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ortensia
2026-02-18 00:54:46
1851文字
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未完
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虎宿
いわゆる転生双子パロ
宿儺と双子として生まれた。たぶん、これは呪いだ。
俺はその記憶になんの違和感も抱かなかったし、現在の事実にも違和感はなかった。ただ宿儺のことを宿儺だと知っていた。誰よりもだ。確信があった。何より生を共にして生まれ落ちたから。
だけど記憶の中の、他の仲間たちを探す気は、特にはなかった。いずれ出会えるとか、確信や楽観があったわけではない。ただ宿儺がそばにいたから。こんな存在が知らない何処かにいるんだったら、それなら絶対探したけれど。
「宿儺、眠いん?」
「
……
。」
「寝よっか。」
けれど宿儺は大人しかった。普通に澄ました顔で無視するし、無表情で、温和でも優しいでもなかったけれど、凶暴ではなかった。それは大人たちには静かな子供に見えたし、柔和な子供だと勝手なレッテルを簡単に貼られた。それを分かっている自分でも、ただ無視をするだけで命を摘み取ろうとはしない宿儺を、大人しいと言えるのは、記憶と比べれば、確かにそうだった。
一緒の部屋を割り当てられ、寝る前に漫画を読んでいる俺と違って、宿儺はうとうととし始めたようだ。自分の眠気を明言するでもないが、勝手に電気を消したりもしない。記憶と比べれば、どうしたことだろうと思う。そして、記憶では宿儺の理不尽と残虐性に、確かに不条理と怒りを覚えていたのに、今は、今の宿儺と一緒にいて、少しの寂しさを覚えている。
両親は早くに亡くし、爺ちゃんと暮らしている。爺ちゃんは宿儺のことをなんとも言わなかった。大人しいとも主張に欠けるとも、本当になんとも言わなかった。ただ俺と分け隔てなく接し、身の回りのことを教え、パチンコに連れて行った。煙草を吸う時だけ、俺たちを遠ざけた。物を教えてはくれるけれど、爺ちゃん自身が一人で過ごす人だった気がする。決して干渉する方ではなかったと思う。
中学に上がるまでも、宿儺はずっとそんな感じだった。自分が生きるために必要であれば人との受け答えに応じるし、絡まれても相手の手が届く前に躱すし、何かあれば俺が間に入るし、宿儺は俺のことは無視する。祖父は誰とでも打ち解ける人だったし、自分達もそれを受け継いだんだと思う。自分は祖父と同じ形で、宿儺は彼なりの形で。そしてそれまでは、なんとかそれでやれていた。保っていたということなのかもしれない。
宿儺とはずっと一緒にいた。そう出来るようにしていたから。ただ、俺と離れていたタイミングで、宿儺が集団で絡まれた。年齢が上がるにつれ、学校は時に特定の人物以外との関わりを強制する。そしてタチの悪い連中と、宿儺は喧嘩になったらしい。現場は凄惨なものだった。どちらも刃物なんか持ってたわけじゃないから、流血がどうのという話ではない。それに喧嘩くらいなら俺だってやり返すくらいはやっちゃうし。ただ、邪魔だったから退かしたといった現場だった。俺が向かって、そこに着くまでは。
「ケヒ。」
俺の顔を見た宿儺はだめだった。世界一面が、様変わりしたようだった。
喧嘩を売って来た連中に仕返しのために傷付けるとか、懲らしめるために痛め付けるとかではなく、俺の嫌がる顔見たさに、連中に追い討ちを掛けた。まるで呪うように。思わずその名を叫んだ気がする、呪うように。それを必死に止める俺を躱して、更に連中に危害を加える。宿儺に拳を振り上げる俺の前に、盾としてその中の一人を突き付けもした。それでもなんとか自分と同じ体格の少年を捕らえて、押さえ付けた。
世界は元の姿を取り戻したようだった。
本当は、強く抱きしめたんだ。宿儺が気色悪そうにしてたもんな。少し体を離し、その手を取ろうとする。しかし体ごと距離を取ろうとされる。
「食うわけじゃねえって。」
それで宿儺は、興が醒めたと言うように、また大人しくなった。表情もなくなり、代わりに手を引いて帰っても何も言わない。そして俺は、それをまた寂しいと思う。宿儺が暴力を振るっていると、確かに怒りが湧くと言うのに。
しかしそれからは宿儺への執着が強まったと思う。呪いと言っても良い。それまでも、仲が良いとか、兄弟の世話を良く焼くとか、ブラコンとか、俺だけが良く言われていた。そしてここからは、ずっとブラコン一択だ。
何故自分達は双子として生まれたのだろう。相手が宿儺じゃなければ、考えもしなかったはずのことだ。俺のせいだろうかと思った。俺がそう望んだからだろうかと思った。だったらまた、俺がしたいように生きるだけだ。たぶんこれは呪いだから。
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いつもリアクション絵文字等ありがとうございます。
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