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コット
2026-02-18 10:27:29
2012文字
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甘いジュース🍹とトラルの夜🌃と
アルカディアの闘士たちがトライヨラに来る話
温度差兄弟×うちのコ♀
なぜかめちゃくちゃ距離が近い なぜだろうね
アルカディア闘技場は、しばしの休暇期間に入った。以前、ゾラージャから命ぜられた興行休止とは意味が違う。魔物の魂を使わぬ興行に際して、ルールの制定やバックアップ体制の大幅な見直しが必要となったからだ。つまり、前向きな休止だ。
とはいえ、それぞれトレーニング以外にすることもなく、漫然と日々を過ごしていたところ、その話を聞いた名誉統一王者が、アルカディアの闘士たち全員を、トライヨラ旅行に招待したのだ。
完全に暇を持て余していたオレたちは、一も二もなく飛びついた。
――
だって、海だ。本物の海が、見られるのだ。
そうして、乗り物酔いをしながら数日かけて到着したトライヨラ。キャビンに荷物を置くのもそこそこに駆け出したオレたちは、サーフボードを抱えて海に飛び込む。
しょっぱい水に驚きながら、日が暮れるまでずっと泳いでいた。
「
……
ッあ〜! 初日に飛ばし過ぎたな」
「明日からも、時間はある」
とうとうライフセイバーに怒られたオレたちは、渋々海からあがり、濡れたままぺたぺたと街を歩く。夜の海が危険だなんて、初めて知った。
そもそも、夜、という状態にあまり慣れない。昼間はあんなに明るかった街のあちらこちらに、照明で照らしきれない薄闇が潜んでいる。
それはそれとして、食事も忘れて遊んでいたので、腹ペコだ。
ワチュメキメキ万貨街という、さまざまな店が連なる通りがあると聞いていた。何か食い物を売る店もあるのだろう。
店を覗きながらふらふらと散策する。
どの屋台からも美味しそうな匂いが漂ってきてひどく食欲をそそられるが、見慣れぬ食べ物に少々躊躇してしまう。弟も同じようで、どの屋台を見てもぐっと唇を噛むだけだ。
いよいよ空腹が限界を迎える寸前、その屋台の前で見知った顔を見つけた。
「よォ! 名誉統一王者サマじゃん」
「こんばんは、エクストリームズ。トラルの夜を楽しんでる?」
「海で泳いでたんだけどよぉ、危ないからって追い出されたわ」
「今は、食事を探している」
「そうなんだ。どこも美味しいよ」
微笑みながらそう言う彼女の手には、カラフルな色のジュースらしきものが握られている。
「
……
なんだ? それ」
「新作ジュース! 味見シテ、モラッテル」
ぐぅ、と腹が鳴りそうなのを気合いでおさえて聞くと、足元にいた小さな生き物が声をあげた。
「うぉ、びっくりした」
「お客さん、ソリューションナインの方ね? 慣れない食べ物ばかりで心配でしょう」
カウンターの中にいるのは、武王ゾラージャと同じマムージャ族の女性らしい。
「今ね、彼女に試飲してもらっているところなの。よろしければ、一杯いかが?」
「ん、あ〜」
穏やかに差し出されたそれを、本当はすぐにでも飲みたいのに、受け取るのを躊躇してしまう。見知らぬ食べ物に対する、本能的な警戒心だ。
弟も、統一王者サマの持っているジュースに興味はあるらしい。
「うまいか、それ」
「ソリューションナインのヒトでも飲めると思うよ。一口飲んでみます?」
「
……
飲む」
そう小さく呟いた弟の次の行動は、おそらく、その場にいた誰もが予想できなかっただろう。
ぐい、と彼女の顎を掴み、噛みつくようにキスをしたのだ。
「
……
ッ」
驚いて何か言おうとした彼女の唇に、弟は無遠慮に舌をつっこむ。
「
……
んっふ、あ!」
急なキスに酸素を奪われ、大きく喘ぐ彼女の口腔内を、弟の舌が蹂躙する。口の中を舐め尽くした弟は、ようやくゆっくりと唇を離した。
「兄者。
……
このジュースはうまい。買ってもいい」
「
……
いや、その前に言うことあんだろォ!?」
思わずツッコミを入れる。
そのまま、驚いてきょとんと大きな瞳を丸くしている統一王者サマの腰を引き寄せる。
「テクなしががっついて悪かったな」
自然に唇に指で触れ、ふ、と甘い吐息が漏れたのを確認してから唇を寄せる。ちゅ、ちゅと数回キスしてから、薄く開いた唇の間に舌を差し入れた。
ひっこんだままの舌をつつき、おずおずと応えるそれに絡ませる。口中舐め回したいのを我慢しながら、上顎の裏を丁寧に舐める。ときおり、強く舌を吸う。
「あ、ぁ
……
」
そうしているうちに、彼女の腰が震えはじめ、やがてかくんと力が抜けた。倒れぬようにぎゅっと腰を抱きしめて、唇を離す。
「キスってのは、こうやんだぜ
……
ッたく」
ドヤ顔で弟を振り返れば、ふん、と鼻で笑った。あとでゲンコツだ。
「
……
あの、ジュース」
「あー、買う買う。つ〜か腹ペコでよォ。どっか良い店知らねェ?」
「あるけど
……
」
「んじゃ、案内してくれよな」
呆気に取られる店員からジュースを強奪し、ふたりで彼女の手をとり、踵を返す。
甘いジュースが、胃の腑に染み渡る。
薄闇が祝福する、トラルの夜。
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