乱暴に挿入するように指を突っ込みたい衝動を抑えて、ハルトは少しずつ穴の中に指を埋めていった。
(あっ、先っぽ先っぽすごいえろい
動画の中、ケイジの亀頭が皮を剥かれてハルトの掌の中へ出たり入ったりしている。その様子が自分の後ろ穴でも起きている気がして、ハルトは喘ぎながら腰を前後に動かした。
「あっあっけーじ
この攻撃的な形の性器が毎回中に挿入ってくるんだ、と思ったら自分の指なのにぎゅうぎゅうとナカが締まっていく。

『お前締めすぎや』
『あ、やだ、抜くのやめッ

一昨日のやりとりも思い出しては、アナルを掻き回す指と、前の勃起を擦る手が止まらない。

『けーじのチン◯、出そう寝ながらイッちゃうね

動画の自分が手コキしながら実況する声に興奮しながら、ハルトもせわしなく自分のカリ首を扱いた。お尻を弄る指を激しく抜き差しし、それをやっているのは自分なのに止められなくなっている。

「あっ出るオレも出るッ」
『ッあすご精子あつっ
「あっあっんーーーー!!!!」

勢いよく射精したケイジの勃起を見た瞬間、ハルトもビクビクと全身を震わせながら絶頂に達した。


手の中で爆発した勃起になんとかティッシュを当てがい、シーツが汚れるのを防ぐ。
お尻のローションがわずかに漏れて、布団が濡れてしまったのはケイジには内緒にしておくことにした。
ハルトは丸めたティッシュを適当にゴミ箱に放り投げ、下着を引き上げた。急激な眠気に抗えず毛布の中に潜り込む。
寝返りをうったら、ローションまみれの尻の割れ目がクチュッと音を立てたが、もうそれを拭う余裕もなかった。
どうせケイジは今夜は帰ってこない。
(明日の朝、シャワー浴びよ
そう思いながら、ハルトは眠りに落ちていった。