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usagipai
2026-02-15 09:41:31
1989文字
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お友達
「ひっ
……
く
……
ぅ
……
っ
……
」
嗚咽が止まらない。
「二度とそのツラを俺たちの前に出すな!! このクソ野郎!」
怒号と共に浴びせられる視線。
言い返したかった。
自分はそんなことをしていない、と。
でも
――
口を開けば、また殴られる。
また、何かが壊れる。
胸の奥で、ひびが入るような音がした。
けれど皆も辛いのだ。
ヴァーリーが消えたあの日から、世界はどこか狂ってしまった。
歪みは広がり、誰もが余裕を失っている。
この暴力は、神を守れなかった自分への罰なのだろうか。
現に、何も出来なかった。
役にも立たなかった。
ゼウスを救えなかった。
罪の意識が、足枷のように重い。
気づけば森のふもとまで歩いてきていた。
そこはスフィーだけが入ることを許された静寂の森。
――
だが、その日は違った。
倒れている生き物がいた。
虫の息だろう。
白い毛並みは血に濡れ、呼吸は浅く、苦しそうに震えている。
それでも、その瞳はこちらを見つめていた。
「痛かったね
……
大丈夫
……
もう痛いことなんてないよ
……
です
……
」
スフィーはそっと膝をつく。
息を返らせることも、傷を癒すことも出来る。
けれど、むやみに命へ干渉することは許されない。
だからせめて。
この子が、迷わず天へ行けるように。
「貴方が寂しくないように
……
ずっといてあげる
……
ます
……
」
スフィーはその生き物の手を握り、優しく語りかけた。
ゼウスたちと過ごした日々の話。
あたたかい朝の匂い。
笑い声。
何気ないけれど、かけがえのない日常
目を閉じればすぐに思い出す大切な思い出だった、話してる最中に一つの雫が落ちた
「それでね
……
っ
……
あれ
……
どうして
……
まだ涙が
……
」
とうに枯れたと思っていた。
泣く資格などないと思っていた。
それでも、頬を伝う。
生き物は弱々しい両手でスフィーの手を包み、
心配そうにその顔を見上げた。
「心配させちゃったかな
……
でもね、本当に大切な思い出だったの
……
」
少し笑う。
「でも、貴方ももし生まれ変わったら
……
スフィーの
……
お友達になってほしいの
……
です」
その言葉に、生き物はわずかに頷いた
嬉しそうに。
そして
――
最後まで手を離さぬまま、
温もりの中で、静かに息を引き取った
スフィーは祈りを捧げ、光の粒となって昇る魂を見送った。
そのまま神殿へ戻ると、
衣も脱がぬまま、深い眠りに落ちていた
⸻
数日後の夜
夢の中で、会いたい人がいた。
ゼウス。
もういないはずの存在。
だからこれは夢だと、分かっている。
それでも。
「ゼウスっ
……
ゼウス!!」
抱きついた瞬間、
お日様の匂いがした。
あたたかくて、懐かしくて、
大好きだった温もり。
「スフィリア
……
ごめんね
……
君たちを置いて行ってしまって
……
」
「そんなのいい
……
いいから帰ってきてよ
……
」
「ごめん。まだ、この領域には長くいられないんだ」
「っ
……
もう
……
もうつらい
……
スフィーいい子にするから
……
っ」
ゼウスは困ったように微笑んだ。
「泣かないでくれ、スフィリア。何も出来ない俺だが
……
一つ、君に託したいことがある」
「託したい
……
こと?」
「ああ。君の友達になりたいと申し上げてきた
……
とても面白い生物からだよ」
その言葉に、スフィーは首を傾げる
けれど意識はゆっくりと遠のいていく
――
目覚め
頬に一粒の涙。
悲しくて、でもどこか幸せな朝だったが
ふと、布団の中でもぞもぞと動く気配がある。
視線を落とすと
――
淡い桃色の、ふわふわの毛並み。
大きなブルーの瞳。
うさぎ型の神獣が、そこにいた。
「きゃっ!?」
するとその小さな存在は、くすくすと笑いながら言った。
「まぁまぁ〜なんてご挨拶だ」
「あ、あなた
……
」
淡い桃色の毛並みが、ぴょこんと揺れる。
「言ったろ、君の友達になりに来たんだよ」
その声は、どこか懐かしい響きをしていた。
スフィーは、胸の奥がじんわりと温かくなるのを感じる。
夢の中で聞いた言葉を思い出す
託したいことがある、と言ったゼウスの声。
震える指で、その小さな神獣を抱き上げる。
ふわりと、あたたかい。
「
……
貴方は
…
あったかいね
…
」
うさぎは不思議そうに首を傾げてから、にこっと笑った。
窓から差し込む朝日が、二人を優しく包む
「これからよろしくなスフィー」
おまけ
「おい、いいから生き返らせろ天国なんだろ?
…
俺はやらなきゃいけない事がある、約束をした子がいるんだ」
「やだもぅ野蛮だなぁ君
…
」
「ふん
…
生き返ったらゼウス、お前も住まわせてやるんだ、ありがたく思えっーーー!だから早くしろー!!!」
「うわわ!!?わかったから
…
まったく」
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