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おやおや…/まれろⓂ
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創作
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スキンシップ
人外人間くんのスキンシップについて 性描写はありませんが裸です。
フィジカル・コンタクトが欠けていたわけではないと思う。
母は特に僕ら子供たちとの触れ合いを気にするたちだった。父は真逆だったが、長男から四男までの発達に問題が見られたことはないと思われる。母と家政婦たちの努力の賜物であるだろう。
母に抱かれて、手に触れて、泣けばあやしてもらえる環境。安心できる環境。親子間のフィジカル・コンタクト。こういった触れ合いは両者ともに「オキシトシン」というホルモンを分泌し、精神の安定、記憶力の向上、ストレス耐性など、様々なプラスの効果を齎す。勿論、子供にとっては脳の成長に影響を及ぼすため、その後の性格、能力などに関わってくるだろう。
……
改めて、ウォルター家の長男から四男までの発達に問題が見られたことはないと考えられる。彼らは現在各々の所属する業界で活躍する人材に育ったが、幼い頃から今に至るまで評判は良い方だ。
しかし五男は違った。
母からの触れ合いに差はなかっただろう。彼女は家庭内で差をつけるのは嫌う。家庭環境に差があっただろうか?確かに兄弟が増えたという違いはあるが、前述の通り母は差をつけないように気を払っていた。そして兄たちは好感的なコミュニケーション、フィジカル・コンタクトを五男に行っていた。老犬ではあるが躾けられたあたたかいペットさえいた。より守られた、恵まれた環境にいたのだ。
では何故、何に問題があったか?単純だ。五男
——
僕に問題がある。母の努力に報いれなかった。兄たちの優しさに応えられる情緒がなかった。ペットを実験道具として扱った。
僕は、「心がない」らしい。
“君”とする触れ合いは、フィジカル・インティマシーに当てはまる。
ひとつのベッドの上で、お互い一糸纏わぬ姿でいた。肌と肌を合わせて、彼の胸に頭を埋めるような形でハグをしていた。とくり、とくり、と心臓の音が聴こえる。人体の中にある、心臓が、血液を全身に送り込む音。
君は、人ではないのに。
いつ触れてもよくできている。彼らの解剖学への理解の深さに感心する。必要かと思われるジャンルもあるが、あるということは要るのだろうし、その知識が利用されているのだろう。またチャンネルを漁って、君と見るのも良いね。次の休みには予定に入れよう。
「
……
今何か、不安なことがあったりする?」
「
…………
」
思考が小道に逸れかけていたのに、はっきりと今僕の思考の大きな道を指摘した。そうだ、悩んでいる。
「君は、勘がいい。あるいは人をよく見ているね。僕より心理学に長けている」
「なんとなく
…
見てたら感じるだけだよ。貴方の変化なら特に、気になる。勘違いかもしれないけれど、言っただけ。それで勘違いじゃなかったら、話を聞きたいし」
やはり僕より心理学に長けている。専門的な学びを経ていなくとも、微細な変化を感じ取れるということは、理解しているということだ。僕にはこの学問は、
「心がない」
そうだ、それが、ないから、知識としていくら身につけてもあまり向いていなくてね。
「君は心臓があるし、心もある」
「
……
」
またその話かと思わせただろう。頭上から悩ましさを含んだ沈黙が聞き取れる。
「僕は君とセックスまでした。でもフィジカル・コンタクトとフィジカル・インティマシーどちらもオキシトシンを分泌する行為だ。いや、セックスは正反対の性質のドパミンを分泌する行為になる可能性もあるが僕は君との性行為、そして触れ合いによって感じているのは主にオキシトシンを分泌する行為だと思っている。だから話を戻すと、昔も、今も、僕らの脳にはオキシトシンが分泌されているはずなんだ」
「えーっと、うん」
「僕は、前は失敗した。だから」
「また失敗するかもってことが不安?」
「そうだ」
君との、関係を、失敗してしまう
——
。
「いいんじゃないかな、失敗しても」
「
……
」
驚きのあまり顔を上げる。彼の顔を見上げることになる。ああ、いつもと変わらない、甘くて輝かしい黄金の瞳を、長い睫毛がするりと縁取っている。綺麗に整えられた凛々しさと力強さも感じる眉。鼻は高く筋が通っていて、唇は適度な厚みを持ち視線がつい引き寄せられる魅惑さがある。額や頬にかかる髪はさらりと流れ、二色の不思議な色をしているのに、違和感なくそれすら魅力的だ。君は最も美しい。
「
……
どうして」
疑問を投げた。何故。僕の多くはない(フィジカル・コンタクトをとるほどの関係性を持てたことが少ない)経験によると、失敗したら、終わりがくるのだ。
母と父は別れた。母は兄たちを連れて、僕だけが父のもとに残された。母としての努力をしても兄たちのように育たない僕に失望したのだ。母だけはもう僕に会いにくることがない。縁は切れた。
「失敗したとき、全員が貴方に見切りをつけたりしたの?」
「
……
ううん」
兄たちと父は、僕と未だに繋がりがある。きっと僕の性質を理解して、呆れつつも付き合ってくれているような感じなのだろう。
「だから、俺もそうだよ。もしも貴方とのコミュニケーションが失敗しても、すぐ終わりになんかしたくない。ちゃんと原因を話し合いたいし、それでお互いの理解を深めて仲直りしたい。きっとまた好きって言い合いたいし、ハグもしたくなるし
……
、俺は
……
」
「カロン?」
彼の瞳が少し揺らぐ、それを見つめる。綺麗だ。そこに写しているのが僕自身だとしても、君のフィルター越しの世界はどれも、美しくて。
「貴方と幸せになるための努力なら、たくさんしたいんだ」
君は、本当に不思議だね。
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