三毛田
2026-02-16 21:43:15
1079文字
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70 24. 水溜まりにかかる虹

70日目
それはとても綺麗で

「くぅ〜……晴れた!」
 玄関から外に飛び出し、大きく伸びをする。
 朝からお昼までは雨だったのに、今はちょっとだけ雲があるけれど晴天だ。
「傘は濡れているが」
「仕方ないだろ。傘立てに入れておいたんだから」
 人が来ないところまで二人で移動してから、傘を広げてくるくる回す。
 びしょ濡れの時ほどではないものの、やはり雫が飛ぶ。
「じゃあ、帰ろう。買い物あったっけ?」
「俺たちの当番じゃないな。だが、おやつが欲しいなら寄ればいい」
 丹恒はスマホでスケジュールに書き込んである、今日の買い物当番を確認して。ついでにそう促して。
「丹恒は?」
「週末まで待てる」
「なら、俺もその時で」
「買い食いはいいのか。今日新発売の商品について、クラスの奴と話していたじゃないか」
「どうせ行ったところで売り切れだもんね。それに、朝のほうが手に入りやすいし」
 と断りを入れ、二人で通学路を歩く。
「見て見て丹恒! 水たまりに虹が映ってる!」
「本当だな。こんなに綺麗に映ることは、珍しい」
 二人で水溜りにカメラを向け、何枚か撮る。
 そして空を見上げれば、綺麗な蒼の中に七色の線。
「いいことありそう」
「そうだな」
 撮った写真を、なのと星へ送ってみる。
「丹恒、いいか?」
「ああ」
 傘を持っていない手を出しだすと、そっと握り返してくれて。
 濡れて水溜りのある道を、二人で歩く。
 こうして彼と二人で歩けるのも、後なんかいだろうか。
「丹恒」
「なんだ?」
「好き」
……俺もだ」
「ありがとう」
「こちらこそ、ありがとう」
 俺が笑顔でありがとうと告げると、ボソボソと俺だけが聞き取れる声で。
 ああ。そういうところも愛しくて仕方ない。
「ふふふ」
「何がおかしい」
「おかしいわけじゃないんだ。丹恒のことが、愛しくて愛しくて仕方ないなって」
「俺も、お前のことが愛しい」
「うぐぅ」
 丹恒の急なデレに、心臓を押さえてしゃがむ。
 と、彼もつられて俺の隣に。
「何がよかったんだ」
「わかんないけど、丹恒が好きって気持ちが溢れて止まらなくなりそう」
「そうか。それは大変だ」
 静かに頷き、俺の手を引いて。その勢いで、立ち上がる。
 自分でもびっくりするほど、彼が好きだ。
 いつからこんなに好きなのかわかっていない。それでも、この好きって気持ちに嘘はない。
「はあ……
「今日の夕飯が気になるのか?」
「違う。そうじゃない」
「そうか」
 俺が否定すると、ちょっとポヤポヤした声色で返してくれて。
 本当、そういうところも好きなんだよな。