「あうあうあ
……」
「穹、どうしたの?」
「さあな。俺が来た時点では、こうなっていた」
丹恒を好きっていう気持ちと、それを彼に向けてはいけないって思ってしまった気持ち。
それから
……ああ。
これはとっても醜くて、本当だったら捨てなくちゃいけないもの。
抱きたい。
そんな、欲を同時に抱いていて。
「どうしたらいいんだぁ」
「丹恒。邪魔だから、部屋に転がしておいて」
「そうだな。三月、穹の食べかけのおやつは後で運んでくれ」
「はーい」
「ふぇ」
急な浮遊感。と思ったら、丹恒の肩に担がれていた。
「た、丹恒?」
「ため息ばかりで、こちらも少々憂鬱になってくる」
「うぐぅ」
反論できなくて、思わず唸る。
「部屋で話を聞いてやる。今は大人しくしていろ」
「はい」
素直に頷いたけれど、これはまずい。
丹恒に触れているからか、ムクムクと欲が膨らんできて。
「ん?」
「丹恒、お願いします」
「ああ」
少々違和感に気づいた丹恒が、首を傾げているのが分かった。でも、促したおかげでバレていないはず。多分。
好きな人に触れられて、下半身が大変なことになったとか。
口が裂けても言えないし、呆れたような視線を俺に向けているなのには絶対にバレたくない。
男のシモ事情なんか、聞かせたくないし、知られたくない。もちろん、丹恒相手にも言えることなんだけどさ。
同性なのでまだそこまでの抵抗はないのは確か。でも、好きな人には知られたくない無駄なプライド。
少し前にアーカイブの教科書というもので見かけた、方程式というもののように複雑なもの。
「それで? 落ち着いたか?」
なのは、俺の食べかけのおやつを置いたら、丹恒の肩を叩いて後はよろしく。と伝えてから部屋を去り。
彼は彼で、冷蔵庫からよく冷えたソーダ豆汁を渡してくれて。
「あー
……うん。少し」
頬や首にそれを当ててから、一口飲んで。そう返すけれど
「
……」
視線が下半身に向けられて、そっと視線を逸らす。
「何に興奮していたのかは知らないが、三月に悟られないようにするのは少々骨が折れたぞ」
「そこは本当に申し訳ありません」
頭を下げたら、少々乱暴に髪を混ぜられ。
「素直に謝るお前は、いい子だな」
「ふえぇ」
優しいまなざしを向けられた上で褒められ、思わずそんな声。
えーん。
いやいや。好きな人にそんな顔向けられたら、ちょっとだけ落ち着いたのにまた興奮しちゃいそう。
「お前は
……」
「て、てへ」
俺の変化に気づいた丹恒は、呆れた顔。
俺は誤魔化してしまった。
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