年末に、ケイジの狭い部屋にようやくこたつが出た。
正確に言えばいつも使っているローテーブルにこたつ布団が敷かれただけだが。
こたつの魔力はすごい。帰ってきて、ケイジもハルトも手洗いもそこそこにして、ここへ直行してしまう。
天板の上にはティッシュやらペットボトルやらハルトのボディオイルやら生活必需品が置かれ、こたつの周りには脱ぎ散らかしたケイジの靴下やら、ゴミ箱ではなく市の指定ゴミ袋が直に置かれ、いつも以上に怠惰な生活が始まった。
「あーーークソッ
…」
缶チューハイを片手に、ケイジは悔しそうに舌打ちした。そうでもしないと口から漏れるのは喘ぎ声になってしまうからだ。
「気持ちいいー?」
ハルトはスマホを眺めながらニヤニヤ笑った。
2人はこたつを挟んで座っていた。一見すればケイジはつまみを広げて晩酌をしており、ハルトはスマホに夢中なようだが、こたつの下ではハルトの足がケイジの脚の間に割り込み、器用にその股間を撫でさすっていた。
最初こそ手でハルトの足を追い払っていたケイジだったが、酔いも回ったせいか、どんどん手がおぼつかなくなり、しかもハルトのつま先が上手に気持ちいいところをなぞってくるので、ケイジはついにされるがままになっていた。
「足で触られるの好きだもんね」
「っ
…知らん」
「え〜絶対好きでしょ」
「お前が変なことばっかりするから」
人のチン◯、女装して擦りやがって、とケイジは何とか言い返した。
少し前にハルトはコスプレエッチすると宣言し、元カノからOLの制服を借り受け、黒ストッキングまで履いてプレイに臨んできた。
『ストッキングの足で、ぬるぬるチン◯しごくとめちゃくちゃ気持ちいいから』とハルトは力説し、ケイジはローションストッキングでしっかり何度も射精させられたのだった。
「足コキ好きな人ってM男が多いけど、けーじも実はいじめてほしいのかなあ?」
「ちゃうわ。
…俺は
…ストッキングのお姉さんが好きやねん
…ッ
…」
「でも今はオレ素足でシゴいてるよ?」
ケイジのスウェットの中に足を突っ込もうとハルトが色々試していると、ケイジは悪態をつきながら自らスウェットの前を引き下ろした。しっかり勃ち上がった性器が勢いよくハルトの足に当たり、しかも先端はぬるぬると濡れている。
「けーじさぁ
…」
「なに」
「そういうとこ好きだよ♡」
「うっさい」
「サービスしますねえー」
ハルトは両足の裏で勃起を挟み込むと器用に皮を動かしながら竿全体を扱き始めた。
「っ
…あー
…ッ」
ケイジは堪らず酎ハイの缶をこたつテーブルの上に置き、息を吐いた。こたつ布団をめくって中を覗いたら、ニチュニチュと音を立てて上下に擦られている自分のモノがあって、目まいがしそうに興奮してしまう。

その時、床でヴーヴーとせわしなくバイブ音が鳴り出した。
床に脱ぎっぱなしだったケイジのスーツの中でスマホが鳴っている。
「誰?」
「
…森や」
上半身だけ動かして、スマホをスーツから抜き取ったケイジは、着信画面を見てどうしようか迷った。
生活安全課の後輩からの着信。
無視しようかと思ったが、森とは今日一緒に仕事したため、内容が気になる。
男にチン◯を擦られながら電話するのか、とケイジは自分に呆れながら通話ボタンを押した。
ハルトには唇に指を当てて静かに、と合図を送る。
『あ、もしもし。けーじさん?』
「おう」
『ごめん、遅くに。今大丈夫?』
「
…ん、まあ、大丈夫」
そう言った途端、ハルトの足の親指と人差し指がちょうどよく亀頭を挟み込んで前後に動き始めた。
「っ
……なんかあったんか?」
終始ニヤついているハルトの顔を睨みながら、ケイジは深呼吸して会話を続けた。
『今日、ごめんね』
「ああ、まあ、別にええけど」
『ほんとに?めっちゃ凹んでなかった?』
「そりゃ、あんなじいちゃんが自殺未遂起こしたらな」
ケイジの言葉に、からかうようにケイジの勃起を弄っていた足がピタリと動きを止めた。
『前から110番と119番に電話かけまくってた人だからさ
…いつものノリで電話してきたのかとこっちも判断しちゃって』
今日、ケイジ達はアパートの前で人が血を流して倒れているという通報を受けて、現場に走っていた。
倒れていた男は自分で自分の身体を傷つけており、近所を聞き込んでみたら、一人暮らしで、頻繁に警察と消防に電話をかけることで有名な老人だった。寂しさなのか、認知症によるものか誰も深く調べず、生活安全課は「迷惑な年寄り」とだけレッテルを貼って見過ごしていた。
「お前さぁ、ちゃんと巡回行って、あのじいちゃんの様子見に行ってた?」
『
…ごめん、行けてなかった』
「市役所に繋いでた?」
『
…繋いでない』
「そういうとこ、ちゃんとしとけよ」
『ごめん
…なさい』
「俺に謝らんでええから、やることやりぃや」
『うん
…』
「あと、俺怒ってないからな。とりあえずじいちゃん生きてたし」
『うん』
「お前の上司に、ちゃんと言っとけ」
『うん』
「んじゃ、切るで」
『あ、うん!けーじさん、またご飯行こ』
「りょ」
ケイジが終了ボタンを押して顔を上げると、ハルトはこたつに頬杖をつきながら相変わらずの笑顔を向けてきた。
「なに?」
「
…だからチン◯踏まれたかったんだぁ」
「何の話やねん」
「けーじってそういうとこあるよね」
「は?」
「なんでもなーい」
ハルトは再びつつっと片足でケイジの性器を下から上へと撫で回した。
仕事でうまくいかないと、いつもよりアブノーマルなセックスを要求してくるケイジの癖に気づいたのはいつだったろうか。
真面目な電話で少し柔らかくなってしまったそれは、ひと撫でするとすぐに硬さを取り戻してきた。
「っ
…ぁ
…」
「このまま足でイく?」
「いや
…」
ハルトの足の動きに合わせるようにこたつに深く潜っていくケイジはテーブルの上に手を這わせ、エアコンのリモコンを探し当てた。
もどかしそうに電源を入れると、暖房の生温い温風がハルトの上に降り注ぐ。
「部屋あったまったら
…」
布団行こや、とケイジはベッドに視線をやった。
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