犯罪をしている人が日常に隠れているとして、「自分は犯罪行為をしたあるいはしたことがある」と本人から教えられたのは初めてだった。
だからちょっと動揺したし、その後に警察の人に出会ったときはわけもなくそわそわした。
犯罪をした人と警察って、一緒の場所にいていいのかな。
そうか、そういうことも起こり得るんだよな、この場所って。
見た目でちょっと怖い人はいたけれど、話をしたら優しかったし、みんな無害そうだった。それでなんとなく、悪い人じゃないんだろうと判断していたけれど、現実では悪いことをしていたこともあるのかも。
相手の罪を知ってしまったら、市民の義務として通報するべき?
いやでも、死人て市民じゃないし。
あと亜村さん、別に悪い人って感じがしなかった。よく考えたら、自分で詐欺師ですって言ってただけで、本当に犯罪者なのか証拠があるわけでもない。自己申告が、事実とは限らないよね。
わかりにくい冗談だったのかも。
ここは堕落の街であって、日本ではない。街には絶対のルールがあるのかもしれないけれど、巡礼者はその外側にいる存在だ。
警察官だってここには仕事をしにきているわけじゃなくて、たまたま巡礼者に選ばれただけだったのだから、わざわざ伝えることでもないか。
そう結論を出した。
ということで、座りが悪かったのは一瞬で、心穏やかに話すことができた。
蛇口さん。
動物の名前が苗字に入っている人が、なんとなく好きだ。鷺山 大貴とかも、動物の名前が入っているから、なんとなくみんなお揃いだと思う。
蛇口さんも子供の頃、動物園に連れて行ってもらったときに、蛇の名前が入ったぬいぐるみをなんとなく気に入ったりしたのかな。鷺だとそれ単体のぬいぐるみとかはないかもしれない。
もちろん、そういうわかりやすい要素があると、いじられて嫌な思いをするとかもあるかもしれない。でも鹿肉のジビエとか見ると共食いじゃんとか言いながら喜んで食べるし、お土産で鹿肉カレーとかレトルトのやつもらったら面白い。
友達とそういうちょっとしたやり取りしやすいから、いい苗字だなって思ってるよ。
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