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syanpon
2026-02-16 02:04:12
1739文字
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「あれ!? 全部食べちゃったんですか!?」
オトスバ
学パロ
「オットーハッピーバレンタイン! ちなみにチョコは家に置いてきたからまた明日!」
登校してくるなり鼻の先を冬の外気で赤く染め、スバルはオットーの口にチョコレートとは似ても似つかない物体を捩じ込む。白くてふかふか、保温してきたのだろうかほんの少し暖かいそれを一口噛みちぎり、朝から元気な友人に対して怪訝な顔を向けた。
「ふもももっ」
「ちなみにそれは肉まん」
「
……
何故?」
「今日がバレンタインだと気がつかずにプリチーな妹と作ったからだぜ!」
「肉まんって家で作れるんですか」
「蒸し器があれば意外と簡単」
「へえ
……
」
思えばおかしいことは色々あったのだ。
昨日まで散々「明日はバレンタインだから」と言い続けてきたスバルが今日のイベントを忘れていたこと。
普段は逃げ回っているユリウスに朝からLINEを送っていたこと。
始業時間ギリギリに走ってきたこと。
慌てた様子で荷物を抱えて昼休みに生徒会室に逃げ込むように走り去ったことも。
全て思い返してみればおかしいことばかりで、それに気がつくことが遅れてしまったのは自分もこの甘い空気感にどこか毒されてしまっていたのかもしれない。
「ほらユリウス早く次! 次いけ! はやく!」
「スバル、スバル。私はハムスターではないから」
「最優たるもの頬袋くらいもってろよ」
「
――
なんだか楽しそうなことをされていますね」
「あ」
ユリウスに大量のクッキーを頬張らせているスバルと大量のクッキーをとんでもない速度で消費するユリウス、生徒会室の扉に背を預けてニコニコと笑うオットー。
これは誰にとっての修羅場になるのだろうか。なおユリウスは蜂蜜色の瞳をぱちぱちと瞬かせ次のクッキーに手を伸ばしていた。
「いやオットー、これは違くて」
「はい」
「あのですね」
「はい」
「おんなじ返事でずっと返すのやめて!?」
「はい」
甘い雰囲気なんてものはない今この空間で動いているのはユリウスだけであった。美しい菫色の髪を柔らかく揺らして琥珀色の瞳は困った様にスバルを見つめた。
「スバル、君はオットー殿に話していないのかい?」
「黙秘」
「ナツキさん、ユリウスさんに話せて僕には話せないことがあるんですね。それって今日チョコレートを作れなかったのとユリウスさんの目の前にあるチョコクッキーに関係してたりします?」
「さっきまではいしか喋ってくれなかったのによく喋るな!?」
「スバル
……
」
困惑と戸惑いを滲ませたユリウスの瞳に呆れが混じる。オットーの額に青筋が浮かび部屋の温度は幾許か下がった。
「
……
た」
「た?」
「間違えたの! 粉を! ごめんなさいオットー!」
「
……
は?」
「ベア子と肉まんを作ったのは本当。お前甘いもの苦手だから口直しにもいいかなって思って。で、肉まんには強力粉を使うじゃん? そのままクッキーを作って
……
薄力粉、と
……
じゃ、なくて
……
」
「つまりここにあるのは強力粉で作られたクッキーというわけなんだよねスバル」
「ぎゃー! いうなよ! その通りだけど! 焼く前に気がついて作り直すにもチョコも全部使っちまってたんだよ! 朝市販でもないかコンビニ探したけどいいのないし
……
。失敗作はユリウスに証拠隠滅してもらおうと思って」
「普通に美味しいよ。安心するといいスバル」
「ありがとうございますね!?
……
だから、明日ちゃんとしたの作り直す、から」
「
……
ふむ」
おもむろにオットーはユリウスの目の前に積み上げられたクッキーの山から1つつまみあげる。粉が違うことに気がついたのは焼く直前だろうか。オットーのために作られたはずのチョコクッキーの上部にはグラニュー糖がまぶしてある。
「
……
」
「あー! たべた!」
「食べた!」
指を刺して真っ赤な顔で叫ぶスバルと口元に手を当てて驚くユリウス。今思えばちょっとそこの距離近すぎやしないだろうか。くだらないことで悩んで暴走する恋人に似たせいかオットーもどうでもいいことが気になってしまう。ふん、と指先についた砂糖とペロリと舐めて鼻を鳴らした。
「僕のために作られたものなんでしょう?
……
甘いな」
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