かのまる
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伊剣ワンドロワンライ「占い」

多分同級生時空
例によりできてませんが…ラストにキスシーンあり
セイバーは性別不詳です

「イオリ、イオリ!見てくれ、この本を」
 セイバーがカバンから取り出した一冊の本を伊織に見せる。
 こたつの向かいに座った伊織が軽く首を傾げた。
「『動物さん占い』?」
「うむ、クラスでよく当たると評判でな、女子から借りてきた」
「そうか」
 あまり興味なさげに流す伊織の隣にセイバーが移動してきて狭いこたつに二人がぎゅうぎゅうになる。
 肩どころか髪の毛が触れるほどの距離で、セーター越しでもセイバーの体温が伊織にも伝わった。

「イオリの動物を見てみよう……ふむふむ。ほうほう、伊織はブタだ。ブタ!」
「豚……か」
 占いでブタというワードを聞くことはなかったが、生まれ年や星座で診断した結果ならば間違いなくブタなのだろう。
「セイバーは?」
「私は白鳥だな。なんとも美しく優雅で私にぴったりではないか!」
 確かにセイバーは美しい……のだが、普段の慌ただしい振る舞いは優雅に泳ぐ白鳥とは、正直似ているとは言いがたかった。
「そうだ。せっかくだから私たちの相性でも占ってみよう」
 様々な動物がいる上にその掛け合わせは膨大で、セイバーは一生懸命ブタと白鳥の組み合わせを探している。
「見つけた。む……むむ、最強の相性!運命の友人……友人か」
 少しだけ元気を無くしたセイバーだが、気を取り直したようにパタンと本を閉じた。
「占いといっても色んな種類があるからな。今度は手相を占ってみよう!では左手を出せ」
「あ、ああ。セイバーは占いに詳しいんだな。正直意外な感じだ」
「私は勘がいいからな、手相占いは初めてだがきっと当たるに違いない!!」
 大きく肉厚な手の平をセイバーのほっそりとした両手が包みこむ。セイバーと一緒にいても肌や身体に触れることなどは滅多にないので、妙にこそばゆい感じがした。
 セイバーはじいっと伊織の手の平を見つめ、刻まれた手の皺をなぞっていく。伊織は今度はやけにゾワゾワとして落ち着かない気持ちになったが、不思議と嫌な気持ちにはならなかった。
「生命線は……まあ悪くない。金運は……あ〜、やはりあまりよくなさそうだ。伊織はスカンピンだからな」
 セイバーの言葉はなんだか曖昧なものが多く、胡散臭い素人占い師のようだ。
「恋愛運はどうかなぁ? 一応見てみようか……こ、これは身近に運命の相手がいたりするかもしれぬ!!」
 きらきらと輝く純真無垢な瞳に、伊織は気恥ずかしくてつい目を逸らしてしまった。
「つまりもう出会ってる相手ということなのか」
「多分そうだと、思う」
 手を取り合ったまま、お互い微妙な沈黙が流れた。
 その空気を壊すようにセイバーはグキッと音がするくらいの勢いで、伊織の顔面を自分の真正面に向かせる。
「おまえ、何を――
「ほくろ占い、と言うものもあるのだぞ。絶対に動くなよ……
 セイバーが吐息がかかりそうなほどの距離で、伊織の顔をまじまじと眺めている。
 こんなにまつ毛が長かっただろうか。唇はこんなに柔らかそうだっただろうか。伊織はしばらくぶりにセイバーのちゃんと顔を見た気がする。
 伊織のほくろ探しに集中しているセイバーの体重が徐々に伊織にかかり、伊織は腕を曲げてなんとかセイバーの顔と距離を取ろうとする。
「イオリの顔、ほくろ……全然ないな。これでは占いようがないじゃないか」
 セイバーは残念そうに口をへの字に曲げた。
 その子供っぽい仕草に、無意識に伊織の指がセイバーの白い首筋の左側の小さな点に触れた。
「セイバーはこんなところにほくろがあるんだな……今までに気が付かなかった」
 セイバーの顔が、耳が、首筋までもがみるみる赤くなっていく。「あ、ぁ――」と掠れた声が喉から漏れた。
「きみ、でりかしーがないぞ!! 触るなら、せめて一言くらい声をかけるとかないのか……
――声をかけたら許してくれたのか?」
 セイバーは伊織の真剣な眼差しに、瞳を固く閉じた。
「うう、その聞き方はズルい。卑怯だ」
「セイバーは首のほくろの意味は知っているのか?」
 セイバーは目を閉じたまま、消え入りそうな小さな声で呟く。
「一途な情熱。雰囲気に弱い、あと独占欲とか……
 伊織は自身の紺色の瞳にセイバーの顔が映るほど至近距離で覗き込むと、軽く微笑んだ
「なんだ、よく当たっているじゃないか」
 セイバーの桜色の唇に、伊織の薄い唇が触れ、そして――