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とはり
2026-02-19 05:39:18
6242文字
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いろいろ
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【燐こは】神様のところへ連れてって!
初詣をする燐こは ほぼドライブデート
思いついたところを書きたい分だけ殴り書きました
りんねくんの安全運転に夢を見ています
以下あとがき
─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─
数ツイートだけのサビ書いて満足しようと思ったら思ったより幻覚が止まらなかった いつぞやの8️⃣番出口パロの時と一緒だ
視えたもの全部詰め込んだら思ったより長くなった 結構かいつまんだつもりだったのにな?
中編が公開されて運転席りんねのスチルが公式から出される前に投げときたくて急ピッチで書いた
絶対このタイトルにしようと決めたものとどんどん解離していっているのは分かりつつ、どうにもできなかったし、するつもりもあんまりなかった そのままゴールしました これでいいのだ
自動車免許を持つ者と持たない者とで生じる認識や視界の差、おとなとこどものそれと似た萌えを感じて、ドカドカ盛り込みたくなっちゃった こども視点と事情でりんねを振り回すこは、かわい~
運転席のりんねと"静"のりんねにモエモエになっていることが分かりやすすぎて笑う
婚前キス禁止の燐音と間接キスだけでも楽しもうとするお~かわ、健気でかわいすぎる……!!の気持ちも含まれている
燐こは、やたらとこはを子供っぽく書きたくなりがち 楽しい
揺れる車内。カーステレオが流すラジオ番組の音だけが、運転席と助手席に座る燐音とこはくの間に流れていた。
「揺らすなって。事故ったらどうすんだ」
アームレストに置かれた燐音の腕を掴んでふるふると揺らしていると全うに叱られた。眉間に皺を寄せたこはくはその手を先の方へと滑らせて燐音の指を弄んだ。燐音は叱りはしないものの溜め息をひとつ吐くだけで、フロントガラスの先の景色から目を逸らすことはなかった。
さっきからずっとこうだ。ターコイズブルーがこはくを捉えることはない。
正月三が日の終わり。Crazy:B四人での午前の仕事を終えて昼食を摂っていた時、窓の外を歩く振り袖姿の人たちを見つけたこはくが何気なく呟いた「初詣に行きたいなあ」という言葉をきっかけに初詣へ出掛けることになった。
働き蜂の彼らは正月休みもほどほどに、今日の夕方にも四人での仕事が入っていた。隙間の時間を埋めるのに初詣はちょうどいいと思われたが、HiMERUは個人で別の仕事が、ニキはバイト先に顔を出さなくてはいけないという。
「じゃあ、俺っち達だけで行くかァ」
燐音の一言に、こはくは鼓動が暴れそうになるのを抑えながらこくりと頷いた。
調べてみると、近くの神社は徒歩で行くには遠く、電車で行くには不便な場所にあった。燐音の案でレンタカーを借り、その助手席に乗る。不意に転がり込んできた二人きりの密室という僥倖に浮かれる気持ちごと体が飛んでいってしまわないようにこはくはしっかりとシートベルトを締めた。
なのに、こはくの期待とは裏腹に車内は浮わついた空気からは程遠かった。燐音の気を引こうと話しかけたり、体に触れたりするのだが、冴えたターコイズブルーは進行方向をしっかりと見つめるばかりだ。視線が動く時と言えば、かたわらに備え付けたナビ代わりの端末で道を確認する時くらいだ。
「
……
いけず」
こはくのぼやきはカーステレオから流れてくる陽気な音楽に搔き消された。
いつもの軽薄さを潜めた精悍な横顔を見続けているのも恨めしく、そっぽを向くように窓の景色に目を移す。
曇り空に包まれた灰色の町並みが後ろへと流れていく。どんよりと重く沈むような雲を見つめていると、空から落ちた粒が窓ガラスを叩き始めた。やけにゆっくりと滑り落ちていく水滴を目で追うと、中に溶けかけた氷の粒を内包していることに気づく。
「みぞれや
……
」
「お~。だなァ」
独り言のつもりだった何気ない呟きに短い返事が返ってきて、ぱっと燐音を振り返る。ターコイズブルーは相変わらずフロントガラスを見つめたままだったが、その瞳は眩しげに細められていた。
雲の奥にある青空より深い色の瞳がこちらに向けられていないことは少し期待はずれではあったが、視線は交わらなくとも同じ景色を共有していることがなんとはなしに嬉しく、こはくはシートに体を深く沈ませながら窓ガラスを濡らす粒を見つめた。
燐音の提案で途中、飲み物を調達するためにコンビニに寄った。あれきり燐音にちょっかいをかけることもなく黙り込んでしまったこはくの様子を気にかけてのことだった。運転中の構えオーラは横からひしひしと伝わっていたものの、求めに応じた結果事故を起こしては元も子もない。燐音ももどかしいところだったのだが、そんな運転手としての葛藤をこはくが知る由もないだろう。
エンジンを切った途端にさっさと車を降りて店内へと駆けていったこはくを追いながら、燐音は頭を掻いた。
「なんか奢ったろか」
中に入るとにやにやと口元を緩めるこはくに迎えられる。
「んな気ィ遣わなくていいから」
訝しく思いながらも、こはくの抱えていた抹茶オレを奪い取ってカフェオレと一緒にレジに持っていく。てっきりへそを曲げているものだと思っていたのに、こはくの機嫌はすこぶるよさそうだった。燐音は心の隅で安堵した。
会計を終えた抹茶オレをこはくの手に戻す。不満げに唇を尖らせたままのこはくの髪をわしゃわしゃとかき乱して運転席に戻る。
曇り空はいつしか晴れて、射し込む白い光が濡れたアスファルトを艶やかに輝かせていた。
真ん中にあるドリンクホルダーに抹茶オレとカフェオレが並ぶ。運転中に燐音が取り出す度に、飲んだ量以上にカップが軽くなっている。ストローで中身を吸いながら、横目でこはくを睨むが素知らぬ様子で抹茶オレをすすっている。
次に燐音がドリンクに手を伸ばすと持ち上げる前に違和感があった。指先でカップの蓋と輪郭をなぞる。さっきまでと感触が違う。
仕掛けられた罠を察知して、こはく側のドリンクに手をかけると「あっ」と短く声があがった。
「ンだよ。イタズラが失敗したみたいな声出してェ?」
喉の奥で笑いを噛み殺しながら中の液体をすする。予想通り、舌の上にカフェオレの甘苦さが広がる。ぐっ、とこはくから悔しさを噛み締めるような音が聞こえて、大人げもなく口角が上がる。
目的地が見え、ハザードランプを点けながら近くの路肩に車を停める。
「ドア、気ぃつけろよ」
送り出す声を受けてこはくは意気揚々と車降りた。こはくが参拝を済ませるまでの間、どこで時間を潰そうかと考えつつ大きな欠伸をしていると、運転席の窓がコンコンとノックされた。見るとガラスの向こうにこはくが立っている。
「何?」
窓を開けて首を捻るとこはくはむっと眉をひそめた。
「何しとん。燐音はんもはよ来ぃや」
催促されて、燐音は「あー
……
」と当惑の声を漏らした。燐音はこはくの誘うまま車を置いてここを離れるわけにはいかなかった。目の前の標識を指差す。こはくにはこの鮮やかな赤と青のコントラストも、それが意味することも何一つ視界に入っていないのだろう。無知で、真っ直ぐで、羨ましい。
「ここ、駐禁な。俺っちまで降りたら切符切られちまうのォ」
「ん? 燐音はんは一緒に来れんっちこと?」
「そーそー。分かったらさっさと行ってきな。終わったら迎えに来てやっから連絡寄越せな」
きょとんとするこはくに燐音は手を振った。こはくの表情がみるみる曇って視線が下を向く。
「え~
……
」
「えー、って。初詣行きたいっつったのはお前ェだろ」
「せやけど
……
」
こはくはドア一枚隔てた先で、まるで根でも生えたように一歩も動こうとしなかった。しょんぼりと肩と視線を落とすこはくの唇が「意味ないやん」と動いて、燐音はハッとする。
最初こそこはくは純粋に初詣に行きたかったのだろうが、燐音が連れ出したことで『燐音』と初詣に行くことに目的がすり変わっていたのだ。『どこ』に行くかではなく、『誰』と行くかに重心が傾いている。「一緒に行きたい」と口にしないのは、自分の重心の変化が上手く言語化できないからなのか、それとも単に素直になれないだけなのか。
どちらにしろ、幼いエゴを発露することもできず、しおらしくいじけるこはくを突っぱねて一人で送り出すのは心が多少なりと痛むし、手離すのは惜しいと思った。
「わかったわかった。停めれるとこ探すからもっかい乗れ」
「
……
!」
燐音の一言に一転、こはくの表情が華やぐ。さっきまでの不動っぷりはなんだったのか、目にも留まらぬ素早さでこはくは助手席に戻ってきた。いそいそとシートベルトを締め直してきらきらした瞳を向けるこはくの素直な言動に、燐音は笑いを堪えるのに必死だった。心配になるほど分かりやすくて、可愛い。
近辺はどこも満車でようやく見つけたコインパーキングは目的地から少し離れていた。
「距離歩くけど文句言うなよ」
「ん」
入庫手続きを終えて歩き出す燐音の後をこはくは軽い足取りで追った。ダウンジャケットのポケットに両手を突っ込み寒さに縮こまる燐音にぴっとりと寄り添って歩く。
「寒いー!」
「あったかそうな格好してるくせによく言うぜ」
「このマフラー、HiMERUはんと選んでん」
「あー、ぽいぽい。お上品そうなのがあいつの趣味っぽいよなァ」
こはくの首回りを優しく包むマフラーをちらりと一瞥して燐音は笑った。様々な場面で使いやすい紺色がベースではあるが、差し色に赤が使われているのがこはくの気に入りだった。燐音はそれに気づいていなさそうだが。
それに、同じユニットのメンバーとはいえ他の男と仲睦まじくショッピングに出ていることにも気にかけてほしいものだが、その様子が全くないのも少し、悔しい。
「
……
燐音はんもわしに何か選んでや」
「何かって何だよ。一緒に手袋も買ってたろ。そういや手袋は? 何でしてねェの?」
燐音の指摘するようにこはくの手は剥き出しで、刺すような冷気に曝された指先は悴んでじわりと赤くなっている。
「置いてきた」
「ンでだよ。風邪引くぞ」
「手袋しとったら手繋がれへんやん」
言って、こはくは燐音のポケットに手を突っ込んだ。そこには愛しい体温で温まった大きな手のひらがある。
「つめてェ~
……
俺っちまで風邪ひいちまうだろうが。つか、片方だけじゃ結局寒くね?」
「ほなこうしたらええやん」
ひらりと軽い身のこなしで燐音の後ろに移動したこはくは両手をダウンジャケットのポケットに入れた。後ろから抱きつかれ重心が変わった違和感に燐音はわずかに身を捩った。
「やーめろ。歩きにくい」
こはくを後ろにぶらさげる燐音は歩幅を小さくしてスピードを落とした。つま先がぶつからないようにこはくも燐音に合わせて足を踏み出す。
「なんかあるやんこういうの。二人羽織り? 二人三脚?」
「あー
……
むかで競争とか?」
「んー、多分それ?」
「ふっ、どれもピンと来ねェのかよ」
空気が弛緩して、きゃらきゃらと光の粒が弾けるような二人分の笑い声が重なる。
「んふふ。何でもええわ。はー、あったかぁ」
ダウンジャケットに頬を埋める。つるつるとした表面は凍てつく冬の空気を吸ってひんやりとしていたが、その奥にある体温を感じ取ってほうっと息を吐いた。ポケットの中の指と指が絡まって、とくとくと早まる鼓動が体の熱をあげていく。
しばらくそうしてじゃれ合うように歩いていたらあっという間に目的地に着いていた。
三が日最終日の昼下がりは初詣のピークを過ぎた後のようで、参拝者もまばらだった。
赤い鳥居をくぐって真っ直ぐ手水舎に向かう。両手を清めて口をすすぐ。一連の流れを燐音もこはくも改めて確認することもなく、粛々と済ませていった。澄んだ水の冷たさに気持ちが一層しゃっきりとする。
拝殿の手前には祭りの余韻のようにいくつか屋台が構えていた。こはくはそれに目移りしながらも、当初の目的を果たすため真っ直ぐに歩いていく。
お賽銭を入れて、二人並んで手を合わせる。何か叶えたいことを宣言するために来たはずなのに、いざ手を合わせると心が凪のように鎮まって、欲とかそういうものが消え去っていくような気がする。どれもこれも神様に聞かせるようなことでもないように思えて、自分の内と向き合った結果、神様への挨拶とアイドルとして生きていくことへの決意を宣誓するのみに留まった。
こはくが顔を上げても燐音はまだ手を合わせていた。背筋をしゃんと伸ばして真剣な面持ちで目を閉じる燐音は触れるのも憚られるような研ぎ澄ました空気を纏っていた。彼の生い立ちや故郷での立場を知っているからか、どことなく儀式めいたものが似合うな、とこはくは思った。
何を願っているのだろうと気にならないわけはなかった。
そうして見とれているとやがて燐音の目がゆっくりと開かれた。
「おいおい。俺っちのこと見つめすぎだろ。願いごとを盗み見ようってか? こはくちゃんのエッチ~」
こはくの視線に気づいた燐音はそう言って張り詰めた空気と祈りへの追及をはぐらかした。
その後、「初詣といえばこれだよなァ」と楽しげな燐音と共に引いたおみくじは小吉と末吉だった。
そこに記されたお告げを一通り確認した後、燐音はおみくじ掛けの一番高いところに結び目を作った。こはくは踵を浮かせながらその隣におみくじを結ぶが、不安定な姿勢で作った結び目は緩く、風が吹く度にゆらゆらと頼りなげに揺れていた。
「ここで大吉引かれへんとか、ギャンブラーの名折れちゃう?」
「うるせー。後に取っておいてンだよ。つか、おみくじってそういうもんじゃねェからァ」
燐音はぶつくさと負け惜しみめいたことを言いながら、ゆれる結び目の端っこを摘んできつく結び直した。
トイレに立った燐音が帰ってくると、こはくは片手に甘酒、片手にアイスクリームを握って境内の隅の階段に腰を下ろしていた。
「人が用足してる隙に満喫しまくりじゃねェか。晩飯入らなくなるぞ」
「これから仕事やしそのうち空くやろ。わしは燐音はんと違って成長期やしな」
「へーへー、そうですか。それにしたってアイスって。寒い寒い喚いてたのはどこのどいつだよ」
「冬のアイスって何か特別な感じがしてつい手が伸びてなあ。甘酒はあったかいで。燐音はんもいる?」
「俺っちはいいから、こはくちゃんが全部食っちまいな」
隣に腰かけて伸びをした燐音はこはくが食べ終わるのをじっと見つめて待っている。生あたたかさすら感じるその視線に耐えられず、こはくは残りを急いで腹の中に収めた。甘酒の芳しい熱が胃の底をあたたかく揺らして、薄白に色づいた吐息が唇からこぼれる。
「燐音はん、口開けて」
次の仕事現場へと向かう車内で出された注文に燐音は溜め息をついた。もうとうに飽きたと思っていたのに。一体口の中にどんなイタズラを仕掛けようというのか。
「燐音くん運転中なんですけどォ? いい加減ちょっかいかけるのやめてくれるぅ?」
「いいから」
おどけるも、有無を言わさぬこはくの物言いにせっつかれて仕方なく口を開ける。舌の上に丸いものが転がされる。
「あ~。熱っ
……
いけど、うまっ。なにこれ?」
反射的に口を閉じると、体温よりも少し高い熱の後に柔らかな甘さが口の中を満たした。香ばしい匂いが鼻から抜けて、頬が綻ぶ。
「ベビーカステラやって。さっきの出店で買うた」
「へェ、いいじゃん。もいっこチョーダイ♪」
「っくく、雛鳥みたいに口開けて。燐音はんの間抜け面♪」
「おい。
……
ったく、随分とご機嫌だなァ。さっきの甘酒でまさか酔っちまったんじゃねェだろうな?」
こっことやたらと楽しそうに肩を揺らしながらこはくはベビーカステラをつまみ食い、気まぐれに燐音の口にもそれを放り込んだ。
やがて、こはくの手元の袋が空になる頃、身も心も満たされたこはくは大きな欠伸をこぼした。
「おいおい散々人を引きずり回しといておねむかよ。とんだお姫様だな」
「あふ
……
、誰がお姫様や。やかましい」
「我慢すんなって。この後も仕事だし休める時に休んどけ」
「う~
……
」
頭を振って眠気を飛ばそうとするが効果は得られず、観念したようにこはくは背もたれを倒して楽な姿勢をとった。数分もしないうちに寝息が聞こえ、燐音はカーステレオの音量を落とした。
薄く開いた唇から規則的な寝息がこぼれる。両腕はだらりとシートに投げ出されている。
「ふっ、無防備なこった」
信号待ちの合間に寝顔を盗み見て柔らかに微笑む燐音の横顔を、夕陽があたたかく照らしていた。
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