ゆたか
2026-02-17 17:15:58
1203文字
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雄っぱい

ふわふわ筋肉の枕でおやすみ

「やあ曲者だ伊作くん?」
いつもの通り天井から顔を出すと目の下が真っ黒なほど隈を作った伊作が虚ろな目で救急箱に包帯を詰めていた。
「あ、雑渡さん。お薬ですか?」
「忙しかったかな?出直そうか?」
ふらふらと立ち上がる伊作の様子に帰ろうかとすると「大丈夫ですからどうぞ」と促され部屋に降り立つ。聞くと連日の夜間実習だったので寝ていないと言う。やっと終わったので使った分の包帯を救急箱に詰めてから部屋で仮眠を取るという。
「ちょうど医務室にいる時でよかったです。はい、こちらがお薬で
くるりと振り返った拍子に足がもつれたのか転びそうになるところを受け止める。
「早く寝た方がいいね。大丈夫?」
ふわふわ
抱き止めた伊作は動かない。というか胸元に顔を擦り付けて消え入りそうな呟きをこぼし、とろりとした顔をしている。
「伊作くん?」
思わず声をかけるとハッとした顔をして雑渡から距離を取ろうとするがその勢いでまたよろめいてしまう。
「すみません。僕ちょっと寝ぼけてて。えっとそうお薬!包帯は変えますか?それとも
少し焦点の定まらない伊作を再度引き寄せて、足を払って抱き上げる。
「雑渡さん!?」
そのまま部屋のすみにある畳の上に行き腰を下ろす。伊作を抱き抱えたまま横たわり自分の胸元に伊作の顔がくるように体勢を整えたあと、ふうと息を吐いた。
「??????」
突然の状況に理解できず顔をあげようとすると大きな手がそれを制し、再度胸元に顔を押し付けられる。
「雑渡さん?」
「さ、おやすみ」
ぽんぽんと子供を寝かしつけるように肩を叩かれる。しかし伊作はまるで雑渡に抱きつきながら寝ている状況に恥ずかしくなり身体を起こそうとするがそれより先に雑渡がそれを止める。それよりも身体は予想以上に疲れていたようで横になったことと人肌の暖かい感覚。頬を埋めている雑渡の胸元の心地よさに瞼がどんどん重くなる。
……
雑渡の呼吸と規則正しい心音が聞こえてきて自分でもわかるくらい意識がだんだん落ちてくる。
「雑渡さんの胸気持ちいいです」
「そう?ならよかった。おやすみ。時間になったら起こしてあげるよ」
その答えはなく、伊作はすうすうと寝息を立て始めた。完全に脱力して雑渡に身体を預けて寝ている彼の背中をとんとんと叩きながらそのあどけなさの残る寝顔を目を細めて眺める。愛おしさがこみあげ栗毛の髪を一房掬い上げてそこに布越しに唇をつける。そして少しでも温かいようにと腕で彼の身体を包み込んでまたふうと一息ついたのだった。

その後、医務室に来た伏木蔵がそれを発見し、雑渡のしー。という仕草にスリルを感じながら黙り、雑渡の指示の元、伊作の身体に布団をかけ、伊作が起きるまで医務室入室禁止と看板を出しておくこと、起きる時間に二人にお茶を持ってくることを確認し、親指を立てながら医務室の扉を閉めるのであった。


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