ne🌟
2026-02-15 21:41:22
1623文字
Public 高諸
 

手を繋いで帰ろう

あなたは4RTされたら「ほら。手、繋ぎてぇんだろ?」の台詞を使って高諸を描(書)きましょう。


RPありがとうございました!
セリフちょっとだけ直してます、

『一緒にいてやるから、手を離すなよ』

幼く舌足らずな声の主は、いつだって五つ年齢が離れた自分の手を引き、導いてくれた。
転んで怪我をして泣いている時も、一人で山に入って迷子になった時も。いつだって自分を見つけて手を繋いでくれたのは5つ年上の彼だった。

ぶっきらぼうで、喧嘩をすれば手加減してくれない彼だけど、泣いてる時は泣き止むまで手を繋いで隣にいてくれる優しい人。

自分の手を包み込む一回り大きな手と、少し高い体温。

あれから時間が経って二人とと大人になって、もう子供の時ほど泣かなくなり、彼が手を繋いでくれることも無くなったけど、それは褪せることなく、尊奈門の中に残り続けていた。



懐かしい、夢を見た。
普段、日の出と共に目を覚ます尊奈門は、彼にしてはゆっくりめに起床をした。
寝が覚めても、直前まで見ていた夢は忘れることなく、尊奈門の脳裏にこびりついていた。

それはなんてことない、幼少の頃の記憶。

父に怒られ泣いていた自分の隣で、泣き止むまで付き合ってくれた、幼馴染のこと。
慰めることなど一切なかった。だけど手を繋いで、落ち着くまで体温を分け与えてくれた。
たったそれだけのことなのに、尊奈門の心は幸福で満ちていた。

──いい加減起きなきゃ朝の勤めに遅れる。
尊奈門は頭を振り、脳裏に残った残像を振り解くと、身支度に取り掛かった。








「全く酷い目にあった」
「でもおかげでお土産たくさんもらえましたよ!」

タソガレドキまで続く道を、尊奈門は高坂と並んで歩いていた。
雑渡の遣いは至極簡単なもののはずだったのだが、二人はげっそりと疲れた表情をして、重たい荷物を抱えていた。

と、いうのも品物を売って欲しかったら店を手伝えと、半日店番を任されてしまったのだ。
おかげで(バイト代にしては少な過ぎる)おまけをたんまりもらったわけだが、高坂は不機嫌そうに眉間に皺を寄せたままだった。

いまだにぶつぶつと文句をこぼす高坂に苦笑いをしつつも、尊奈門は静かに胸を撫で下ろしていた。

高坂は大きな包みを背負い、尊奈門は両手に一つずつ荷物を持っている。
今朝の夢のせいでなんとなく手に寂しさを覚えていたのだが、両手が塞がっていては手は繋げない。
手が空いてたところで繋ぐ理由が見つけられなかった尊奈門は、ちょうど良く舞い降りた、"手をつなげない理由"にありがたく縋った。

──そう言い訳をつけなければ、思い出した幼心を鎮めることができないから。

「おい。お前の荷物、一つよこせ」
「へ?」

突然言われた脈絡のない言葉に、尊奈門は驚いて足を止めた。

慌てて両手に持った荷物を見比べるが、高坂が持つものほどではないにしろ、自分が持つ包みもそれなりに大きい。
いくら高坂が尊奈門より身体が大きく力持ちであっても、もっと大きな包みと合わせて二つ持つのは難しく思えた。

「いやいや、これくらいの荷物、ちゃんと持てますよ!……うわぁ!?」

慌てて断ろうとしたが、右手に持ってた荷物をひったくられてしまった。
驚きで目を白黒させているうちに、彼はひったくった荷物を右手にしっかり持ち直している。

一体なんなんだ。
荷物は確かに大きかったが、すごく重いものではない。尊奈門がうっかり壊してしまうような割れ物も入っていない。
それなのにひったくるように奪い取るなんて。

「ん、」

高坂が手を伸ばしてくる。
まさか左手に持ってる荷物もよこせとでもいうのだろうか。

これを渡せばいよいよ尊奈門は手ぶらになる。
そんな姿で帰ったら雑渡たちになんて言われるかわからない。
だからなんとしても今持っている荷物は死守しなければと、困惑したまま尊奈門は荷物を高坂から隠そうとした。

その際に少し後退りした尊奈門を見て、高坂ははムッと不機嫌そうに口を尖らせた。

「ほら。手、繋ぎたかったんだろ?」