n-2m
2026-02-20 20:43:28
669文字
Public
 

She and He and I.

生身の頃に妹からプレゼントされたミサンガを、今も大事に持ってるカートの話。

俺の16の誕生日、妹はミサンガをプレゼントしてくれた。
家にある数少ない刺繍糸をかき集めて作った、色も太さもごちゃまぜで、歪で、それでいて最高にクールなミサンガ。
妹が小さな手を懸命に動かし作った一点物。
こんなの、愛着が湧かない方がどうかしている。


生身の間は手首にずっと巻いていたけど、それは切れることがないまま、俺はサイボーグ適応手術の日を迎えてしまった。
手術前に固く締めた結び目を何とか解く。

術後のサイボーグの身体では、手首の太さが違いすぎて身体に直接着けることは叶わなかった。
それでも、俺はそのミサンガをどこへ行くにも常に持ち歩いた。
軍でも、一般の職に就いた後も、DSS入社後も。
その間ミサンガの居場所は、ジャケットのポケットだったり、リュックの底だったり、ズボンのベルトループだったりを転々とした。


マックスが俺の赤いベストに落書きをし、そのベストが唯一無二の物になった時、俺はミサンガの在るべき場所がようやく見つかったと思った。

生身の時間を共に過ごしたミサンガと、サイボーグのこれからを共にする落書き付きベスト。

俺が守ると誓い、互いに支え合った妹。
俺が守ると誓い、互いに寄り添い合えるマックス。

脱いだベストの内ポケットのファスナーに、俺はミサンガを固く固く括り付ける。
ちょうど心臓があった位置で、それは楽しそうに微かに揺れた。

お前も気に入ると思ったよ。

そして、そのミサンガ付きのベストを羽織り、俺は両腕で自分の身体をそっと抱き締めた。


俺の大切なもの。すべてが、ここに。