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ゆたか
2026-02-17 17:21:48
918文字
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毒
ゆっくりと、でも確実に
「うん!美味しいです!」
柔らかなほっぺを膨らませながら栗色の髪の毛の愛しい人は笑顔を浮かべた。
「口に合ってよかった。里の者が作った菓子なんだ。評判がよければ茶屋でもやろうかと思っているみたいだから伝えておくよ」
「そうなんですね!これは人気商品になりますよ!僕通います!」
「はは。ありがとう。でもちょっと難しいかな。それは里でしか取れない食材を使っているからね」
「ああ
…
なるほど
…
」
残念そうに手元の菓子に視線を落とす。その地域でしか取れない素材の貴重さを知っている彼は私の言葉の意味を瞬時に理解したようだ。
「ん
…
。でもこうして雑渡さんが持ってきてくれるなら食べられる訳ですよね!僕、運がいいですね!」
そんなところで運の良さを感じてもらっても困るんだけどな。とため息をつくがその食材がなんなのか知りたいと思いながら食べているのかこちらの存在も忘れ真剣な顔で咀嚼する姿を眺めていると愛おしさが込み上げてきて思わず口元が緩む。
「
…
これ
…
かな
…
。いや、あれにも似てるけどやっぱりちょっと違うな
…
」
「そんな食べ方して美味しいの?ああ、そういえばその菓子を食べると胃腸の調子がいいって話もきいたことあるよ」
「本当ですか!?なら
…
やっぱりあれ
…
。いや、タソガレドキの国境でも生息してるの見たことないけどなあ
…
」
ブツブツとこぼしながら口の中のものを確かめる様子から、タソガレドキに興味は持ってもらえたようで、先ほどとは違う気持ちが高まってくる。
「学園周りとはまた生えてる木も違うしね。領地の北まで行くとまた景色も変わってくるよ」
「
…
そうなんですね」
私の言葉に見えない情景を思い浮かべているのか瞳が揺れている。
興味ある?
聞いてしまったらきっと彼の心は引いてしまう
見てみたい?
手を引くことは容易いがそれではつまらない
「また色々持ってくるよ」
大きくうなづく彼
あくまで自ら 選んで 自分の足で 来てもらわなくては
「ありがとうございます!たくさん食べたいです!」
口にしたら戻れない 古の物語のように
「楽しみにしてて」
少しずつ でも確実に
こちら側へ
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