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ne🌟
2026-02-14 23:53:46
1755文字
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高諸
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11)差出人不明の差し入れ
# いいねされた数だけ書く予定のない小説の一部を書く
高諸
雑渡さんの看病を頑張る尊奈門ちゃんに高坂さんが隠れて差し入れをする話
「おはようございますっ!」
「はい、おはよう。ご飯、机に置いてあるからね」
「ありがとうございます!」
普段通りの朝。
雑渡の身体に薬を塗って包帯を巻き直し、朝餉の介護まで終わらせた子どもは、遅めの朝食を受け取るため厨に来ていた。
子ども用の食事は盆の上に取り分けられてある。
その場で食べてもいいのだが、人が忙しなく働く厨は落ち着かないため、子どもはいつも自分の部屋まで持って帰り一人で食事を済ませていた。
その日もいつもと同じように食事ごと盆を持って帰ろうとしたのだが、珍しいものが朝餉と一緒に並んでいて、思わず子どもは目を瞬かせた。
「あ、あの、これって
……
?」
「ああ、ごめんね。君に差し入れって持ってきてくれた人がいたのよ」
差し入れ──
朝食と一緒に置かれていたのは団子。
なんの変哲もないものではあるが、ここの庵に来てからそんなものを見る機会も、食べることもなかった。
一体誰が、
……
どうして自分に?
そんな疑問が頭に湧いたが、うまく言葉にできなかった。
聞きたいことはたくさんあったのに、どう聞けばいいかを考えていると、女は洗い物を籠に入れて、外の井戸まで出てしまった。
厨に一人残された子どもは、もう一度盆に乗った団子を見た。
これら自分への差し入れで、こうして盆に乗せられていると言うことは、食べることが許されたと言うこと。
なら、残すのは勿体無い。
子どもは止まっていた足を動かし、自分へと割り当てられた部屋に向かった。
「変わった人がいるんだなぁ」
団子を眺めやがら出てきた言葉は、純粋な感想だった。
この庵で雑渡の看病をするようになって一年と少しの年月が経つ。
今でこそ医者もその弟子も、 雑渡自身もやっと子どもを気遣う余裕ができてきた。
とは言っても、それまでの環境が悪すぎただけで、里に居たときのような年相応の暮らしをしているとは到底言えない。
里に居た頃は好物だと自負していたそれは、ここに来てからは一度も食べてなかった。
それどころかこうして一人分の食事をゆっくり座って食べることすら、雑渡の容態が安定したつい最近まで許されていなかった。
団子を一つ齧った。
久々に食べる、大好きな甘味。噛むほどに、口一杯に甘さが広がった。
「
……
おいしい
……
」
噛むほどに思い出すのは、父や幼馴染と食べた味。
日の光が当たる温かな縁側で、父が忍務帰りに買ってきてくれた甘味を食べるのが子どもにとって大好きな時間だった。
──そんな日々が続くのだと思っていた。
大きくなったら父のような忍者になって、雑渡や幼馴染と共にタソガレドキのために働き、休日になればみんなで美味しいものを食べれるのだと。
「みんな、元気かなぁ」
父も幼馴染も温かな縁側も、今はずいぶん遠くになってしまった。
久々に食べる団子が美味しくて、
……
美味しいからこそ幸せだったころを思い出し、子どもはどんどん惨めな気持ちになっていった。
いつの子どもなら、団子を笑顔で食べていただろうに、その日は最後まで強張った頬が綻ぶことはなかった。
====
「すまん、先に行っててくれ」
タソガレドキ領に向かって帰っている途中、不意に高坂が五条たちに声をかけた。
もしかして付けられていたのかと、雑談をしていた三人の顔が一気に忍びの顔に変わった。
「違うそうじゃない。あの店に寄るから先に行っててくれ」
仲間が纏う雰囲気が忍務の時のそれになったのを感じ取り、高坂は慌てて右手にある甘味屋を指差した。
そこは本当になんの変哲もないただの団子屋。
真面目な男が忍務帰りにわざわざ立ち寄りたいと言ったことに、反屋は驚いたように目を見開いた。
「団子?腹減ってるのか?」
「そんなんじゃない。
……
着いてくるな」
そう言われると余計気になるのが人間のサガ。
高坂の言葉を無視して三人が着いていけば、高坂は諦めたようにため息をついて店主の男に話しかけた。
「この店で一番人気の団子を二つ、土産用に包んでください」
土産用──。他人にあまり関心を持たない男が一体誰に。
淡々と会計をして団子の包みを受け取る高坂を三人は興味と興奮が入り混じった視線で見守っていた。
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